第49話 『お見舞いっ!!』

休み明けの学校…休みが2日もあったのに、どうして疲れているのだろう。それはやっぱり休みといっても休みじゃなかったからな…心無しかなんか体が重いし。


「なんだ、なんかクラクラする…」


俺はそのまま二度寝をしてしまった。しばらくして俺は目を覚ます。


「ハッ!…どのくらい寝てたんだ?」


時計を見る。もう12時!?学校に完全遅刻…そんな場合じゃないか…部屋の机に手紙と薬と水のペットボトルが置いてあった。


「母さんたちは仕事です。学校には連絡しといたのでご安心を〜…か…」


やっぱり熱だよな…昨日から少し体調は悪かったが、まさかこんなに悪化するとは…


「今日は大人しく寝ていよう…」


俺は、たいして朝食も食べないまま、また寝始めた。アイツらに…風邪うつしてませんように…俺は寝る前に何故かアイツらのことを考えた。しばらく寝ていると


ピンポーン


インターホンが鳴り俺は目が覚める。16時か…さっきより体調が良くなっている。最近、目覚まし時計よりインターホンに、よく起こされている気がする。俺はインターホンを確認せず玄関の扉を開けた。


「なんだ、三原か…」


「なんだとは、なんですか…」


まあ、誰かは来るとは思っていたが…なんで三原なんだろう…


「見舞いに来てくれてたんだな…ありがとな」


てっきり、桐崎が来ると思っていた…そしたら俺は告白の返事をしようと思ったのだが。


「誰のこと考えてるのかは、分かりませんが…お見舞いに何人も押し寄せるのは迷惑と思いましてジャンケンで決めて来たんです…」


「へ、へえー…そう…俺は何も考えてなかったから何言ってんのか分からないけども…」


「ふ〜ん…まあいいですけど」


三原は、ため息をつきながら俺の家に上がろうとしている。おいっ!多人数で押し寄せるのは良くないって思うのに家には上がろうとするのか?


「熱うつすかもしれないし…今日は帰ってくれ」


すると三原は不機嫌になり


「あのですねっ!私だって病人に気を使わせないように学校のプリントを置いたら帰るつもりですよっ!」


おっと、俺の早とちりか…


「す、すまん…」


「へえ〜センパイは私に帰って欲しいんですね…っ♡」


その笑みからは色んな感情が読み取れそうだ…

と、その時っ!


ぐぐぐぐっ〜〜〜〜


お腹の音が鳴った。もちろん俺の腹だ…そういえば朝食も少し食べて寝ただけだったからな。


「センパイ…おかゆとかは?」


「…お、俺は、ないものねだりはしない…」


「じゃあ作ってあげますよ…」


「それは普通に申し訳ないのだが…」


「センパイに元気になってほしいんですよ〜だから平気ですよっ♡」


…ここは甘えておくか。三原は台所に行くと手際よく料理をし始める。おお!霧島と全然違うな…俺は思わず


「霧島に料理を教えてあげてくれないか?」


「えっ?。ヒカリさん?…」


「ああ…アイツ今、料理を頑張ってるんだけど何故か不思議な力で失敗してんだけど少しずつ成長してるっていうか…だから教えてあげてくれないか?」


「へえーあのヒカリさんが…」


「?…どういう意味だ?」


「だって最初に会った時、朝と夜はゼリーだけしか食べてないって言ってたので…」


多分それは前の霧島だったからだろう。最初、会った時は俺も大丈夫なのか?…と思ったが今は随分と明るくなった気がするな。


「ヒカリさん贔屓ですか?…」


「違えよっ!…ただ頑張ってるから応援したくなるって事さ…」


「ふふふ…センパイはツンデレですね」


「えっ?…」


「センパイって嫌だとか無理だとか言ってる割に、ちゃんと私たちと向き合って面倒見てくれるなあ~って…」


「いやっ!!そんなことはっ…」


「あ~あっ!センパイが照れてる~♡」


いつの間にか俺はさっきよりも元気になった気がする。その後は三原の美味しいおかゆを食べて寝た。三原がくれたプリントを見ずに寝てしまった…

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