第18話 『真夏のスタートっ!!』
夏休み初日、皆んなは何をするか?…俺は初日は予定をいれず涼しい部屋で惰眠を貪る。
だが…今回の夏の初日、俺は何故かあっつ〜い外でダラダラと汗を流し冷たいジュースを飲みながら直立で待っていたのだ。
まあ…何故かって理由は簡単…
「あら、先に待ってるなんて感心ねっ」
そう言って桐崎が来た。私服ってなんか新鮮だ…って桐崎は小型扇風機を片手に持っていた!
「それを俺に貸してくれ!!」
俺はゾンビのようなポーズで扇風機を求めた。だが桐崎は普通に…
「別に中で待ってればいいでしょ…頭を使いなさいっ」
そう言って中に入っていった。…確かに…俺はなんで律儀に待っていたんだろう。犬だったら映画になってたな。
「涼しいー!!」
そうだよっ!流石、文明の利器!やっぱり夏はクーラーだよな!俺が感動していると突然、桐崎はタオルを取り出し俺の顔をふいた。
「な…なんだっ!」
「汗がすごいじゃない…私の近くにいるんだったら綺麗にしなさいよねっ」
この洗剤の匂い…あの子が貸してくれたタオルの匂いに似ている…なんだか懐かし…
「いっ!!」
いきなり桐崎が強く俺の顔をふいた。痛っー!
「何すんだよっ!」
「あんた…今、違う子の事、考えたでしょ…」
「えっ!?…そんな事は…」
桐崎…いつも思うんだが鋭すぎるだろ…いや、俺が顔にでやすいのか!?
「あっ…2人とも…おはよ…」
「おはよっ!ヒカリ」
「おう!霧島っ!」
霧島は麦わら帽子を被っていた。なんか…全体的に農家みたい。いや言わないよ?言わないけど…なんか。
「あー!それ先週買ったサロペットじゃない!似合ってる〜」
へー、サ… サロ…ペット??…?…でもオシャレなんだろう。
「ありがと…あ、青森は…どう思う?…」
「え!?ああ……オシャレだと思うぞ!」
霧島は何かを察したのか俺の顔をジーっと見ながら
「なんか青森…テキトーな気がする…」
!?…やっぱり俺って顔に、でやすいのか!?今後はマスクをしよう…
「いや……そんな事は…」
「あんた、モテないわねっ…」
霧島はプイッとそっぽを向いてしまった。
…そういえば…あの子と会った時、よく麦わら帽子をかぶっていて黒髪ロングで…こんな後ろ姿だったな……
どうしたんだろ俺…急にあの子の事を…懐かしい匂いを、かいだせいかな…
「皆さんー!おはようございますっ♡」
手を振りながら三原がやって来た。悪い噂がなくなってから人気らしい(※太田調べ)
「うっわ!センパイなんかしちゃったんですか?」
霧島を見て真っ先に疑いも無く俺に聞いてきた。
「ちょっと待て!桐崎かもしれないだろ!」
「はあ?あんた喧嘩売ってんの?」
「いや、だってセンパイしかありえないじゃないですかっ♡」
「あの……センパイって?…」
霧島がこっちを向いて三原に聞いた。確かにセンパイと呼ぶ理由は、俺もなんかよく分からなかったんだよな。…でもセンパイ…昔も誰かに呼ばれてたような……
「私の理想はちょっと年上の人がいいんですよねー。だからそう呼んでるだけです。あだ名みたいな?」
「へー変なあだ名ねえ…あんた」
「俺が決めた訳じゃねえからなっ!!」
すると真っ白のワンピースを着た綾瀬が来た。
「おはよ〜皆んな〜」
「…ジャスト…」
「ギリギリなんて珍しいですね」
「いや〜いろいろ悩んじゃって〜」
「?」
悩み!?…なにかあったのか??
「…」
桐崎は黙っている…?どうしんだろう?
綾瀬のワンピース… そのワンピース…あの子がよく着ていたのに似ているな…
って、本当にどうしたんだ俺は!!落ち着け、きっと夏でおかしくなったんだ。
「そのワンピース、良いなっ!…」
つい、ボソッとでてしまった。
「え……あっ…ありがと〜」
「へえーセンパイは、ああいう服が好みなんですね」
「…私の時と違う…」
「いや!違うんだ…なんかワンピースで…つい」
「鼻の下伸ばしてんじゃないわよっ!」
なんとなくあの時を思い出してしまい、口に出てしまった。…山田花子…あれから何にも連絡がないな…どうしたんだろか。…まあ俺も色々あって考えてる時間がなかったからな。こっちから、また連絡してみよう。
「よし!皆んなそろったし行きましょうか!」
「あーあ…どうか知り合いに会いませんように!」
「大丈夫ですよ!センパイ!変な噂が広がるだけですから!」
「何に安心しろと?」
〜〜〜〜
バンッ!!
まずプールに舞い降りたのは…俺っ!!
普通の水着である。別にこだわりもなくお店で適当に買っただけのもの。
「混んでるな…」
やっぱり夏休みだけあって家族連れもカップルも友達と来た人達も…夏の大集結だ。
…それにしてもプールなんて久しぶりだな…中学の授業以来だ。別にプールが楽しみじゃないが俺は水鉄砲を持ってきた。…がどうやら持ち込み禁止だったのでロッカーに、おさらば。浮き輪は持ち込みOKだったので俺は浮き輪を膨らませながら待っていた。…浮き輪っているのかな。
こうして俺達の夏休みがスタートしたのだった。
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