第30話 『どうしてだよっ!!』

「どういう事だよっ!?…」


太田は混乱していた。…どう誤魔化せばいいんだ…すると三原は慌てもせず、堂々としていた。…何か策でもあるのか?…


「私、美波さんと仲がいいんです。私は彼氏が今は、いないのでデートしてみたいって言って貸してもらっただけです!」


貸してもらったって…俺は文房具じゃねえーぞ!!…だが太田は納得したようだった。


「な、なるほど…でも!結局羨ましいっ!!」


そう叫びながら太田は、廊下を走って行った。

あ〜あ…変な誤解されなきゃいいが…


ガラッ


今の叫びで職員室のドアが開き、先生が出てきた。


「何をしてるんですか…あなた達は…」


「ってか、先生…センパイのせいで他の生徒にバレそうになったんですけど…」


「あきらかに、お前のせいだろっ!!」


すると先生はボリボリと頭を、かきながら


「センパイ?…まあ、どうでもいいですがそれは、バレちゃダメですからね。青森さん…」


「ってか、もうバラしてくださいよ…また変な噂が、でますよ。」


「青森さんに、変な噂が広がっても私には関係ありません…」


コイツっ!!…先生として終わってるぞ…誰かこの人をクビにしろ!クビにっ!!


「まあ、半分冗談ですが…」


「半分は本音かいっ!!」


変な漫才みたいな事をした後、先生は珍しく?真面目になり


「バレると大問題になりかねませんからね

…かと言って他の男子生徒には頼れませんからね…」


「なんでダメなんですか?」


「センパイ…アホなんですか?…」


「えっ?」


なんか俺、ダメな事言った?


「そんな事したら大問題ですよ…仮とはいえ複数の女子と付き合うなんて…」


「そう思うなら、やめろよっ!!」


先生は俺の肩に手を置き


「今、彼女がいない男子生徒は多少問題がある生徒だ。だが青森さんは仮病をしただけで、それ以外は普通だから、あなたにしたんですよ」


「でも、この4人も色んな問題があるって…」


「青森さんも、もう分かったんじゃないですか?…問題と言っても彼女達の問題は…」


「まあ…確かに…」


先生は彼女達を思ったのか途中で言うのを、やめた。…彼女達の問題は俺がいた事で解決できるものだった。…桐崎は…なんかまだありそうだが…


「と言うわけで、青森さん、任せましたよ…」


「はい、わかりました…」


俺は論破されてしまったのだった。


「センパイ〜、その言い方だと私達と別れたいって言ってるって事ですよね〜…」


「え…へっ?…さあ??…覚えてないな…」


三原は俺の顔をジーっと睨む…俺の誤魔化しは通用しないようだ。


「皆んなセンパイのおかげで変わってきてますよ?…」


「…変わる?」


「気づかなくていいですよ…それがセンパイの魅力って事です。覚えといてくださいねっ♡」


三原はそう言って俺にウィンクをし教室に入って行った。…俺は山田花子を救えたのだろうか…今だに連絡は無し…か…俺はスマホをしまい教室に入る。


ガラッ


すると泣いてる太田がいた…俺は無視して席に着いた。だが太田は逃してはくれなかった。


「無視するなよっ!親友が泣いてるのにっ!!」


えっ…俺達って親友でしたっけ?とも思いつつ太田に声をかけた。


「で?…何があったんだよ…」


「お前はいいよな…って話だ…」


「彼女となんかあったのか?」


「彼女が俺の姿を見て、チャラチャラした男は嫌いだって…っ!!」


俺の机に顔をつけ、机を叩きながら泣いた。


「まあ…それは、お前が勝手に漢の中の漢になるって言って、やっちまったからな…」 


「…もういいさっ!俺の事を理解できる子と付き合うから!」


「って事は…」


「そうっ!お前が仮病で休んだ、カップル誕生会に行くんだっ!!」


「いい人ができる事を願ってるよ〜」


ガラ


先生が入ってきた…太田は席に戻り、いつも通りの授業が始まった。


〜昼休み〜


俺は屋上に向かう…立ち入り禁止なのに、バレたら停学くらいには、なるかもな。そう思いつつも俺は屋上のドアを開けた。


「センパ〜イ〜!!」


屋上のドアを開けると熱風が襲い掛かり、そして三原がアイスを食べながら待っていた。


「暑い…こんな所で食うのかよ…」


「仕方ないじゃないですか〜食堂で食べたら、またさっきみたいな事になりますよ?…」


だが暑い!!夏休みは終わったのに…なんでこんなに暑いんだ。夏なんじゃないか?…だったら夏休みをもう一度…

俺がアホな事を考えていると三原が俺の頬に冷たいジュースを!…


「えいっ!」


「ギャーーー!!!!」


三原にはオオウケだった。


「ったく…お前っ!!」


「はいっ!センパイあげますっ♡」


カンのコーラかなって…魚介の出汁って…しかも冷たい…何そのチョイス。俺は意を決して飲んだ。


「意外と美味いなっ!」


「でしょ〜」  


まあ…でも次は飲まないけどなっ!…俺は心の中でそう思ったのだった。


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