第15話 『お知らせっ!!』

「うわっ!しょっぱっ!!」


霧島のお姉さんが作りかけの肉じゃがの味見をして叫んだ…霧島は顔を赤くしながら下を向く。スマホ見ながらで不味いのなら料理オンチってレベルじゃないな…。霧島はなんとなく俺がなんて思ったか察したようでキッと睨らまれた。


「いや!違うから…何にも思ってねえって…」


「………どうだか…」


「あれ〜??今、音がした?…おーい!ヒカリ〜!?」


妙に鋭い!!くそ…このままだとバレるぞ?どうすれば…


「だが、霧島!ひとまず返事だけはしておけ!」


「わかった……今…トイレ…」


「あ〜!トイレね〜あと青森君は?」


えっ!?そんな当たり前のように…バレていた?いや…能力者か!?


「えっ…青森?…なんで…」


「だって明らかに男の子の靴があるから。ヒカリが仲良い男の子って青森君だけかなって…」


なんとも鋭い観察眼っ!探偵にでもなれるんじゃないか?…だがどうする?俺はどう出てきたらいいんだ?だがひとまずは


「霧島…もう出ていいんじゃないか?」


「…うん」


霧島はトイレから出た。すると、すかさずお姉さんが来て


「私もトイレ…って…!!」


「「あっ」」


「キャーーーーーー!!!!!!」


家の中はお姉さんの悲鳴が響いた。お姉さんはすっかり干からびてしまいブツブツと独り言…


「えっ…高校生の男女が猛暑日にトイレで2人きり…つまり…」


「だから…違うって!…急に姉さんが帰ってきたから…つい反射で…」


「やましい事がないなら別にいいじゃないっ!!…あっ、そういう事〜」


「「?」」


お姉さんはそう言うと何故かこちらを見てニヤニヤしていた。あのー1人で解決しないでもらえます?


「どういう事ですか?」


「つまりは青森君を取られたくなかったって事でしょ?」


「っ…ち…ちがっ…」


みるみる内に霧島の顔が赤くなっていく。


「えっ…マジ?」


「違うからっ!!!!!!」


さらに顔を赤くして霧島は部屋に行ってしまった。俺も今日はこの辺で帰るか…玄関で靴を履いているとお姉さんが最後に…


「ヒカリとは仲良くしてくれてありがとね、でも、もし生半可な気持ちだったらやめて欲しい…そうしないとあの子はまた…」


生半可…確かに俺はどれだけ真剣に向き合っているのだろうか…試験のために…赤点回避のため……。霧島が今日赤くなった原因は多分初めての男友達だったからとか久しぶりに友達と家で遊んだからとかだろう…うん…そうだ。


〜〜次の日〜〜


ガラッ 


教室が開き先生が入ってきた。先生は辺りをキョロキョロしだした。そして俺の顔を見ると


「青森君、職員室に来てください。」


「え?…わかりました。」


そう言って俺が席を立つと太田がすかさず俺の所に来て耳打ちをした。


「青森っ!!もしかしたら色んな女に手を出してたから退学かもしれないぞっ!!」


「…まあ…行ってくる…」


「健闘を祈るっ!」


太田はグッといいねポーズをした。…ったく、お前は自分の心配をしろ!


〜職員室〜


職員室に行くまでに俺は何の用か先生に聞いたが先生は職員室に着いたらとその一点ばかり

…もしかして俺本当に退学!?

すると4人は、もう集まっていた。初めて会った時ぶりの全員集合…ってそん時は三原はいなかったか。


「で?何なんですか…先生??」


桐崎は俺が来るなり、すぐに質問した。

すると先生は俺たちの顔を見ながら


「もうすぐ夏休みですね。」


「そうですね〜暑くなってきましたね〜♩」


綾瀬は夏が好きなのか、暑いのが好きなのか嬉しそうに言った。


「えー、でも暑いのって嫌じゃないですか?ベタつくし最悪ですよっ!!」


三原らしい意見だ…ってなんか前よりこの4人、皆んな仲良くなってないか?


「…夏…嫌いじゃない…長い休みあるし…」


それは別に夏、関係ないのでは?…霧島は俺の顔を極力見ないようにしているのか?…と思うほど不自然に横を見ながら言った。

すると先生はため息をつきながら


「はあ〜あなた達はいつも好き勝手に喋りますね…私が喋ろうとしていたのですが…」


「で…何をするんですか?」


一旦リセットするため、俺が聞いた。先生は俺たちの顔を1人ずつ見ながら


「夏休みでも特別試験はありますからね」


うっわ…そんな事だろうとは思ったけどよ…夏くらい休ませてくれよ…


「夏くらいコイツのこと忘れさせてよっ!」


桐崎…流石に俺、悲しいぞ?少しは仲良くなったと思ったのに…まだまだ道は険しいようだ。

先生はあきれながら


「はあー何を言ってるんですか?夏休みだからこそカップルはデートするんですよ?なんなら泊まりとか…」


「うわっ!コイツと泊まりとか無理なんですけどっ!」


「おい?桐崎??なんか当たりが強くないか?俺なんかしたっけ?」


すると三原もすかさず


「センパイ…女の子の気持ち勉強してください…人間って面倒くさい生き物ですから…」


「誰が面倒くさいのよ!!」


えっ…俺なんかしたっけ?……全く心当たりがない…帰ったら調べてみるか。先生は咳払いをした。


「お前ら…」


ひっ!!まずい!口調が荒っぽく!怒ってるぞ…


「せ…先生、どうぞ…」


「つまりだ、夏休みはデートをしろ!それだけだ。何かあったら連絡しろ!それだけだっ!」


「「「「「りょ…了解です。」」」」」


悲報…夏休みは休めなそうだ。

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