第41話 『林間学校2日目っ!!』

朝だ…あのあとは、ゲームで盛り上がって先生にバレないようにしながら真夜中も起きようって話になったけど、今日の疲れのせいか、いつの間にか寝てたんだな。


「うわ…皆、めちゃくちゃだな」


辺りを見回すと布団はぐちゃぐちゃ、太田なんか床で寝てるし…

起床時間は7時だが俺は6時にひとり起きてしまったようだ。俺は飲み物を買いに部屋を出た。ロビーの自販機でジュースを買った。


「朝からジュースはよくないと思うよ~」


背後から聞き覚えのない声がっ!!


「なんだよ…綾瀬…っ!!…お前その格好で外に出るのはよくないぞ…」


綾瀬は気にしないのかもしれないが…男子生徒には刺激が強すぎるぜ。

おかげで眠気は吹っ飛んだが…


「朝、早いし誰もいないし、大丈夫よ~」


「俺がいるだろうがっ!!」


すると綾瀬はニヤニヤしながら


「え~?青森くんがそれを言うの~、一緒に泊まった仲なのに~」


「それは…なんというか…」


「へ~…そこまで仲がいいんですね…」


「っ!!…よ、よう…おはよう」


こわ~い静かな声が背後から聞こえる。この声でも眠気が吹き飛ぶな。

三原は笑顔で俺に詰め寄り


「まさか~美波さんとセンパイがそこまで進んでいるなんて…今度皆で話さなきゃいけませんね…」


こっわっ!!この笑顔と声が全くあってない…実は霧島も泊まりましたなんて言えねえよな…俺はお茶も買い、急いでこの場を離れようとした。…が俺の服をつかまれ


「センパイ、また後でっ♡」


「は…はい…」


「それに美波さんも流石に見過ごせませんからね…」


三原は綾瀬にも詰め寄る…が、綾瀬はブレずニコニコしながら


「私の家庭の問題を助けてくれただけなの~だから何もなかったし安心してね~」


「何もないって…当たり前ですよっ!!まだ仮の彼氏なんですからねっ!」


三原は顔を赤らめながら言う。その間に俺は自分の部屋に戻ることに成功した。

部屋に戻ると皆、起きていて、布団を戻していた。


「ああっ!和也っ!!お前どこに行ってたんだよっ!お前のせいで布団をしまうジャンケンで負けっちまっただろ!」


「飲み物、買ってたんだよ。俺も準備しなきゃな~」


「おい!手伝えっ!!」


そんな太田は無視し、俺はちゃんと顔を洗い、動きやすい私服に着替えた。

太田も急いで着替え、慌てて朝食の会場に向かった。


~会場~


朝食はなんとバイキングだ!俺はスパゲッティとみそ汁とチキン、カレーという謎の組み合わせにした。でもこれこそがバイキングの、だいごみだからな。

隣の太田なんか、チャーハンばっかり食べてるし…

そして朝飯を食い終わった俺たちはついに2日目の林間学校がスタートしたのだ!!


〜2日目〜


俺たちはバス乗り自然学校に向かった。バスの席は昨日と変わらない。あっ!…寺島だ。どうしよう…桐崎に言うの忘れてたぞ…

しかし寺島は何故か元気がなかった。


「どうしたんだ?…」


「いや…昨日、皆んなのいびきが、うるさくて寝れなかったんだ…」


「それは災難だったな…」


「…それで…桐崎さん…どうだった…?…」


…流石に忘れたって言うのは、ヤバいと感じた俺は咄嗟に誤魔化す。


「桐崎には今日のローエレメントプログラムの時に言おうと思ってるんだ。電話とかメールとかだとダメかなって…」


すると寺島は感激した。とても…すごく…罪悪感…。


「ありがとっ!まさか、そこまで俺のことを…」


「…何の話…?」


ぬっとまるで幽霊のように俺の隣に霧島が出てきた。流石、実行委員…これなら肝試しも成功するぜ…


「うっわっ!…お前、どうしてここに…」


「席1つ空いてるし…なにしてるんだろうって…それに…」


霧島は無言で寺島の顔を見た。


「…?…」


そのまま霧島は自分の席に戻った。…霧島、なんだったんだ?…だが俺もひとつだけ寺島に疑問があった。しかし本人は直接言えないことだが……そのあとはバスのガイドさんの説明やクイズに答えていたら、あっという間に学校に着いた。


〜林間学校〜


ローエレメントプログラムはターザンロープや綱渡り、シーソーなど、設置されたアトラクションを班の皆んなで協力して達成するものだ。


「痛っ!…」


三原と綾瀬はこういうのは苦手なようだ。意外にもこういうスポーツ系は霧島、桐崎が得意だった。俺はというと…


「うわっ!…ぎゃっ!うぇっ!!…」


可もなく不可もない…という感じだな。

そのあとは林間学校のお楽しみのカレー作りっ!林間学校と言えばカレーだよな…

俺は薪割りをすることになった。


バゴンッ!!


薪割りは結構楽しい。古典的な火おこしをするのも楽しい。


「フーフーッ!」


俺が頑張っていると太田が隣に来た。


「おいっ!持ち場に戻れよ、お前は火おこしじゃないだろ?」


「実はよ…肝試しって俺も参加していいのか?」


「…ったく、お前は彼女がいるんだからダメだろっ!」


「だよな…」


太田はがっかりして持ち場に戻って行った。

全くアイツは何考えてんだ…あっ!桐崎に言わなきゃな…でも、周りの人に聞かれるのもあれだし…直接言わなくていいか。俺は疑問はあったものの桐崎に連絡した。…これでよし…と。

俺はスマホをとじ、再び火おこしにかかった。

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