第39話 『好きになったらっ!!』

「で?…なんで、お前たちは俺の家に来ただよ…」


俺はさっきの理由に納得が出来ず質問した。

すると三原が


「単純に皆んなで行きましょうってことですよっ♡」


「だったら連絡してくれよ…」


それを聞き三原が俺を、どういう感情か分からない顔で


「青森は…連絡しても…見ない…」


「えっ…それは…」


心当たりはある…桐崎は憎たらしい顔で


「だったら、そんなやつに連絡なんかしなくていいってわけよ〜」


「どんなわけだっ!!…」


〜〜〜〜


やっと横浜駅に到着した…横浜駅には生徒が集合していた。班になり整列させられた。俺は6班…えっと…5班の人は…


「おっ!なんという運命っ!!」


「見知らぬ男が話しかけてきた…まあ旅にトラブルは付きものだが…」


「誰がトラブルだっ!」


…太田…どうしてお前とはいつも会うんだろな…本当に運命なんじゃ…えっ?…コイツが俺の運命の…


「はーいっ!お前ら、お静かに…これから林間学校ですが浮かれすぎないようにっ!!

分かったかっ!!」


体育教師の堂山が怒鳴り気味で言う…

どうしたんだ?堂山先生…すると太田が振り向きニヤニヤした顔と小声で


「堂山のやつ、独身で彼女がいないらしいぞっ!妬んでんだよ!!」


すると周りもクスクス笑う。

お前は彼女と上手くいってないじゃないか…

と、ツッコミはいれない。すると堂山がこちらの方を睨み


「おい、そこっ!!何か、言ったか…」


俺や周りは途端に黙った。…まあこういう事はいじるものじゃないしなっ!…

その後俺たちはバスに乗り、いよいよスタートした…のだった。

座席は班ごとである。周りの目を気にして俺は綾瀬と隣に座ろうとした…


「何、隣に座ろうとしてるのよ…」


後ろから桐崎が、呆れながら言う。

俺は意味が分からなかった…


「?…」


俺の理解していない顔を見て桐崎はため息をつき


「この班は5人、椅子は2人ずつ、つまり誰かは1番後ろの席を使うのよ。」


そう桐崎が後ろの横に長い椅子を指さす。

そうか…奇数だからな、男は俺に1人だし…


「なるほど…」


俺はそう呟きながら1番後ろの席のハジに座った。するとっ!隣に太田がっ!!…ではなく、見知らぬ男子生徒が座った。まあ、奇数班の生徒だけだからな…するとその男子生徒は周りのキョロキョロとしてから何故か緊張気味に俺に話しかけてきた。


「あ、あの…僕、寺島三郎と言います…」


「あっ!…青森和也です。…よろしく…」


今は恋愛は忘れて男の友情を楽しもう!!

寺島は小声で


「あの…青森くんは桐崎さんと仲がいいんですよねっ!!…」


「えっ!?…」


結局、また恋愛がらみかい!!まあ、この学校なら仕方ないか…それに…まさか…


「あの〜…もしかして桐崎のことが好きなのか?…」


すると寺島はめちゃくちゃ驚いた様子だった。


「な、なな…なんで分かるんですかっ!」


「いや…なんで分かるかって…分かりやすすぎなんだよ…どうみても、この状況は…」


結構、ピュアなのか?…だが何故、桐崎なんだ?…あんな、おっかないやつ…


「それで?どこが好きなんだ?…」


「桐崎さんの誰にでも優しいところとか、いつも笑顔なところとかっ!…」


「えっ…俺は今、桐崎のどこが好きか聞いたんだぞ?…」


「えっ?…はい…だから桐崎さんの好きになったところを…」


どうやら聞き間違いをしていたわけではないようだ…えっ!?…アイツが優しい!?…いつでも笑顔…ほぼ衝突しかないし狂犬みたいにしか思えないんだが…


「た、例えば?…」


「僕が困っていた時、忘れ物をしてしまった時、普通に貸してくれたし、班の発表会の時もとても親切でしたし。男嫌いって嘘なんじゃとも思いました。」


…なんか理由は浅い気もするが、好きになったのなら止めない…だが桐崎が、そこまで変わったとは、意外だ。


「…それで?…俺に何をしろと?…」


「…実は今回の林間学校で仲を取り持ってくれないですか?…」


「っ!!…」


もしかしたら、これはチャンスなのかもしれないっ!恋がなんなのかを知らないアイツが知るチャンスにっ!!…まあ俺も知らないんだけどねっ☆


「いいぜっ!協力するよっ!丁度、林間学校で肝試しがあるからなっ!桐崎に言っとこうか?…」


「はいっ!…ぜひお願いしますっ!」


これで桐崎が付き合ったら、俺とこうして会うのは最後か…でも、ずっと揉めてばっかだったし、今後一生会わないわけじゃないし…別に平気か〜


「なあなあっ!なんの話をしてるんだっ?…」


太田が俺と寺島の間に座った。おいおい運転してるんだぞ…危ないだろ…


「別に〜内緒話ってことだよ…」


「お前、親友の俺に言えないことか?」


「へえ〜おふたりは親友なんですね〜…」


「いや、親友じゃ…」


「よっ!」


「おいっ!俺の言葉を勝手に変えるなっ!

ジジイみたいに、なったじゃねえかっ!!」


「おい!太田ー!!何勝手に席移動したんだっ!!」


こうして太田は、堂山先生の隣の席をゲットしましたとさ〜…これにて一件落着〜!!

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