第45話 『林間学校3日目っ!!』

「ゴ〜ル〜っ!!」


えっ…俺は今、告白…されたのか?…異性として好き、それをまさか桐崎から言われることになるとは…返事しなきゃいけないよな。


「えっと…その…」


俺は少し困惑しながらも、ちゃんと返事をしようと思った、その時、桐崎は手をバッとだし、待てのポーズをした。


「えっ…?…」


「返事は待って…いくらなんでも早いと思うわ。それにアンタは見つけなきゃいけない子がいるんでしょ?…その後でいいから…」


てっきり告白をやっぱ無しとか言うのかと思ったが…。その口ぶりから桐崎は、俺の探してる子じゃない…って事でいいんだよな…?…

そのあとは何も喋らず、ただ真っ直ぐと宿に戻って行った。


「…じゃあ、俺こっちだから…」


「…うん、おやすみ…」


ガチャ


「おお!和也〜!!遅かったな…何してたんだ?」


「肝試しの委員の手伝いだよ…」


「そっか〜大変だな…」


俺は咄嗟に誤魔化す。こういう嘘はバレないのに、どうして女子にはバレるのだろう。それか太田がアホなのか…

すると同じ班の花野太郎が寝る準備を始めた。それを見た太田が


「おいおい太郎…どうしたって言うんだよ。明日には帰っちゃうんだぞ?夜更かししようぜ!昨日のリベンジだっ!」


「やれやれ…君たちは何も分かってない」


ちなみに俺たちの部屋は6人班だ。そして他の人たちはゲームで盛り上がってるのに…ましてやお前が持ってきたんだろ、ゲーム機…。


「こういう泊まるイベントでの大定番…そしてこの学校なら絶対盛り上がる…」


「「「「「………??」」」」」


「恋バナだよっ!!」


「「「「うぉーーっ!!」」」」


皆んな猿のように叫び出す。すると当然、堂山先生が…


ドンッ!!


とドアを強く叩き


「うるせーぞっ!お前ら」


「すいませーんっ!!…堂山が1番うるさいよな…」


太田は形だけの謝罪をする。…って恋バナ?

さっきのことが脳内によぎる。そう思うと俺の喋れる話は1つもないな…

皆んな、一斉に布団を引き、電気を消した。

すると各々の彼女とのデートでの出来事を語る。この班は皆んな彼女がいるからな…。

そして俺の番になった。


「俺は…喋れることないな…」


「いや、お前は綾瀬さんと付き合ってるんだろっ!喋れることだらけだろっ!!」


「そうだっ!そうだっ!」


一斉攻撃を受ける俺…。だけど泊まりとかの話は、できないしな…


「スイパラに行ったかな…」


シーン…何故か静まる部屋。何も、まずいことは言ってないような気がするが…


「…えっ…それだけ?…」


「ん〜…後は夏祭りとかくらい…?」


今、思ったことだが4人でローテーションしてるから各々のデートの回数は他の生徒たちと比べると少ないからな。思い出も少ないんだった。だが、俺のあまりにも少ない思い出に皆んな引いた。


「まあ、和也は運命の人って奴を探してるから、他の人に興味ないんだろうよ…」


太田がため息を、つきつつもアシストしてくれた。だが、そうすると次の話題は…


「運命の子…?」


「それは、どういう事だ?…」


太田めっ!…だが、隠すようなことでもないか…言ったら何か分かるかもしれないしな。


「小学校の時な……」


〜〜〜〜〜〜


夕方の公園のジャングルジムの頂上に2人の男女が座っている。


「俺さ…いつも引っ越しばっかりだったからさ、仲良い子が出来て嬉しかったよ」


すると彼女は、うっすら涙目になった。


「どうしたのっ!?…」


「私がさ…引っ越さなきゃいけなくなっちゃって…」


「えっ…でも、しょうがないことなんじゃないか?…俺だって家の都合で何回も…引っ越し…てきたし…」


すると、その子は青色で星型のキーホルダー取り出した。割れてる…?…


「何…それ…」


「これさ、私が作ったものだから世界に一つだけしかないんだ…これの半分あげるっ!」


「ありがと…」


「いつか再開したら、これを見せてね…」


「分かった…元気でなっ!」


……………


ジリリリリリリリリィィィィィィィ!!!


「うっわっ!!…」  


部屋に目覚まし時計の音が鳴り響く。いつの間にか寝ていたようだ。また夢を見たのか…あの子の夢を…。俺は部屋の辺りを見回たす。


「今日で最後か…なんか早かったな…」


いろんな事があった林間学校だったが思い返すと早かったな…って、まだ林間学校は続くんだけどな。今の目覚ましで皆んな起き出し着替え始めた。

今日の朝食は、目玉焼きとトーストだった。


「あれ…昨日の朝よりショボイ…」


太田が心の中の言葉をもらす。まあ、確かに昨日はバイキングだったけどな。すると隣に女子が座る…


「おはよ…」


「おっ!…き、桐崎…おはよ」


「どうしたのよ?…」


いや、どうしたって…お前が言うんじゃねえよ…。だが意外にも、その後の桐崎は普通だった。まるで昨日が嘘みたいだ…こうして俺の林間学校は終わったのだった。

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