第8話 『真意っ!!』

各クラスのホームルームが終わるのにそこまで差はないはず!急げばまだ…

俺は辺りを見回しながら走る。

すると…


「あっ!いた!!」


が…待てよ?今、声をかけたら逃げられるんじゃないか?仕方ない…

俺は電柱に隠れながら桐崎を追う事にした。

だが何故だ?…アイツも赤点は避けたいはずじゃないのか?

霧島が心を徐々に開いてくれている今、1番喋りにくいのは桐崎だ。せめて桐崎の悩みが分かれば…

すると何かを察知したのか後ろを突然振り向き


「うわっ!!やっぱいた!!」


えっ…なんで分かったの?能力者??まあバレちまったら仕方ない…


「当たり前だろ?今日はお前とデートなんだ」


すると桐崎は自分が悪いくせに俺に逆ギレをした。


「私はあんたとデートなんて死んでも嫌なのっ!」


えっ…死んでも!?コイツ言わせておけば…いや待て今は紳士だ…俺、紳士にいけ!!


「桐崎…このままだと赤点だぞ?いいのかよ?」


「別に〜、一教科くらい赤でもいいんじゃない?」


うわ…そういうタイプか。ん?待てよ…

その場合、俺ってどうなるんだ?他の3人とキチンとデートすれば赤点は免れるのか?

…いやあの先生がそんな事、許すわけがない。


「あのな桐崎…お前が俺を嫌ってるのかも、しれないが俺だって…」


「あれ〜??青森君とあいかちゃんだから〜」


俺がいい感じの事を言おうとした時、空気を読まずその人はおっとりと参戦してきた。

そういえば今日3人とは喋ってたけど、この人は喋ってなかったな…


「綾瀬さん!!」


「別に綾瀬でいいよ〜」


「ちょっと!!なんで美波には、さん付けで私は最初から呼び捨てな訳!?」


あ〜、そう言えば…勝手に口がそう動いてたな…紳士失格!!


「だったら、そう言われるような態度を取るんだな」


「はあ!?ムカつく!!」


そう言って桐崎は去ろうとした。するとその様子を見てか綾瀬は両手をパンッと叩き


「そうだ!じゃあ私ともデートしよう〜」


なるほど…女子2人になれば男としては肩身が狭いがこれなら桐崎も安心…


「ごめんね美波、今日は予定があるからまた今度ね」


「おい!それを先に言えよっ!!」


「だったらそう言われる態度を取るのね」


「理不尽っ!!」


なんか変な因縁が生まれてしまった。

そう捨て台詞を残して桐崎は行ってしまった…


「ったく…アイツと仲良くなれるのか…」


って事は今日の俺は暇になった訳だ。よしっ帰るか…俺は綾瀬に別れを告げそそくさと帰ろうとした。


「待ってよ〜青森君!」


綾瀬はトコトコとついてきた。あっ…そうか!だったら今日は綾瀬とデートすればいいのか。


「じゃあ綾瀬、俺とデートしてくれるか?」


「そうそう〜私もそう言おうとしてたとこ〜」


なんていい子だ…桐崎と会ってたから余計にいい子だと思うぜ。だがこの子も桐崎達同様に問題があるみたいだが…


〜ファミレス〜


やっぱり学生がお茶するって言ったらファミレスだな。

俺はドリンクを飲みながら綾瀬に思い切って聞いてみることにした。


「なあ…綾瀬の問題って具体的にはなんなんだ?優しすぎるとか書いてあったんだが…」


「ああ〜私はね…押しに弱いタイプ?って先生に言われたんだよね〜」


「押しに弱い…じゃあ例えば告白したとして、もし好きじゃなくても何回も告られたらOKしちゃう感じか?」


「そうだね〜私ってあんまり人に嫌われたくないって言うかさ…なんか頼られたり好意を持ってくれたり…そういう事してくれるのって嬉しいんだよね〜」


良い子〜!!根っからの善意!!

ただ少しだけ苦笑いしながら答える綾瀬は多分それが悪い事だとは思ってないのだろ…


「それで中学の時にトラブルがあってね〜そんな事が過去にあったってアンケートに書いたら先生が特別試験の方が安全だって言って…」


なるほど…特別試験の方が他の女子の目もあるし安全なんだろう…先生もちゃんと考えてるんだな。でも俺はこの子に何をすればいいんだ?


「私も聞きたいことがあるんだけど〜」


「いいぞ?なんでも聞いて…」


「どうして青森君は彼女を作らなかったの?資料には諸事情だって書いてあっただけだったから気になってたんだ〜」


「!…ああ、それは…俺は昔出会った運命の子を探してるんだ!!」


俺は綾瀬に山田花子のアカウントの事は伏せた。


「へぇ〜!!ロマンチックだね〜」


ジュースを飲みながらおっとりと喋る。一応確認するか…


「その子…綾瀬じゃないよな?」


「ん〜?」


綾瀬はYESでもNOでもない返答をし、言葉を、にごす。


「どういう事だよ?」


「だって〜運命なんでしょ?だったらビビッと、きたみたいな…どこにいても見つけ出してあげなきゃ〜」


確かに…運命、運命言ってるんだったら

これくらい分かってよってメッセージだったのか…って事は綾瀬が??


疑問が深まるばかり…だが今思えばあのアカウントは分かれば簡単なヒントをくれていたのだった。





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