第27話 『名推理っ!!』

マイペースな美女は俺達の物音で目を覚まし母さんの顔を見て、そして俺の顔を見て


「あれ〜?和也君…その人は〜??」


呑気だな…母さんは何も言わずドアを閉めた。

そしてポンッと俺の肩に手を置き


「あんた…モテ期がきているの?」


「え?…」


「あんたが、あんな可愛い子と一夜を共にしたのは正直ヒカリちゃんへの裏切り…だから許さないわっ!!…ただアンタが浮気できるほどモテたという実績は褒めてあげるわっ!!」


怒られるかと思ったが、なんか少し褒められた…親バカ??…いやただのバカだな…


「なんて?」


「いえ、なんでも…って言うか!!母さんは誤解だから!!」


ガチャ


俺が説明しようとした時、ややこしいやつがドアを開けた。


「初めまして、私は綾瀬美波!和也君の彼女です。いつも和也くんには、お世話になっております。」


勝手に俺の服に着替えていて、顔は洗ってないが何故か綺麗な顔…そして品のある挨拶…

まるでお嬢様のような感覚…


「和也っ…」


母さんは見惚れていたが、すぐに俺の顔を見て絶望…


「綾瀬さんは本気よっ!!どうするのよっ!」


「いや…だからっ!!」


俺は誤解している母さんに全ての真相を話した。だが山田花子の事は、あえて言わなかった。なんか言われそうだし…


「で?…あんたは、やっぱり仮病だったわけだ。」


「ぐっ!!」


散々、母さんに疑われたが強行突破した…あの仮病事件…まさか、こんな事でバレるとは…


「まあ、自業自得ね…」


母さんは、どこか安心したような顔だった。

おそらく浮気じゃないと分かったからだろう…

だが


「いくら彼氏だからって学校で決められてる言わば仮でしょ?なのに、家に泊まるって事は…」


「母さんっ!!それは異性の家なら隠れやすいと思ったから泊まっただけで…!!…それだけなんだよっ!!!」


俺は机をバンバン叩きながら叫ぶ。

クソッ…なんとか話を逸さなくては!!


ピンポーン


インターホンが鳴った。ナイスタイミング!これで話を逸らす事に成功した!!

俺は急いでインターホンの画面を見た。

するとそこには、いかにも金持ちですと言わんばかりの格好でありながら品がある女性と執事みたいな老人が立っていた。ん?どこか綾瀬に似ているような…


「…はい?」


俺はインターホンから通話ボタンを押した。


『あっ!すいません、こちらの家は青森和也さんのお家で間違いないでしょうか?』


「はい…そうですが??…」


すると俺の背後から綾瀬がヒョコっと出てきてインターホンの画面を見るなり大声で


「お、お母様っ!!」


「えっ!!…お母様っ!?」


お、お母様!?お母様って呼んでるの?…って今はそこに驚いている場合じゃないか…


『はい!私は綾瀬美波の母の綾瀬海華と申します。用件は…言わなくても分かりますよね?』


あっ…話は逸れたけど俺の望んだ話題じゃないよっ!…だがドアを開けるしかなかった。


ガチャ

ドアを開けると綾瀬のお母さんがニコニコしながら、だがその中に圧がある顔で乗り込んできた。


「…あの何もしてないですっ!!」


「よろしい、察しがよくて助かります」


「お母様っ!どうしてここに…」


「あなたが嘘をつくからです。あの時のあなたの反応は嘘をついている時でした。なので学校に電話をし、彼氏をやっている青森さんの住所を教えていただいたんです。」


プライバシーっ!!…なんて言ってる場合じゃないか…俺らが悪いし…


「帰りますよ?美波…」


すると綾瀬は俺の背中に隠れ


「嫌ですっ!私…帰る気ないですっ!」


「あのね美波…あなたは、これからお見合いがあるの。」


えっ!?お、お見合い…!!俺が綾瀬の顔を見ると綾瀬は下を向いた。


「だから好きな異性が出来ないように名門女子校に通わせて…なのに、いきなり共学になって…ねえ美波、私のこの気持ち…理解出来るわよね?」


そういえば前に太田が言ってたな。月ノ下学園は金持ちの人とかが多いとか…つまり綾瀬は金持ちだったのか…生きる世界が違うな。


「綾瀬海華さん…でしたか?…私は青森和也の母の青森みはると言います。この状況でも海華さんは分からないのですが?」


突然、俺の母さんが乱入っ!?…何か言うつもりなのか?でも人様の家族に口出しなんか…


「仰っている意味がよく分かりませんが?」


「どうして美波さんがこの家にいると思いますか?」


「私から逃れるためにあえて異性の家に泊めてもらったのだと思いますが…」


すると母さんがため息をつき、やれやれと絶妙にウザイ顔をした後


「いいですか?美波さんは頭が良いですよね?」


「もちろんですよ。良い教育は受けさせてきたつもりです…」


「なら仮に今は彼氏という設定の異性の家に泊まるなんて無防備すぎませんか?」


「…た、確かにそうですが…!!まさか…」


「そうですっ!つまり美波さんは…」


おいっ!口出しと言うかとんでもないことを口にしようとしてるんじゃないか!?


「和也に恋をしているんですっ!!」


「っ!!…そんな…まだ出会って3ヶ月…」


「関係有りませんっ!恋に時間なんか!!」


おぉーい!!何親同士で盛り上がってんだよっ!!

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