第18話 魔蜊

道中、彼らは深い森を通り抜けなければならなかった。


「この森は不気味だ。まるで何かが潜んでいるような気がする」とタイラーが言った。


ソルスティス大魔導師は周囲を警戒しながら、「この森には古代の魔獣が住んでいるという伝説がある。気をつけなければならない」と答えた。


突然、森の奥から不気味なうなり声が響いた。木々の間から巨大な影が現れ、三人の前に立ちはだかった。それは魔蜊と呼ばれる恐ろしい魔獣だった。魔蜊は巨大な体と無数の触手を持ち、その触手には毒が宿っていると言われている。


シグヴァードは剣を抜き、「気をつけろ!この魔獣は非常に危険だ!」と叫んだ。


魔蜊は咆哮し、その触手を三人に向けて振り下ろしてきた。タイラーは素早く剣で触手を弾き返し、「こいつの動きは予測しづらい、気をつけろ!」と叫んだ。


ソルスティス大魔導師は呪文を唱え始め、「炎の嵐よ、魔獣を焼き尽くせ!」彼の杖から放たれた炎が魔蜊に向かって襲いかかった。しかし、魔蜊は素早く動き、その攻撃をかわした。


「簡単にはいかないようだな」とシグヴァードは呟き、再び魔蜊に向かって剣を振り下ろした。


魔蜊は反撃のために触手を振り回し、三人を攻撃した。シグヴァードはその攻撃をかわしながらも、触手の一撃を受けて地面に倒れた。「くっ、こいつ…!」


タイラーはシグヴァードを助け起こしながら、「ここで倒れるわけにはいかない!」と叫び、再び魔蜊に向かって剣を構えた。


ソルスティス大魔導師は再び呪文を唱え、「雷の怒りよ、魔獣を撃ち抜け!」杖から放たれた雷光が魔蜊に命中し、魔蜊は苦しそうに咆哮した。


しかし、魔蜊はすぐに立ち直り、さらに激しい攻撃を仕掛けてきた。その触手からは暗黒の魔法が放たれ、三人を包み込もうとした。


「暗黒魔法だ、気をつけろ!」ソルスティス大魔導師が警告した。


タイラーはその暗黒の魔法を剣で防ぎながら、「何とかしなければ…!」と焦りを感じた。


その時、シグヴァードは冷静に周囲を見渡し、「この魔獣を倒すためには、その中心部を攻撃するしかない。ソルスティス、タイラー、僕が隙を作るから、その間に強力な一撃を加えてくれ!」と提案した。


タイラーとソルスティス大魔導師は頷き、シグヴァードの指示に従った。シグヴァードは魔蜊の攻撃を引き受け、タイラーとソルスティスは力を合わせて強力な呪文を準備した。


「いまだ、攻撃しろ!」シグヴァードが叫び、タイラーとソルスティス大魔導師は同時に呪文を放った。


「光の裁きよ、闇を打ち砕け!」ソルスティス大魔導師の杖から放たれた光の束と、タイラーの剣から放たれた光の刃が魔蜊の中心部に命中した。魔蜊は激しく苦しみながら、ついに崩れ落ちた。


「やったか?」タイラーが息を切らしながら確認した。


シグヴァードは剣を収め、「ああ、倒したようだ。だが油断するな、他にも危険が潜んでいるかもしれない」と警戒を解かなかった。


ソルスティス大魔導師は深呼吸し、「これで少しは前進できる。ダミアンを追うために、急ごう」と言った。


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