第35話 『表すならっ!!』

「…お待たせ…」


ガチャ


霧島がトイレから出てきた。…なんて声をかけたらいいんだ?…


「おう!いい便だったか?」


「…うわ…冗談でも…引く…」 


「わ、悪いっ!」


霧島は、いつも通りの感じだった。…俺は少し安心した。…


「じゃあ俺は部屋で寝るから霧島は布団、持ってくるから、そこで寝ろよ?…」


「何、言ってるの?…青森と一緒に寝る…」


「…綾瀬とは別々で寝たぞ?」


俺は嘘をついた。…だが仕方ない事だ!流石に隣に女子がいると中々寝られなかったし…

だが霧島は引かなかった。


「それじゃあ…泊まる意味ないっ!…」


なんだよ…さっきは俺と2人って分かった途端、慌ててたくせに…


「それに…綾瀬さんが…別々で寝たとは…思えない…」


「いや、ほんと…」


「ほ・ん・と・う…?」


霧島がどんどん詰めてくる…善意ある俺は、そこまで言われたら本当の真実を言わなきゃいけなくなり…


「はい…ここで、一緒に寝た…だが、ただ寝ただけだっ!!」


「…ほんと…?」


「これはマジだっ!!…」


こうしてリビングに布団を2枚ひいた…

俺は電気を消した。辺りは真っ暗、霧島の顔を見ることはできない。それどころか何がどこにあるかも分からない。目が慣れるまで我慢だな…


「ねえ…青森…」


「…なんだ?」


「青森に、とって…私…私たちって何…?…」


「えっ…」


俺に、とって霧島たちは…前に綾瀬に聞かれたことに似ている気がした…


「…か、彼女かな?……」


この答えは逃げである…この学校にとって彼女とは授業の一環でしかない…だが俺自身どう答えたらいいか分からない…


「…そっか…」


霧島は、それ以降何も喋らなかった…別に怒ってるわけでも悲しんでるわけでもない…と思うが多分この答えはベストではない事は確かだ…


〜次の日〜


「うっわっ!!」


思わず俺は声を出してしまった…だって俺の隣に黒髪ロング美女が無防備に…


「…なんで、俺の布団に寝てるんだっ!コイツ!!」


俺は小声で言った…霧島を起こさない為だ。俺はソ〜ッと起きると布団から抜け出した。霧島は…よし…まだ寝ている。


ピコンッ!


1つ連絡がきた…おそらく母親だろう。俺は連絡を見ると、やはり母さんで…


母さんはまだ帰らないからね〜

ごゆっくり〜🎵


…と、なんか、何かを勘違いしていないか?今日は学校が休みだから、よかったけどな…今日、学校だったら、どうする気だったんだコイツ…


「ん…」


ヤバッ!…起きる!俺は急いでトイレに入った。……霧島そろそろ起きたか?心の整理とかついたか?


ガチャ


リビングに行くとまだ寝ていた…俺は霧島を起こすことに決めた。


「おい!霧島…起きろっ!」


あれ?…いつの間にか霧島って呼んでた…


「ま、まだ〜…」


コイツ…綾瀬と同じような事をっ!!


「おいっ!いい加減に…」


「待ってよ〜…お姉ちゃん…」


「えっ!?…」


何、寝ぼけてんだ…コイツ!


「起きろっ!…ひ、ヒカリっ!!」


バッ!


霧島は勢いよく起きた…顔が真っ赤だ、おそらく全てを理解している。だが俺も顔が赤かった…恥ずかしいからな…


「や、やっぱなし…っ!!」


「は?…」


急に何を言いたいのか…俺にはよく分からなかった。

霧島は枕を強く抱きしめて…


「やっぱりっ!…霧島で…いい…」


霧島は枕で顔を隠しながら言った。


「お、おうっ!…そ、そうだな…」


あっつ!暑すぎないか?…クーラー、クーラー

俺はクーラーをつけた。


「…じ、じゃあ、俺は着替えてくるから…」


俺は自分の部屋に戻った。俺が服を着替えリビングに行くと霧島も、すでに着替えていた。


「よし!朝ごはんは、どうする?」


「…じゃあ…私、何か作りたい…」


「えっ…」


まだ、ポテサラしか作らない子が何を…

霧島は冷蔵庫から卵を取り出した。


「これ…昨日…家から持ってきた…」


「いつの間に…」


卵…ウィンナー…なるほど、目玉焼きか!

これなら霧島でも作れるだろうっ!…

俺は安心した。だが俺は迂闊だった、ポテサラは火を使わない…火を使う料理は、霧島には、まだまだ早かったようで…


「目玉焼きって、色で表すなら白と黄色とか白とオレンジとかだよな…」


「…そうだね…後はピンク?…とか…」


「だが絶対、黒と黄色はないだろっ!!!」


目玉焼きは黒くよく焼けていた。生焼けの心配は、ないな…


「じゃあ…食べる…」


霧島は食べてみた。…すると、みるみる顔色が悪くなった。


「おい、大丈夫か?…」


「…うっ!…うん…」


霧島は水を飲み押し込んだ。


「もっとっ!…上手くなるように…頑張らなくちゃ…」


そこまで頑張るとは…よほど料理にハマったのだろう…


「おう!…頑張れよ!」


こうして俺たちの朝食は、宅配でパンケーキにした。久しぶりに美味しいなっ!!

…朝食を食べた後は霧島は、そろそろ帰ると言った。全く…なんのために泊まったんだコイツ…


「じゃあ、また学校でな!」


「…うん…ありがと…」


ガチャ


一気に家が静かになった。…っ!!俺は重大な事に気づいた。山田花子のアカウントを見る。

もしかして…これって!…俺は重大な事に気づいてしまったのかもしれない。



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