第36話 『いろんな予感っ!!』

もう月曜日か…もっと休みが欲しい。週明けって憂鬱だぜ。

それに霧島の件も、あったからな…だが家は家で母さんが、うるさいしな… 

俺が高校に向かっていると背中をつつかれた。


「ん…?」


振り返ると綾瀬がいた。前にも綾瀬に、こんなことをされた。

…が、前とは違ってなぜだか綾瀬はムスッとしていた。えっ…俺なんか怒らせた??


「どうしたんだ?」


「なんで、追いて行ったの~!?今日は私の番なのに…」


綾瀬は頬を膨らませる…


「なんでって…今日も委員会だから、しばらく他の3人ともデートしないって連絡しただろう…」


「でも、ヒカリちゃんとは委員会、同じなんでしょ?…」


「それは、委員会が同じだからだろ…」


「分かってる…でも、だから一緒に登校だけしようって連絡したのに…」 


「えっ?…」


俺はスマホを取り出し画面を見た。すると確かに連絡が来ていた。

…まあ一応、見ていない俺に非があるか…


「悪りぃ…見てなかった…」


「まあ、会えたから、いいけどさ〜…それで林間学校では、何するの〜?…」


「そうだっ!綾瀬の案が採用されたんだよっ!

肝試しはカップルがいない人達だけのイベントになったんだっ!」


「よかった〜、でもその案が出たのは青森くんがカップルがいない人達に楽しんでもらいたいという気持ちが1番だと思うの〜」


「…あはは…そ、そうだな…」


「あとは、何を決めるの?…」


「後は、…確かパンフレットとか全体のプログラム調整とか…」


「へえ〜結構、まだやることが多いんだね〜」


「あっー!後、部屋決めとか班決めとかな!」


すると綾瀬の足がピタと止まった…

…?


「…綾瀬?…どうしたんだ?」


「班ってどういう決め方なの〜?…」


「えっ…確か、カップルが3組ずつで1班だな…

それがどうかしたのか?」


「だったら、私たちの場合ってどうなるのかなって〜…」


「…!!」


確かに…俺たちの場合は他の生徒たちにはバレちゃいけないんだし…どうするんだろう…でも綾瀬のその言い方だとなんか、のほほんとしていて緊張感みたいなものがないな…


〜職員室〜


ガラッ


「どうしましたか?…」


「先生に聞きたいことがあって…林間学校での班はどうするんですか?…」


「その事ですか…心配は、いりません。今日のロングホームルームで班決めをするので、そこでのお楽しみにしててください…」


楽しみにって…別に楽しみでもないけど…俺は教室に戻った。

すると真っ先に太田が来た。…もう慣れた光景だな…


「なんだよ…」


「宿の部屋決め!…俺と組もうぜ!」


「まあ…いいけど…」


「後、班も!」


「なんか、グイグイだな…」


「だって綾瀬さんと…じゃなくて俺たちは親友だろ?…」


コイツ…ただ綾瀬とお近づきになりたいだけかよ…


………


ーロングホームルームー


1年生全員が体育館に集められた。これから班を決めるんだと思うが…先生には何か策がありそうだったな…すると先生が


「これから班決めをおこないます。カップルは1組で1枚、カップルじゃない人は1人1枚紙を受け取ってください」


俺と綾瀬は付き合っているという設定な為、俺は綾瀬と1枚の神を受け取った。


「32…」


紙には数字が書かれている。生徒に配り終えると先生はたくさんの割り箸が入っている、お菓子の缶を持ってきた。


「部屋決めは各々で決めていいですけど、班は今から先生が引く、くじで決めたいと思います」


「「えーー」」


一部で批判の声が聞こえた。すると1人の生徒が


「先生っ!くじだとカップルがいない生徒がカップルと同じ班になってしまいますよっ!」


すると先生は普通に…


「今回は運ですね…はい…しょうがない事です…」


なんか先生…強引じゃないか?…

だがこうして1部の批判を抑えこみ先生は、くじを引き始めた。


〜〜〜〜〜


こうして俺の班は綾瀬、霧島、桐崎、三原…つまりは、いつものメンバーになった。なるほど…くじだし…先生が引いたからヤラセに思われない…か?…


「先生どうやったんですか?不正ですか?」


俺は職員室に行き、また先生に聞いた。

先生は得意げに…


「不正ではありません…あなた達に配った番号を覚えて引いたと見せかけて引いてないというテクニックを使ったのです…」  


「いや…それが不正ですから…」


「…何か?…」


「いえ…」


なんか毎回都合が悪くなると圧で誤魔化される気がする…これが大人のやり方か…


「それに、私のおかげであなた達は同じ班に、なれたんですから感謝してください…」


「はあー…」


すると先生は、ふと真剣な顔になり


「もう9月になったわけですが…あなたは好きになった人とか、いなかったんですか?…」


「いないですね…皆んな、いい友達って感じですかね…」


すると今度は先生がため息をつき


「まあ…まだまだですね…今後のあなたに期待します…ところで、あの時の、きり…」


ガラッ


職員室のドアを開き霧島が入ってきた。


「霧島さんっ!」


「霧島っ!」


霧島は、なんか無表情で


「青森…委員会…」


「あっ!…ああ……先生なにか言おうとしました…」


俺は先生の方を向いた。


「いえ…大丈夫です…」


「じゃあ、先生、失礼します…」


「…失礼します…」


ガラッ


「…嫌な予感ですね…」


俺たちが出て行った後、先生はボソッと呟いた。そんなことは知らず呑気に委員会に向かう俺は…後から知らぬが仏って言葉が本当に仏なんだと思うのであった。

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