第4話 『登校しなさいっ!!』
特別試験の内容を聞いた後、俺は全速力で家に帰った。すると母が目を輝かせて待機していた。
「あれ?仕事は?」
「今日はテレワークにしてもらったの!彼女できたの?」
そんな事のためだけにテレワークにするとは…
だからと言って「できたよ!4人もね!!」なんて言えるわけもなく…
「それが…俺以外の人は皆んなカップルできちゃって…俺にはできなかったんだ!!…アハハハハ…」
すると母さんは露骨にテンションを下げ俺を睨みながら
「はあーー…あんただけ…あのね!!デートした事がない、恋人、配偶者がいない割合は増えているの!!せっかく学校がカップルを作る授業をしてくれたのに…あんたねえ…あんた!」
「じゃ…じゃあ俺宿題やるから!!」
思ったより母さんの怨念が強く俺は急いで自分の部屋に戻った。あー!!もう考えるのやーめた!俺はスマホを取り出し現実逃避をしようとした
…が!!…通知!?まさか……まさか!!
「えっ…!!」
俺は思わず声が出てしまった…俺が投稿した写真にリプライがきていたのだ。それは俺が持ってるキーホルダーのもう半分…つまり…
「あの子だ!!」
アカウント名は山田花子/Jane Smith…茶色の円の中央に緑の円のアイコン…フリー素材を簡単に合成したものだな
「ジェジェジェ…ジェーン・スミス??なんだ?どういう意味だ?」
調べてみるとよくある、ありふれた名前という意味らしい…つまりは偽名か…ってか
「写真のリプライだけかよ…」
写真だけ…コメントもなし他のポストは、なし…ってか、もしかすると今日作ったアカウントか?
「!!」
写真は手でキーホルダーを持っている写真で背景は、ぼかされているが少しだけ写っている袖のブラザーのボタン…この絵柄!!
「俺の高校の…!」
えっ?…ってことは…もしかして!!
彼氏がいるかもしれないってこと〜!?!?
「ああああああ!!!!!!」
「和也!!うるさい!」
母さんがそう叫んだが俺は無視して叫び続けた。
〜翌日〜
俺とした事が取り乱してしまった…まあとりあえずはこのアカウント、フォローしとくか…俺がリビングに向かうと母さんが朝なのにとんかつを作っていた…
「えっ…何…」
すると昨日の母さんとは思えないぐらい…聖母のような笑顔で
「あら、おはよう…大丈夫よ和也、人生は長いんだから…和也が一番辛いものね…でも今はマッチングアプリもあるしファイト!」
えっ…どうやら母さんは俺が昨日、叫んでいた理由を彼女ができなかった悲しみだと勘違いしているらしい…まあいいか…これでよしと…
…って、だからってとんかつ??
ピーンポーン・ピンポーン
「あら?誰かしら…こんな朝早く」
母さんがインターホンを見ると母さんは震えながら
「えっ…ちょ…ちょっと和也!!」
「ん〜?どうしたんだよ…母さ…」
インターホンを見ると黒髪ロング…パーカーにブレザーのクール系美女…間違いない霧島ヒカリだ!!
母さんは当然俺の肩を揺らしながら
「誰よ!ねえ誰なのよ!?」
「えっ…あ…ちょっと待てって!!」
俺は急いで玄関に行きドアを開けた。霧島ヒカリだ…昨日は無言だったな…いや、何回かシンクロはしたか…ってか人見知りが何の用?
「お…おはよう!どうしたんだ?霧島さん…」
すると初めて霧島さんは俺に口を開いた。
…無表情で
「おはよ…忘れたの?昨日の話…」
さ、最低限の会話…昨日の…ああ!!そうだ、そうだった今日からデートするんだった。
でも今日、霧島とデートとは聞いていないが…
「今日は霧島なのか?」
「…やなの?」
「えっ…いや!!そういう事じゃなくて!どういう順番なのかなって…」
「普通に…話し合って…」
話し合ってって…まあいい…深くは聞かないでおこう…なんか傷つきそうだし…
「じゃあ…早く着替えて…」
「えっ?!」
あっ…そういえばまだパジャマだった。俺は、赤面し
「ちょ…ちょっと待っててくれ!すぐ準備するから!!」
家に戻ると母さんは目を輝かせていた。ちょっとやめてくれよ!そんな純粋そうな眼差し!!
「誰なの?ねえ!!あんなに可愛い子!どうして昨日言ってくれなかったの!!」
「また帰ってから説明するから!!」
俺は急いで着替え朝食も食べず、家を出た。
霧島さんはうんともすんとも言わず俺の顔を見るなり歩き出した。
「えっ!ちょっと!!」
ったく!!なんでよりにもよって一番関わりづらいやつにするんだ!桐崎の方がまだ喋れるからいいが…こんだけ無表情だと会話しにくいぞ…
「…ってか、霧島さんはよく来てくれたような
…てっきり来ないもんだと…」
「同い年…」
えっ?俺ワンテンポ会話聞き逃してる?意味が分からないんだけど…
「同い年なのは知ってるけど…?」
「呼び捨てでいい…」
「あっ…了解です…」
「それに私も赤点は嫌だから…」
「まあ…そりゃあそうだよな……」
くっ…いまいち会話が盛り上がらないな。
だが別にカップルが出来ないほど欠点とは思えない…なんか他に何かが…こんな時どう会話をするか…あっ!!そうだ!確かお姉さんは月ノ下学園の生徒会長だったはずだ。資料にそう書いてあった。
「そ、そういえば霧島のお姉さんってすごいよな…!!…ひっ!」
それまで何考えてるか分からない顔だが今は分かる!なんか怒ってる!!
「私に姉の話はしないで…」
「え…えー…」
めっちゃ地雷っぽかった…資料にはそんな事、書いてなかったぞ!!今日一日どうしよう〜!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます