第48話 『いずれはいつかっ!!』
「それでは…青森さんは美波の事をどうお考えで…?」
「それは、一応…」
俺は涼しい部屋なはずなのに汗をかいている。何故、こんなことになってしまったのだろう。
〜1時間前〜
2日間連続で休みにしてくれるなんて、いい学校だな。今日は寝よう…昨日は疲れが取れなかったからな。母さんも今日は会社で仕事だから、家には俺1人だし…俺は昼まで寝ていた。
ピンポーン
インターホンが鳴る…無視して寝ることにした。俺は居留守を使うことにした。だが、ずっとインターホンがうるさく俺の眠りを妨げた。
こんだけしつこいって事は宅配じゃない…まさかアイツらか?…俺は重い足を無理やり動かしてインターホンに向かった。その間もインターホンは鳴り続けた。
「…ったく、うるさいな…」
そう呟きながら俺はインターホンをのぞく。今日は悪いけど断らせてもらうぞ…っ!その時の俺はアイツらが良かったと心から思ってしまった。
「あの〜…何かようでしょうか…」
俺はすっかり眠気が吹っ飛び爽やかモードになっていた。するとその婦人はサングラスと白い大きな帽子をかぶり執事に日傘をさされながら
「やっぱり、居たんですね…あと2回で帰ろうと思ったのですが…」
クソっ!俺がもうちょっと寝ぼけていれば…だが家に入れるわけには、いかない。
「それでなんのようでしょうか…?」
「決まっているでしょ?娘の美波の件についてですよ…」
そう、その婦人は綾瀬のお母さんだ。今度はどうしたんだ?…前の一件で関係は良好と聞いていたが…
「とりあえず、車に乗ってください…」
「あの〜…今日はちょっと…」
「ダメなら、こちらには手段はいくらでもあるんですよ?…今ドアを閉めたとしても家に入ることくらい可能なんですからね…」
今サラッとヤバいこと言ったよなっ!?…これが大人の闇…いや、金持ちの力?…俺は、ついに観念して顔を洗い服を着替えて車に乗った。
〜車の中〜
明らかに高級車だな…これ。車に詳しくない俺でも分かる高級車…そして俺の隣に…えっと確か海華さん?…が座っている。
「それで…俺が呼ばれた理由は…」
「昨日、晴人が面白いことを言ってたんですよ」
晴人って綾瀬の弟の…?
俺は別に何もしてないけど…
「青森さん、付き合ってる人がいるんですか?」
「えっ…それは」
「美波以外に…」
まあ、そうですけど…と言いたい所だが綾瀬の親は恋愛の授業に納得のいっていない人の1人だ。前は渋々了承してくれたが複数の人と付き合うとなれば、また話は別だろう。
なんて答えるべきか…
「俺は…」
「もうすぐ我が家に着きますのでそこで弁解をしてください…」
弁解って…100%クロだと決めつけてるじゃねーか!まあ、事実なのだが…ってデ、デケエェー…大きな屋敷だな。でもここは正直に言わないと無事には帰れないんじゃないだろうか…
「し、失礼します…」
海華さんは堂々と歩く。俺は迫力に圧倒されながらも海華さんの後をただ追いかけた。するとどこかの部屋に通された。俺はそこでしばらく待たされた。…って綾瀬に聞けばいい話だろっ!綾瀬は家にいるのかな…
ガチャ
ドアが開き海華さんが着替えて入って来た。絶対に敵に回したくない…俺は、この人が少し苦手だ。すぐに本題に入るかと思ったが海華さんは別の話をし始めた。
「あの子は、今まで反抗しないで、ここまで成長してきました。だからあの子が初めて言い返した時、成長を感じました…」
「そ、そうですか…」
海華さんは、ギッと目が鋭くなり
「ただ、それが恋ということに驚きましたが…恋は人を変えるものですね」
果たして綾瀬は本当に俺のことが好きなのか?
綾瀬は俺というより今の皆んなと遊んでる、この状況が好きって感じがするんだけどな…あの泊まりの時も、そこら辺は曖昧だったし…
「それで青森さん…貴方は浮気しているんですか?…」
「してませんっ!あの授業はですねっ!俺が…」
「それでは…青森さんは美波の事をどうお考えで…?」
えっ…まだ喋ってる途中だったんだが…俺は綾瀬の事…
「それは、一応…」
バタンッ!
勢いよくドアが開いた。いかにもお嬢様って感じの服の綾瀬が入ってきた。学校の時や林間学校の時とは違う雰囲気だ。…って、また喋ってる途中にっ!!
「お母様…さっきから、なんの話をっ!!」
「おや、美波…まだ寝ているはずでは」
「起こされたんですっ!晴人に…昨日の青森って人がいるよって…」
た、助かった〜!ありがとう晴人…って、もとわと言えば晴人のせいだけどな…
「私に言ったらいいじゃないですかっ!」
「私は青森さんの言葉が聞きたかったんですよ」
「あの俺はっ!!」
俺は立ち上がった。
「綾瀬さんは…のんびりしていてマイペースだなって思ってましたが意外としっかりしているな…って思います。…」
「別にそういう事を聞きたいわけじゃないんですが…」
本当は分かってる…でも、なんて言えばいのか全然分からない。仲のいい友達とか普通のカップルとは、違うからな…まだ俺は答えが分からない。これって好きなのか?…それを察したのか海華さんは
「まあ、まだ高一ですからね…でもこのまま関係が続くなら答えは聞きますからね…」
それから海華さんは部屋から出て行った。もしかして恋愛の授業の俺たちの事を知っていたのか?一体誰がそんな情報を…
〜〜〜〜〜
「えっ?海華さんの連絡先を持ってるか?…って、どうしたの急に…」
「いや今日たまたま海華さんに会ったんだけど俺の特別授業を知ってる感じがしたんだ」
「あ〜あっ!この前偶然、会って話したわね…」
やっぱり母さんのせいか…ごめんな晴人。
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