第19話 『受け入れろっ!!』

「うわーちょっと恥ずかしくなってきました!」 


「…大丈夫…似合ってる…」


「ってか、これってデートなのよね?」


「そうね~そもそも先生は同時に行くんじゃなくて、各々のデートに役立ててって言ってたからね~」


「なら、いい事を思いつきました!」


~~プール広場~~


「女子って着替えるのに結構、時間かかるもんなんだな…」


浮き輪を膨らませ終わった俺は暇になりボーっと、ただ立っているだけだった。

すると前から少し顔を赤くさせモジモジしながら1人の女子が近づいてきた。


「なんだ?霧島1人だけなのか?」


「…順番…一応これはデートだから…」


「なるほど!そういうことか…」


ここへは遊びに来たってよりはデートしにきたんだからな!…ん?デートも遊びの1つか?…そんなことを考えていると霧島が何かを言ってほしそうな目でこちらをみてくる…あっ!あれか…


「その霧島…水着…似合ってると…思うぞ…」


くっ…恥ずかしいな~!!


「!!…ありがと…嬉しい…」


霧島は嬉しそうだ…やっぱり恥ずくても言った方がいいんだな


「じゃあ、どうするんだ?」


「あれ…行きたい…」


そう言ってコーヒーの温泉を指差した。えっ!初っ端はプールじゃないの?…ってか、どんだけコーヒー好きなんだよ…


「霧島はコーヒー好きだな…」


「コーヒーは…夜更かしする時に飲む…」


その理論で行くと、ほぼ毎日夜更かししてんのか…


「ほどほどにな…」



「なんか青森…お爺さんみたいな事…言ってる」


「初っ端から温泉に入ろうとしてる奴が言うな!」


〜コーヒー温泉〜


あったか〜い〜!意外と初っ端からありだな…

そしてコーヒーのいい香り!!霧島も満足しているようだ。


「あのさ…青森…聞きたいことがある…」


「?…聞きたいこと?」


「青森は…どうして…彼女を作らないの?…仮病して休んだって…先生が言ってたし…」


「それはだな俺は運命の人と付き合いたいんだっ!」


「うっわ…」


「おい!引くな!引くな!」


…………


「…つまり初恋の子が…忘れられないって事?…」


「ああ、そうなるな…」


「へえー…意外と…ロマンチスト…」


この時、俺は本当の真実を言うことにした。


「実はな、ここまでは俺の友達、太田に言った事と同じなんだが…」


「…?」


「少し嘘をついててな…実は俺が引っ越したんじゃなく初恋の子が引っ越しったんだ、その時にキーホルダーを貰ったんだ。俺はあの子と出会って以降、引っ越しをしていないんだ。」


「えっ?…どういう嘘…」


「いや…なんか、それを言ったら余計に色々と言われそうで…」


現にあいつは先生に俺の初恋の人の話、仮病の話を話しやがったからな…


「そっか…」


「?…どうしたん…」


バシャ


係の人にコーヒー温泉をバケツでかけられた。どうやら1日にランダムでそういうイベントがあるらしい…いいところで!間が悪いな、クレームを入れてやる!


「あははっ!」


…まあ、霧島が笑ってるから良しとするか。


〜〜〜〜


「次は私だよ〜」  


ゆったり系だが計算高い系?美女、綾瀬美波。

綾瀬は白が好きなのか水着も白くヒラヒラが着いてる感じだ。


「私はあれに行きたいな〜」


そう言って指さしたのは、かき氷風呂…えっ?なんなの?さっきから普通にプールじゃなくて温泉とかお風呂に行きたかったの??


「お…おおー」


思わず声が出てしまった。かき氷風呂はかき氷の容器風の浴槽に…氷が浮いています!!

うわーシロップの香り〜……

だが俺はさっきまで温泉にいたんだ!まあ大丈夫だろっ!


「ギャーーーーーーー!!!!!!!!」


無理だ!この世の地獄だ!……なのに綾瀬は普通に入っている。


「おい!そんな普通だと俺がオーバーみたいだろ!」


「え〜?でもオーバーじゃないよ〜ほら〜」


見ると色んな人達がワーワー騒いでいた。そうだよな。綾瀬がおかしいだけだもんな。綾瀬はそれを見てニコニコしている。意外とSか??


俺がそう考えているすきに綾瀬は風呂の氷を俺の背中にあてた。


「えいっ!」


「ギャーー!ーー!!!」


散々弄ばれた、俺はワインの香りがするワイン温泉に入った。やっぱりあたた〜かい〜方がいいよな〜すると綾瀬も入ってきた。


「いいのか?かき氷は?」


「1人だとヤダよ〜それに楽しめたし〜♪」


ニヒッと笑う綾瀬はやはりSなんだろうと俺は確信したのだった。


「それに私も体が冷えちゃったからね〜青森君は楽しい?〜」


「さっきので楽しくなくなったよっ!」


「フフフ〜楽しいそうで何より〜」


ったく、まあ…たまには初日から遊ぶのも悪くは、ないか。すると綾瀬は立ち上がった。


「…?どうした??」


「あったまったし、かき氷の方、行こう〜!!」


「えっ!?それはちょっと…」


「なんで〜?整うって知らないの?」


「いや!整うとか以前の問題だから!水風呂よりも、やばいからっ!!」


「グダグダ言わない〜!!」


そう言って強引に俺の腕をつかみ引っ張る。

クッ…抵抗すると、よからぬ所にあたってしまう。これも罠か…よし運命を受け入れましょう!せーのっ!!


「ギャーーーーーーーーー!!!!!」





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