第37話 『前日っ!!』

「やっと、終わったな~…」


もう夜になった。時間が立つのは早いもんだな…


「青森…全然、発言してなかった…してない時ばっかり疲れてる…」


イタイ所ばかりつくな、心なしか…いつもより冷たい気がする。

何かしたかな…


「霧島も何も意見だしてないだろ…」


「私は…青森の手伝いだけだから…私、委員会じゃないし…」


「えっ!!マジでっ!?」


「そうだよ…私は…なのに…」


霧島は、なんかトゲのある言い方…


「なんか、怒ってるないか?…」


「っ!!…」


霧島は少し驚いた様子だった。いやいや流石の俺でも分かるぞ…霧島は、フフッと笑いながら


「…別に…怒ってない…」


と言いつつも霧島は、俺に指摘されてから明らかに、さっきより元気になっている。


「青森…林間学校の時…楽しもうね…」


まあ…機嫌がよくなったら良しとするか…


「そうだなっ!…」


~次の日~


教室に行くと皆の話は林間学校の話題で持ちきりだった。

俺は珍しく自ら太田の席に行った。


「何してんだよ…浮かない顔して…」


「いや…お前の班、どう考えても不正としか思えないんだがっ!!」


太田は最初から不機嫌で俺の顔を見ずにうつぶせで俺に八つ当たりしてきた。


「あれは、普通に先生の公平なくじで決めたことだからな…」


「まあ…そうなんだけどさ…」


案外、この先生の策が役に立つな…

太田は俺の顔をようやく見ると、ため息をつきながら


「なぜかな…最近、お前に俺の運を全て吸われてる気がするんだ…」


コイツ…もう、自分の不幸を他人のせいに、しなきゃいけないレベルにまで、追い詰められてしまったのか…


「安心しろ…そんなお前でも必ず上手くいく林間学校にしてあるから…」


俺が太田を元気づけている時に間の悪い女子が


「センパイ〜」


「えっ…」


俺をそう呼ぶ人は1人…俺はパッと後ろを振り返ると…やはり三原だ。


「…何のようだよ…」


「いや〜林間学校、同じ班になったので、ご挨拶ですよっ♪」


…にしても間の悪い…


ピコンッ!


メールだ…三原からだ。昼休みはどうせ屋上…校舎裏?…


「誰からのメールだ?…綾瀬さんか?…」


妖怪のような太田が立ち上がる。


「いやいや、違うって…親から!親からっ!!」


俺はその後、太田の悩みや愚痴に付き合わされた…ったく、そろそろ先生に相談しろよ…


〜昼休み〜


「なんのようだよ…」


俺は言われた通り校舎裏に行くと三原が待っていた。


「なんで嫌そうなんですか…」


「お前のせいで、あの後どんだけ太田に…」


俺の話を最後まで聞かずに三原はお弁当の準備を始めた…えっ?…ただ飯食うだけ…


「いつも屋上じゃないのか?…」


三原はため息をついた。


「そりゃあ、私だって屋上の方がいいですけど…センパイ〜知らないんですか?…屋上ついに工事される事になったんですよ…」


「えっ!?…」


じゃあ学校を訴えらなくなったわけだ…でもなんでバレたんだ?…三原のせいか?…


「…センパイ…私のせいじゃないですからね…」


「いや…思ってないって…」


「他のカップルが屋上に行くのが先生に目撃されちゃったんですよ…」


「なるほどねぇー…皆んなの穴場だったわけだ…なのに俺らが昼飯を食ってる時、誰にも会わなかったけどな…」


「それは先着がいたら邪魔しないって暗黙のルールがあったんですよ〜」


だから三原はいつも早かったのか…


「それに…あっ!…」


すると三原は急に目を丸くし慌てて俺を隠した。


「急に何するんだよっ!」


「見てくださいっ!…センパイ」


見ると男子生徒と女子生徒がやってきた。

女子生徒は手紙を持っている…もしかして告白?…こうして俺と三原はカップル成立現場を目撃した…


「凄いですね〜…あの2人丁度、林間学校で同じ班になった人たちですよ…」


よく知ってるな…そんな情報…俺、パンフレット作ってたけど誰が誰と一緒の班かって覚えてないぞ…


「あーいうのって…憧れますよね…」


「?…どういう意味だ?…」


「意味も何も…恋愛の授業でカップルができるのはいいですけど、こんな風に告白してカップルになるみたいな…青春というか…そういうの結構、憧れます…」


「そういうもんか…」


「まあ、センパイは分からないでしょうけどね〜」


三原はニヤリと笑った。


俺たちが飯を食べている光景をある女子高生に見てられていた。


「…」


その生徒は校舎裏でジュースを買おうとしたがその現場を見て買うのをやめたのであった…

俺がその事に気づくのは、まだ。


〜その日の夜〜


「いよいよ明日か…林間学校…」


「どうしたのよ?…嬉しくないのか?」


「…あなたは…」


「お前の父さんだろっ!!」


父さんか…久々すぎて覚えていなかった。

おっとメタ発言…


「そりゃあね〜」


ニヤニヤしながら母さんがきた。母さんは俺に耳打ちで


「あんた、どうせヒカリちゃんと美波ちゃんと林間学校、回らなくちゃいけないんでしょ?」


いや…同時に4人なんですけどね…夏休みの時みたいに各々っていうより、4人一緒のことが多くなるからな…俺は明日の不安とともに寝たのであった。



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