第42話 『2日目のトラブルっ!!』

ついにカレーが完成した。ナイスタイミングッ!丁度お腹が空いて力が出てな所だ。

三原にカレーをもらった。


「あれ?…米は…」


すると三原は苦笑いをしながら飯盒を指差す。

俺は飯盒を開けた。すると、なんかくさいし、それに…


「ん?…米が黒い…まさかっ!」


俺はすぐに霧島の顔を見た。すると霧島は不満そうに…


「何?…その顔…」


「えっ…違うのか?」


すると霧島は下を見ながら頷き…


「…私では…ある…けど…ごめん…」


「やっぱりな〜」


だがどうするんだ?…こんだけ焦げてると食えんぞ…全くどうやったら、こんだけ黒く…

すると綾瀬が炊き立てのお米を持ってきた。

綺麗な白色〜


「それ、どうしたんだ?」


「隣の班から貰ったのよ〜…どうぞ〜って〜」


絶対、男子生徒がくれたな…ん?…隣の班となるとまさか…俺は隣の班を見る…すると太田と目があい、太田がグットポーズを、おみまいしてきた。うっわ…アイツのところか…この後うるさそうだな…


「あれ?桐崎は??…」


「あ〜あ〜…あいかちゃんなら、さっき体調が悪いって言って、先生の方に行ったわよ〜」


綾瀬がカレーライスを食べながら言った。俺はらっきょうを食べながら


「そっか…確かに、この暑さだからな。熱中症かもしれないな…」


この時の俺は、深く考えておらず体調不良はよくある事だと思っていた。カレーを食べ終わると14時になっていた。夜のプログラムの準備などを考えると、もう宿に戻らなければならず俺たちはバスに乗る。


「あっという間だったな…俺はターザンロープだけはすごかったんだぜ?…」


太田は当然のように俺の隣に座っていた。

?…コイツ…そんなに自分の班が嫌なのか?


「お前…そんなに気まずいのか?」


「いや?…皆んないい奴らだぜ?…」


「だったら…」


「ただな…」


太田はバスの外を見ながら切なそうに…


「ただ…めっちゃイチャイチャしてるんだ。俺たちにバレてないと思ってるのか…めちゃくちゃ…」


「…お前の彼女は…?」


「最近は…彼女ってより友達になってきた気がする…」


太田は燃え尽きていた。確かに気まずいよな…そういうのって…


「だったらお前の彼女はどうしてるんだ?」


「彼氏のいない女友達の方に行ってるぜ…」


そう言って彼女の方向を指さす。なるほど…それで俺のところに来たわけか。すると太田は急に小声で


「あれ?今はアイツ…いないのか?」


キョロキョロと辺りを見回す。もしかして…


「寺島のことか?…アイツは今は違う席に座ってるけど?…」


寺島の班は交代制らしい。だが俺らの班は、俺がずっと後ろだ。嫌じゃないからいいけど。

すると太田が何故か驚いた。


「寺島!?…」


「なんだ?…どうかしたのか?」


太田は耳打ちで…っ!!…


「マジか!?…」


俺が驚くと太田は呆れた声で


「ああ、そうだぞ…ってか、お前なんも知らないのな…」


俺は自分の情報収集能力のなさに少し絶望した。だが…寺島が、あんな事を言ったのは何のためなんだ?


「お前がいて、初めて良かったと思ったよ…」


「おいおい、今日はエープリルフールじゃないぞ?…いつも思ったんだろ?…」


「太田っー!!お前はまた席移動してるのか!!お前反省文を書いてもらうぞっ!」


太田の冗談を遮り堂山先生が叫ぶ。2回目という事もあり、より怒られた。霧島や太田の彼女さんの席移動はバレなかったことから推測するにアイツは単純に声がデカいのだろう。


「青森っ!太田が移動したら注意しろっ!次はないぞっ!!」


「分かりましたっ!!先生っ!」


俺は元気よく優等生返事をした。


「この裏切り者っ!!せっかく俺がいい情報を…」


こうして太田は堂山先生の隣を再び手に入れることに成功したのだった。あ〜うらやま〜。


〜宿〜


宿に着いた。桐崎は保健室のような場所で休んでいるらしい。俺は一応見舞いに行くことにした。その部屋の前まで行くと先生がいて


「おや、来たようですね…」


「?…俺を待ってたんですか?」


「はい…あなたが見舞いに来るのは、いい成長ですね」


どうやら先生は試していたようだった。先生は一旦、部屋に入るとすぐに出て


「入っても大丈夫ですよ…」


「…はい…」


ガチャ


俺は部屋に入った。何を話すか何も考えてなかった。なんか妙に緊張するし…桐崎はベッドでスマホをイジっていた。なんだ…元気そうだ。


「よっ!桐崎、なんだか元気そうだな…安心したぞ…」


「ちょっ!…あんた…なんでここにっ!!」


「なんでって…様子を見に…」


「アンタなんか呼んでないわよっ!用が済んだら、とっとと出ってくれる?」


流石にこの態度を許せるほど俺は心が広くなかった。


「あのなっ!それは流石にどうかと思うぞっ!!…いい加減にしろよっ!!」


つい強く怒鳴ってしまった。…だが桐崎も引かなかった。


「アンタだってっ!!!…」


「は?…どういう…」


ドンッ!!


桐崎は俺を吹き飛ばし部屋から勢いよく出て行ってしまった。俺はポカンとただ立ち尽くしていた。


ガチャ


桐崎か?…いや、先生が入ってきた。そういえば先生は、ずっと桐崎をやたら気にしていた。

先生は俺の顔を見ると


「何があったんですか?…」


「いつもみたいに…言い争いしただけですよ…」


「…その割には、やらかしたって顔してますけど…」


「っ!!…別に…そんなことは…」


「まあ私は深くは書きませんが…よく話し合ってくださいよ、青春は短いんですから…」


先生は優しく微笑んだ。…えっ…まさか…


「先生って本当に先生なんですね…」


「いや…何、言ってるんですか…」

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