第34話 『One more timeっ!!』

ピンポーン!


インターホンが鳴った。やれやれ来たか…俺は、あまり乗り気ではなかった…

霧島…結局、何をたくらんでるんだか。


ガチャ


俺は玄関のドアを開けた。霧島は風呂敷を持っていた…えっ?いつの時代だよ…


「…ちゃんとご両親に許可が取れたんだろうな?…」


「…うん…お姉ちゃんに…」


「えっ!?…そのまま言ったのか?」


あれ以来、姉妹が仲良くなったのは、いいことだが…あのお姉さんに少し俺の母さんに似てて侮れないんだよな。


「いや…ちゃんと友達の家に泊まるって…言った…」


「それで、上手く隠せたのか?…バレてないよな…」


「うん…でも、なんか家を出る時…なんか、上手くねって…言われた…」


「はあー…もう、分かった…」


つまり、バレたということだ。今度お姉さんに菓子折りを持って会いに行かないとな…


「ところで夕飯は?」


「さっき、この家で食べた…」


「いつの間に…」


つまり、さっきのポテサラは夕飯の余りだったわけか…ったく、母さんが言わなくても泊まる気だったんじゃないか?


「…で?…いったい、なんのようなんだよ…」


すると霧島は黙った…えっ?…聞いて当然の質問だろ??…やっぱり、綾瀬の事か…


「安心しろよ…綾瀬とは何もないし第一、俺は運命の子を見つけなきゃなんねえーからっ!」


「…そう言って…全然探してないような…」


「しょ…しょうがないだろ!?…急にあんな忙しくなるなんて思わなかったんだからっ!!」


ガチャ


俺たちがリビングに入ると、さっきまでいた母さんがどこにもいなかった。


「あれ…お母さんは?…」


「おかしいな…さっきまでいたのに…まさかっ!」


俺は母さんの性格をよく知っている!…あれだけ中立と言ってたってことは…!!俺は急いでスマホを取り出した。


「…やっぱりっ!!」


メールには、母さんと父さんはお爺ちゃん家に泊まります。美波ちゃんの時は2人だったのにヒカリちゃんとの泊まりの時は2人じゃないのはフェアじゃないので…

     中立の母より


「……」


「…お母さん…なんだって…?…」


霧島は、そう言って俺のスマホを覗き込み、絶句した…


「えっ…つまり…綾瀬さんと2人だったのっ!?…」


流石に母さんは居ると思っていた霧島は、驚きを隠せなかった。…すると霧島はハッとした…


「って…ことは…今日…私たちは…ふ、2人…」


それは心の準備ができていなかったのか、さっきまで泊まる事を希望していたのに、アワアワと慌てふためいた。俺はそれを察しいい案を思いついた。


「じゃあ、今日はなかったという事で!家までは、俺が送るから!」


「…!!」


どうだ!母さん!!…これでは何も言えまい…なんせ霧島が帰りたいと行ったんだから…これでWin-Winだっ!!…だが霧島は何を思ったのか俺が案を出した途端、冷静になった…


「…でも…綾瀬さんは…」


「なんか、言ったか?…」


「…いや…泊まるっ!!」


霧島は顔を赤らめつつ、ビシッと答えた。

なぜだ?…俺が蛇足したのか?…


「お風呂とかは…家で入ったから…後は寝るだけ…」


「俺はさっきシャワーを浴び…」


「シャワー!?…」


「おいっ!!別に変なことじゃないだろ!!」


霧島は、やっぱりソワソワしている…そうだよな、それが普通だよな。…思えばあの時の綾瀬がおかしかったんだよな。しばらくの沈黙が続く…いかん!この空気を変えなければ…


「…じゃあトランプでもするか?」


苦し紛れのトランプ作戦…まあ30分くらいは、もつだろう…


「なら…スピード…やりたい…」


「スピードか〜!懐かしいな…いいだろうっ!!」


「せーのっ!」


…50分後…


「くっ…疲れた…」


「まさか、スピードだけで50分とは…」


「青森が…負けず嫌いだから…」


青森はゲームなら、なんでも強いんじゃないかってくらい強いな…そういえば前の時も…


「フフフ…」


霧島も同じ事を思ったのか笑い出した。


「…懐かしいね…私と…初めてデートした時も…エアホッケー……楽しかった…」


「お互い、負けず嫌いだからな…」


「…あの時」


霧島は急に口を閉ざす。…?、すると顔を少し赤くし俺の顔は見れないのか横を見ながら


「あの時…お姉ちゃんに…」


「?」


そう言えば食堂の時も何か言いかけて、ポテサラだけ、かけてどっか行っちまったな…


「私のこと…名前で呼んだって…」


「えっ!?…あっ!…」


思い出した!…あの時、確かに名前で呼んだけど…お姉さん…なんで、そこをピックアップしたんだ!気づけば霧島は俺の顔をジッと見ていた…


「いやっ!…あの時はお姉さんも霧島だったから、ややこしくなるかなって思って…言ったんだよっ!!」


霧島は俺の顔をジッと見ながら…だが少し目を逸らし…


「じゃあ、呼んで…」


「はっ?…何言って…」


霧島は俺の目を見ながら


「これからっ!…ヒカリって…呼んで…っ!」


「っ!!」


……でも、ここまで女子が頑張ったんだから…


「…ひ、ヒカリ…これでいいか?…」


「うん!…」


「でも、だったら、俺の事を名前で呼ぶべきじゃねえか?…」


「えっ…いや…それは…ちょっと…っ!」


霧島は急いでトイレに入った。…多分、漏れるとかじゃないだろ…

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