第3話 スターライト・エンポリアム

西風が落ち葉を刀のように舞い上げる中、一台の豪華な馬車が逆風に逆らい、長い通りを進んでいく。馬車が「スターライト・エンポリアム」の前に停まると、すぐに二人の店員が駆け寄ってきた。彼らは一目でそれが「サンバード・マナー」の馬車であることを認識し、サンバード・マナーの馬車が裕福な客を運んでくることを忘れていなかったのだ。


スターライト・エンポリアムは高級な宝石を扱う店であり、裕福な顧客を対象に商売をしている。馬車の扉が開き、魔法の光で輝く梯子がゆっくりと降ろされ、最初に現れたのは十四、五歳の小さな侍女だった。その侍女を見るなり、店主のアルベリコはすぐに迎えに出た。彼はその侍女がソフィアと呼ばれ、いつもマーリスの出入りを世話していることをよく覚えていた。


マーリスはサンバード・マナーの五大人気者の一人だ。彼女が人気者である理由は美しさではない。サンバード・マナーの中で美しさを競えば、マーリスは十番目くらいに数えられるだろう。しかし、彼女には他の誰にもない特技があった。それは魔法によって宝石の真贋を見分ける能力である。どんな宝石でも手に取ると、魔法の光がその真偽を教えてくれ、評価額を正確に見積もることができる。この能力は彼女の家族から受け継いだものだ。彼女の祖父や父親も宝石鑑定の魔法使いであった。


しかし、彼女の父親は宝石だけでなく、賭博にも魔法を使うのが好きだったのが不幸の始まりだ。さらに不幸なことに、彼の賭博の腕前は宝石鑑定とは比べ物にならず、命を失うばかりか、多額の賭け金を負ってしまった。その結果、マーリスは貧困に陥り、仕方なくサンバード・マナーで働くことになった。


その日のスターライト・エンポリアムは、魔法の光とともに一風変わった訪問者によって一層賑やかになった。ソフィアが馬車から降り立つと、後に続いて現れたのは奇妙な格好をした男だった。その男は長いローブをまとい、手には魔法の杖を持っていた。


「お待たせしました、マーリス様」とソフィアが言うと、その男は杖を振り、スターライト・エンポリアムの中に魔法の光を放った。すると、宝石たちは一斉に輝き出し、店内はまるで星空のようにきらめいた。


「さあ、見せていただこうか、この店の最高の宝石を」とマーリスが微笑みながら言った。


アルベリコは緊張しながらも自信を持って最高の宝石を差し出した。マーリスがそれを手に取ると、魔法の光がさらに強く輝き、彼女の顔には満足の表情が浮かんだ。


「素晴らしい。これは間違いなく本物だわ」とマーリスが言うと、アルベリコは胸を撫で下ろした。


しかし、その時、突然店の外から不気味な音が聞こえてきた。外を見ると、黒衣をまとった一万人もの兵士たちが整然とした足並みでこちらに向かってくるのが見えた。その兵士たちは腰に鋭い剣を下げ、明らかに何かを探しているようだった。


「これは一体…?」アルベリコが驚いていると、マーリスは冷静に杖を構えた。「心配はいらないわ。私がいる限り、ここは安全よ。」そして彼女は魔法の言葉を唱え、店全体を守る魔法のバリアを張った。


「さあ、続けましょうか。私はまだ他の宝石も見たいの」とマーリスが微笑むと、アルベリコは再び宝石を見せ始めた。店の外では不気味な兵士たちがうろついていたが、マーリスの魔法のバリアのおかげで、店内は安全だった。


こうして、マーリスの宝石鑑定は続き、スターライト・エンポリアムは彼女の魔法の力とともに一層輝きを増していった。

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