第20話 『夏初日・終っ!!』

〜〜〜〜


「次は…私よっ!不本意だけどね…」


桐崎は相変わらず…素直じゃない??

…そういえば、あの4人で唯一と言っていいほど仲良くないな。なんでだろ??

…いや、ここから仲良くなればいいんだ!


「なあ桐崎、俺の事どう思う〜?」


可愛いく言えば桐崎だって!!


「何あんたキモッ!」


この可愛さが通じないとは相当ズレてるな

すると桐崎はクルッと振り返り


「ズレてるのは、あんたよ…」


「ったく、相変わらず俺の心を読むなっ!」


そんな言い争いをしながら俺達は屋外にでた。

屋外にも、こんなに温泉やプールが…流石に恋愛の授業に本気をいれすぎじゃないか?


「そう言えば、他の3人は何してるんだ?」


「他の3人は別のとこで遊んでるわよ…って」


「?」


桐崎はムッとなり…だがハァーとため息をつかれた。えっ?俺、何かした?桐崎は呆れながら


「デート中に他の女子の話はNGだって前にも言わなかったっけ?」


「あ〜!!前にも言われたような…」


確かに、こういう所は無駄に乙女だな…


「そういえば…見たかったの?あんたの探してる例の子…」


「いや…いまだに手がかりは俺と同じ高校ってぐらい…」


「あんたって、なんでそこまで、その子に、こだわってるの?…」


「いや…本当は付き合いたいとかじゃないのかもって最近、思うんだ…」


「…?」


「ただ会ってお礼を言いたいだけなのかもな…あの時はありがとうって…俺も恋がなんなのか分かんないからな…」


「ふ〜ん…そう…」


そう言ってしばらくの沈黙が続き屋外のプールで普通に遊んだ。変化球じゃない所が桐崎らしいな…と思いつつ、それ以降は楽しく遊んだのだった。


〜〜〜〜


「はーいっ!最後は私ですねっ♡」


そう言って俺の今の所、邪魔にしかなってない浮き輪をずっと持っていてくれた三原の番がきた。


「せっかく浮き輪もありますし流れるプールでも行きますかっ!」


俺の浮き輪を使ってくれようとするなんて…和也感激!!…あっ!うきわとうわき…似てる


「なんかしょうもない事、思ってます?」


「いや〜?な…何も…」


流れるプール…プールの王道だな!4人目にしてようやく王道がきてくれたぜ。(まあ桐崎も王道だったけど。)


三原は浮き輪に乗りプカプカしている。そしてそれを追いかける俺…


「三原は今ではすっかり人気者なんだろ?」


「そうですね〜最近は彼氏のいる人からもいない人からも告白されますねー」


「彼氏いる人もっ!?」


「確か夏休み後にカップルをこのまま続けるかアンケートを取るんですよ。その時に彼女を変えようとしてる人とからとか…」


「…俺もそのアンケートできるのか?」


「どうなんでしょうね?まあセンパイはイレギュラーですから他の人とは少し勝手が違うかもしれませんね♪」


「三原はいないのか?気になってる人とか…付き合いたい人とか?」


パシャ!


すると何故か三原はムッとし俺の顔に水をかけた。


「っぺっ!!…どうしたんだよ?」 


「いいえー別に〜センパイがそうやって彼女を雑に捨てようとしてるからですよ〜」


「捨てるなんてっ!そんな事、思うわけないだろ!」


「でも私達に彼氏ができて自分の負担を減らそうとしてますよね?」


「まあ…そりゃあ…4人も相手だとな…やっぱり1人くらいなら…」


「じゃあセンパイはやっぱり美波さんが好きなんですか…?」


「えっ…別に…」


ここに、きてなんで綾瀬が?…あっそうか!綾瀬と付き合ってるって噂が…


「じゃあなんで美波さんと付き合ってるって噂がでてもそれを否定しなかったんですか!!」


「だって綾瀬は俺の悪い噂をこれ以上…」


「だからってそれでいいって事は!それは美波さんと付き合っていいって思ってるって事ですよっ!」


そう言いながら三原は足をバタつかせ水飛沫を大量に俺に浴びせた。ちょっ!周りの人にも!

すると流れるプールの勢いもあってかグングンと距離が離れていく。


「ちょ!三原!!待てって!」


〜〜〜〜


見失った…ったく、どうすりゃいいんだよ。とりあえず探すか…しばらく辺りを見回してると


「あれー?お姉さん1人??」


「いえ…彼氏いるので」


なんとナンパ軍団にナンパされていたのだ。うっわー自業自得…だが仕方ないか。


「おーい三原〜」


「あっ!センパ〜イ〜」


「怖かったです〜」


「嘘つけ!」


するとナンパ軍団は帰るかと思ったが俺に近づいてきて俺達を囲み


「ヒョロ長のお兄さん、ちょっと俺らの遊ばない?」


えー諦めろよ…平成初期みたいな野郎だな。だが俺には一応秘策はある。…本当はダメだが仕方ない。


「じゃあ水を掛け合うか!」


「は?舐めてんじゃ…」

封印されし黄緑色の水鉄砲!!かき氷の風呂の水をくらえ!!

ナンパのリーダー格の奴の顔に発射した。


「流石かき氷の風呂!ちょっとやそっとじゃ!ぬるくならないぜ!!」


その内に俺達は逃げ事なきを得たのだった。

三原は珍しくシュンとしていて…


「すいません、センパイ…ちょっと調子乗ってかもしれません…」


「いや気にすんなよ…」


「はいっ!じゃあ気にしませんっ♡」


「それは違う!!」


「冗談です…前回のお礼も、ちゃんと言えてなかったですね…」


そう言えばあの件以来2人きりは初めてか…

三原はニヒッと笑い


「ありがとうございますっ♡」


「…どういたしまして」


こうして俺のプールデートは幕を閉じ…


「じゃあ最後は皆んなでアレ行きましょう!」


「えっ…」


〜〜〜〜


うっわ〜高ーい…綾瀬、霧島、桐崎と合流した俺達はウォータースライダーに来ていた。


「せっかく皆んなで来たんだから最後は全員がいいよね〜」


「ですね〜っ♪」


綾瀬と三原は高い所は平気らしい。一方…


「…いや私は得意じゃないけど…まあ平気よ」


桐崎は少し苦手か…霧島は?


「……」


青ざめている!!どうやら苦手らしい…

今時のウォータースライダーは5人乗りの大きな浮き輪で一気に滑るらしい…おぉ…

こうして365度回転しながら男1人という肩身の狭い状況で回っていった。


「「「「「うわーーーーー!!!!」」」」」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る