第24話 『お祭りにお泊まりっ!!』

「あ〜あ〜そういうこと~!!」


流石に、この場所を見て綾瀬も理解したようだ。霧島は提案しただけあって、ちゃんとレジャーシートを持ってきていた。…あれ?俺のスペースは…


「えっと…俺の場所は?」 


レジャーシートには4人が座って俺だけが溢れてしまった。おいおい!持ってきてくれるなら、もっと大きい物に…


「だって…二人だと…思ったから…」


霧島は俺の顔を見てすぐに晒した。

すると三原はムーッとした顔をした。


「やっぱり!!」


「…いや…そういう…事じゃなくて…」   


霧島が謎の否定をする…と、その時タイミング悪く 


ドンッ!  


花火が打ち上がった。仕方ないから俺は地面に座ろうとした…が…なんか湿ってる…やめとこ、せっかく着物だし汚したくないな…母さんになんか言われそうだし… 

それに…


「うわーーっ!!」


「すごーいーっ♡」 


「…きれい…」


「…」 


コイツらも楽しそうだし。俺は立って見ることにした。…って

あれ?…珍しい綾瀬が無言なんて…もしかして、さっきのこと気にしているのだろうか…

すると綾瀬が急に俺の所に近づいてきた。

…他の3人は花火に夢中で気づいていない。


「ん?…どうした?」

 

「青山君…ちょっと出ない?」


「え…でもこの混雑だと…」


辺りは次々と大勢の人達が押し寄せてくる。

ここで抜け出すと皆んなと合流は困難になる可能性が高い…


「今はやめといた方が…」


「いいから!いいから〜」


綾瀬は俺の話も聞かずに腕を引っ張り、どんどん逆流して進んで行く。結構、迷惑行為だと思うんだが…

そして俺達は少し離れた場所で花火を見る事になった。


「おいっ!ここに呼んだ理由はなんだ…?」


「私ね…やっぱ家出しかないと思うの!!」


「そんな事はないぞ!絶対っ!!」


俺は強く否定する。…なんか悪い予感しかしないから…だって俺だけ呼び出して、こんな事言うって事は…


「ねえ青森君、泊めてくれない?」


ドーンッ!!


タイミング良く花火をバックに、なんかいい感じになった。俺の答えは…


「嫌ですっ♡」


個人的には三原のような可愛い感じで断った。だが綾瀬がそんな事で諦めるわけなく…


「青森君は、いいの?私がいなくなっても!」


「いや…そう言うわけじゃないが、わざわざ男の俺にするなよ…」  


「青森君は彼氏なんだから私を助けてくれるんじゃないのっ?」


「何その彼氏ハラスメント…」


そういえば、さっきも…それに前にも助けてくれる関連の事は、よく聞かれていたな…

綾瀬は俺に何を求めているのだろうか…


「それにねっ!親も、まさか私が同級生の男の子にいるなんて思うわけないんだよっ!!」


「それを知った時…お前の、ご両親に会わせる顔がねえよ…」


「それって会う機会があるの?…」


俺の顔を少し赤くしながら上目遣いで見つめてくる。


「いや…そんなつまりは…」 


「それに良いんだ〜彼氏の家に行くんだもん…ある程度は覚悟してるっ!」


「はっ!?」


俺の方がチキンパターンなのか!?

…ってなんでコイツはそこまで覚悟が決まってるんだよ!


「と、とにかくダメだ!!」


「ちぇっ〜〜!」


そう言って綾瀬は袋に入っていた1000円パンをかじった。


「ほらっ!アイツらが気づいていない内に!戻るぞっ!」


戻ってみると…流石に気づかれたようで

桐崎は怒り


「あんたっ!何してんのよっ!!」


三原は、あやしみ


「祭りで男女が2人…いやらしいっ!」


「なんでだよっ!」


すると霧島も元は2人のつもりだったので霧島にもダメージが…


「うっ…!!」


赤面する。


「平気か、霧島…?」


「…獣っ!!」


ったく…なんでこんな目に…ん?少し揉めているとアナウンスが…


『これで花火大会を終了します…落し物、忘れ物がないよう気をつけてお帰りください…』


「よしっ!!帰ろうっ!俺、夏休みの宿題、終わってないしっ!!」


「それは、あんたのミスでしょ…」


「へえーあの桐崎でもちゃんと宿題をやるんだ…なっ!!!」


いつも通り足を踏まれる…Mじゃないぞ?勝手に、この口がっ!!こうして俺達の夏祭りは終わったのだった。


〜〜〜〜〜


はあー…やっと祭りが終わった…

家が見えてきて俺が安心していると…


ピコンッ!!


母さんから連絡がきた。俺がスマホを開くと…えっ??俺は驚いたせいか、読み上げていた…


「お爺ちゃんの片付けを手伝うので今日は1人で留守番してて…戸締りはちゃんとするように…」


「へえ〜!!じゃあ家出できるねっ!!」


「はあっ!!…って!なんでいつから…っ?」


「ずっとだよ〜!疲れてて気づかなかった??」


振り返ると、そこには…もちろん…綾瀬美波しかいないっ!!…


「ドッキドキの、お泊まり会だ〜〜!!」


「え…なんか昭和っぽい…」


こうして綾瀬は無理やり家に乗り込んできたのだった。

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