第31話 『理不尽っ!!』
「センパイ〜もうすぐ林間学校ですよ〜!」
「夏休みが終わって、もう林間学校か…」
9月になったら、すぐに林間学校なんて…しかも今年最後のイベントなんだろ…?それに、なんかテンション高いしコイツ…何か良からぬ事を考えていることは分かる。
「…どうせ林間学校と恋愛の授業と結びつけられるんだろ?…もう、大体わかってきたぞ…」
俺の見事な推理を聞いても三原は何故かニヤニヤしている…まさか、まだ何か隠し玉があるのか…!?
「センパイ〜クラスの林間学校の実行委員に、なってくださいっ♡」
両手を合わせて可愛くお願いをしてきた。
えっ…じ、実行委員?なんで…
「な、なんで?…」
「先生にお願いされたんですよっ!センパイを委員会に、いれろって…」
「本当か?…だったら先生は直接、俺に言いそうだけどな…本当か?」
俺は先生の性格を少しは理解してきたつもりだ。絶対この件には裏があるはずだ…
「ほ、本当ですよ〜」
「ほ・ん・と・か〜?」
すると三原は観念したのか、口を開いた。
「本当は、あの5人の中から1人は、委員会に入れろってなんですけど…」
「おいっ!それのどこがどうして俺になるんだ?」
「いや〜…ちょっと面倒くさいじゃないですか?だから…その…そっ!それに、ほら委員会を頑張ればセンパイの株も上がりますよっ!」
苦し紛れに言った事だと思うが確かに一理あるな…俺の学校での評価は上げといた方がいいだろうな…
「…分かったよ!やるよっ!!」
「流石っ!センパイ〜♡頼りになりますっ!」
多少は面倒だろうが、学生の内でしかできないだろうからか…ここは三原に乗せられようかな…
〜〜放課後〜〜
委員会の人は集まらなければいけないらしく今日の三原とのデートは無しとなった。面倒くさいと思いつつも久々にデートではない事をやるのはいいなっ!青春だと思う!たまにはアイツらの事を忘れて
ガラッ
指定された教室のドアを開けると…なんという事でしょう!皆んなカップルで委員会をやっている奴らばっかだった。俺はとても後悔していた。
「帰りたい…」
ある男子生徒が
「あれ?綾瀬さんと一緒じゃないの?」
「いや〜綾瀬は、なんか用があるみたいで…」
「へえー本当に仲いいの?」
「えっ!?…仲良いよ!!そりゃあ!!」
なんて事だ!このままだと今度は別の噂が発生するぞ…綾瀬っ!!
ガラ
教室に遅れて誰かが入ってきた。委員会をやるイメージのない生徒だったので皆、騒然とした…
「…青森…探したのに…」
「っ!…き、霧島ァ〜!!俺の為に来てくれたのか?」
俺は無意識に霧島の両手を取った。霧島は少し顔を赤らめる。そういえば最近、霧島は赤くなりやすいな…こういうのは苦手なのか?霧島は俺の顔を見ず横を向きながら答える。
「たっ…たまたまだから!!…」
そう言うと俺の横の席に座った。周りの人達からは本当に仲がいいんですねーと言われた。
噂のおかげでスムーズだ。ありがとう綾瀬!
…ん?だったら俺…委員会になる意味なかったんじゃないか…??
「なあ、俺が委員会やる意味って…」
すると霧島は少しモジモジしながら
「えっ…私は…青森がやるから…手伝おうかなって…」
「えっ!!」
「青森には助けてもらったし…それに…委員会はカップルばっかりって聞いたし…困ってるかなって…」
「霧島…いい奴だな!!…」
「委員会の人も、そろった事だし会議を始めます!」
先生が、そう言って話し合いがスタートしたのだった。
…………
「つ、疲れたな〜」
「…そう?…会議に参加してるよりは聞いてる方が多かった気がするけど?…」
霧島は容赦ない…だがコイツはどうやら気づいてないようだ。
「お前な…よく耐えられたな…あのラブラブムードの教室にっ!!イベントとかも、そういう系ばっかだったし、初めてのイベント事だからってよ…」
「……そっか…」
「…?…霧島?どうかしたのか…」
「いや…なんでも…ない…」
どうしたんだ?霧島のやつ…
「…青森は楽しみじゃないの?…」
「えっ…?」
「林間学校…確かに恋愛の授業と絡めてあるけど…それでも…楽しくなる…と思う…」
「楽しみじゃない事はない…だがイベントだよ…ドキドキ肝試しとか、花火大会で最後の大花火を見ていたカップルは結ばれるとか…そんなばっかりだぞ…皆んな浮かれすぎなんだよ…」
すると霧島はニコッと笑い
「浮かれてるから…いいんじゃない?…皆んな好きな人と結ばれたいんだよ…」
くっ…何も言い返せない…
すると、そこに先生が来た。
「おぉー!!お前ら!ご苦労さんっ!ご苦労さんっ!」
「ってか先生、なんで俺達は強制参加だったんですか?」
「いや〜4人と付き合ってるともなるといいアイディアが浮かぶのかなってっなっ!!…」
「…でも現実はアイディア出さなかったですけどね…」
霧島は容赦ない…先生は
「青森〜?明日の会議で1個はだせよ?」
「先生?口調が教育者として、良くないん…」
「だせよ?」
「…はい…」
…理不尽っ!!
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