第12話 『想定外っ!!』

〜夜〜


俺は自分の部屋で寝転んでスマホを取り出した。霧島に連絡するためだ。


明日は諸事情によりデート日を変更したいと思います。…と。なんか変かな…まあいいのか。

ってか、ローテーションを決めた意味がないくらい変更しまくってんな…俺。

すると何故か電話がきた。もちろん霧島からだ。


「どうした?霧島…」


「…女?」


何それ?メンヘラ?…俺たちって付き合ってましたっけ…って付き合ってるんだけど…

あ〜複雑っ!!


「女って…三原に少し用があってな、だから明日は変更してくれ…って事だ。」


「そっか……まあいいけど……まあいいや、また今度」


「お、おう…」


こうして電話は切られた。…確かにメールよりも電話の方が効率は良いかもな。

今度は電話で…いや電話って夜には結構失礼な気もするが…


〜次の日〜


俺が校門まで来ると前島が待っていた。…体育教師かよ。まあいいか、俺も用があったし


「三原とどういう関係なんだ、はっきり聞かせてもらいたい!」


「…お前、昨日あんな事言っといて、よく堂々と聞けるな」


すると前島は少しひるむ…俺が今できる最大の攻撃…前島には効果は抜群だ!!


「と…ともかく…聞いていい…ですか?」


け…敬語!どうやら単純に悪ってより、罪悪感はきちんと持っている系か。良心はあるのか…

なら!


「簡単に言えば…」


「!!」


〜〜放課後〜〜


俺は三原に呼び出されていた。空き教室に入ると主役は後から登場するようで…俺は先についてしまった。


「ったく、呼んだ方は待ってなきゃダメだろ」


そんなちょっとした文句を俺は疲れていたのか珍しく心の中で思うのではなく声に出していた。なので…後ろからバンッとカバンで叩かれた。


「ウエッ!!」


振り返ると何故かムッとしている。えっ…これで丸く収めれたと思ったが…


「私が聞きたいのはどうやって収めたのかですよ…」


心を読まれた!…エスパーか!?


「やっぱり…変わってたか?」


「はい…変わってました。それに前島にも謝られましたし…」


「俺は朝に前島に会ったんだ…アイツは自分の評価が落ちるのを恐れて咄嗟に言ってしまったんだ。だがその嘘がこんなに大事になり三原を孤立させるなんて思ってなかったんだ。アイツはアイツなりに罪悪感をずっと引きずっていた。」


「!…でも…それは…」


「ああ…許される事じゃない、だから三原との関係を聞かれた時こう言ってやったんだ。前島の事で相談に乗りナンパをしたってな…」


「うわ…センパイ…どんどん最低な噂が大きくなっていきますよ」


痛いとこをつくな!!


「とにかく!それを聞いた前島は動いたんだよ」


前島は先生に自分が浮気をした事、噂を流した事、アンケートに嘘を書いた事を報告した。

だがここから前島が周りからどんな評価をされるか、どういう態度を取られるか…そこから先はアイツ自身が背負っていくしかない…


「とりあえずは解決じゃねえか?…って…え」


三原は目から涙を流していた…えっ…何どういう事だ??


「ち…違うんです!これは…違くて…センパイ…」


三原は俺の背中で泣いた…後に俺は思った。三原が泣いていたのは辛かった事からやっと解放された喜びの涙だったと…


その後三原は1人で帰ると行って教室を出て行った。いろいろと思う所があるのだろう…一件落着かな。


ガラッ


「えっ!?」


扉があき綾瀬が入ってきた。えっ…もしかして今の見られて!?グイッと俺に顔を近づけ


「いた〜…ごめんね〜ちょっと付き合ってくれない?」


「えっ…解決したばっかなんだけど」


校舎裏に連れ出された俺は見ず知らぬの男子生徒がいた。男子生徒は面識なし…何しろと?


「私の彼氏だよ!!」


綾瀬はギュッと俺の腕をつかむ。おぉ!フローラル〜


「そ、そんな…綾瀬さんと付き合っているのか!じゃあ霧島さんとも桐崎さんはどうなんだよ!」


「単純に仲がいいってだけだよ!!青森君を悪く言うことは許さないっ!」


!!…意外だ。綾瀬がこんなことを言うなんてな…男子生徒は泣いて走っていた。


「で?俺はどんな状況にいたの?」


「知ってる?彼女がいない男子生徒は何人かいるんだよ?」


「えっ!!」


やっぱりな!全員が全員ペアになるとは思えない…ペアができない男子生徒だっているはずだよな!俺だけじゃねえよな!だったらこの重荷を少しでも誰かに!


「まあ…休んだのは青森君だけだよ〜」


「グハッ…」


そうか…俺は仮病で休んだ罰として特別試験を受けるはめになったのか…俺の自業自得か…

重荷をわけることはできないな…


「あの男子生徒は私に告白してくれるの…だけどさ…強く断れないというか…なんというか…その何回もしつこくて…」


「なるほど…それで俺を盾にしたのか?」


だが俺の噂を取ろうとしてくれた…ように思えたが…


「亜美ちゃんの…こと…さっき聞いちゃって…だから…」


??


「どうして青森君はそこまでしてくれるの?」


「えっ…」


不意に聞かれたその質問は綾瀬美波のらしくない真剣な顔でなんか緊迫感を感じた…

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