第11話 『本当の真実っ!!』

前島とかいう男子生徒…どうやら三原の元カレらしい…だが三原は俺の顔を見て何事もなかったかのように


「さあ!行きましょ!」


「えっ…い、いいのか?」 


すると前島も三原の行動は想定外だったようで

慌てて俺達に近づいてきた。


「あっ!おい!!待て待て待て!!」


「あぁ?何か?」


三原はジト目になり高圧的な態度だ。桐崎のようだ。前島は押され気味だが負けずと何故か俺を指差し


「どういう事だ?三原!悪い噂ばかりの青森と一緒に帰るなんて!!」


「えっ!?」


俺ってそんなに悪い噂が広まってんの!?この特別試験のせいで!?おい、誰か先生を呼べ!


「誰と帰ろうが私の勝手ですよね?」


三原はずっと相手にしていない。ひとまず、わかった事は前島と三原は何かあったって事だけ…浮気以外の何かが!!…って!!


「前島って前島春彦か!?中学でサッカー部のエース…高校でも期待されているという、あの天才の…」


すると前島の慌てていた顔が急に変わり髪をパサッと上げた。


「ああ…そうだ!青森もどういう事だ?いろんな女にアタックしてるんだろ!」


「ん〜…そう見られても仕方ないか…」


こんな俺の開き直ったような態度にさらに腹を立て


「お前には三原を任せられないっ!」


「元カレが何言ってるんですか?それに私たち最低同士いいペアですし」


そう言って三原は俺の腕をギュッと掴んだ。

えっ…俺も最低なの!?


「お前は最低じゃないだろ!!浮気なんて俺のでっちあげなんだから!…あっ!!」


つい勢いで余計な事を口走ってしまったのだろう。前島はまずい!という分かりやすい顔をした。


「えっ!!じゃあ三原の浮気は…」  


「行きましょ…センパイ…」


そう言って三原は俺の腕を掴みながら強引に走った。流石に前島は追いかけてこなかった。俺は三原の表情を見ることがなんとなくできなかった。


そして俺たちは電車に乗り少し離れたカラオケ店に来ていた。


「三原…あのさ」


俺はなんか喋らなきゃと思ったその時三原はマイクを取り


「アッーーー!!!」


「え?…」


突然大きな声で叫んだ…えっ??おかしくなった?すると曲が流れてきた。いつの間に…


「とりあえず歌いましょ!」


「そ…そうだな…せっかく来てるしな!!」


こうして歌っているとあっという間に2時間たってしまった。よし…聞くなら今かもな。


「なあ…三原、さっきの話の…本当の真実を聞かせてくれないか?」


「プッ…なんですか本当の真実って…変な言葉ですね」


「ほっとけ…」


少しテンパってしまった。だが三原は今ので話しやすくなったのか話し始めてくれた。


「私…カップルの授業で前島が彼氏になって、最初は良さげだったんですけど…でも前島は中学の時から彼女がいたんですよ…」


「…!!」


「前島のやつ学校でのアンケートは嘘をついていたんです。…それでそれを問い詰めて、次の日に学校に報告しようと思ってました。でも…」


「その時には三原が浮気していたって噂が広がってたって事か?」


三原は静かにうなずいた。俺に悪い噂が広がった時、心配してくれたのはそういう訳だったのか…自分も噂で傷ついていたから…


「その事、学校には?」


「言いましたよ?…でも証拠もないですし、スマホの履歴も全部消していたらしいんです…でも私の浮気も証拠はないので、真偽はできず…でも前島は浮気されたと噂を流していた…これが本当の真実です…」


俺をイジる元気はまだあるようだ…でも…強がっているだけのようにも俺には思えた。


「でもよ?だったら、さっきはなんだったんだ?未練というか…復縁を望んでいる感じに思えたぞ?」


「しつこいんですよ…どうやら私を本命にして中学の彼女をキープしようとしてたみたいなんです。私に新しい彼氏ができないようにあの噂を広めたんです。」


なるほど…三原は料理も上手いし愛嬌もある…今の時代こう表現していいのか分からないが女子力が高い…前島は惚れ込んだのだろう…だからって許される事じゃない!


「よしっ!こうなったら復讐するしかないなっ!」


「…えっ…復讐ですか?」


予想外の俺の提案に三原は目を丸くした。三原は悪くない…なのに今のこの現状…復讐しかないだろ!


「俺に任せろ!!」


「まあいいですよ?センパイがやりたいのなら」


ったくコイツは可愛くないな〜!三原の笑顔を見て、俺は笑いながらそう思った。

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