だから何だっていう話

かにかま

初夏

洒落たカフェ、君と2人。大人なふりをしてコーヒーを飲む。

「昨日さ、出会ったんだよ。寒くない朝に。まだ時間は早いのに空が赤くなっていってな、すごく夏を感じたね。」

「そりゃいい話だ。さぞ煙草も美味かったろう。」

「もちろん、100倍くらい美味かったさ。」

君の話を聞き流しながらもう一度、コーヒーを啜る。

彼は日常感あるものが好きで、あまりスマホを見ないでよく空を見上げてる変なやつ。

この前も何か言っていたな。そうだ、月の話。確かこう話した。

「たまたま月に飛行機雲が被さった時があって、月が割れたかと思ったんだよ。でも月って動いているからだんだんと1本の線みたいな雲から抜け出していくんだ。綺麗だったけど、俺にとっては嫌だったのさ。時間の流れがはっきり目に見えたからね。」

そうなのかと適当に流した。その変な感性は俺にはよくわからない。


カフェを出て、腹が減ったので近くのファミレスに足を運んだ。去年の6月のはこんな暑さだったかなと思い出しながら。

また君が口を開く。お喋りなやつだ。

「大人っていいよな、新しいギターも、本も、すぐ買える。僕らはといえばせいぜいマックでちょっと高めの800円のセットを頼む程度だな。あーあ、金が欲しい。」

そう言いながら君は雑にパスタを巻く。500円。

「大人はその代わりにいろいろあるんじゃね。知らんけど。」

「知らんのかい。」

休日の昼時だからか店員が忙しく皿を運ぶ。子供はドリンクバーのコーラを注ぐ。


だらだらと歩く休日。夏のはじまり




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俺はよくみんなで遊んだ後は1人でタバコを吸う。一人の時間も好きだから。

ある朝、すごく綺麗な空が見えた。太陽が赤い産声と共に出てくる。なぜか悲しくなった。

歩く時の目線は下ではなく前を見ている。生活は変わらなくても景色とか、気温とか、空模様はいつも変わる。それを1人勝手に感じるのだ。


よくいるあいつは明日も夕方まで寝るんじゃないかな。俺は朝暇だからどこか行きたいんだけどな。最近あいつは楽しくないみたいで、それが人のせいなのか何なのかわからないが彼なりに不幸を感じることがあるのだろう。でもまあなんとかなるだろ。


所詮は他人事。だけど他人じゃない。




この前大人に言われたんだ。

「お前は幸せそうな顔をしているが他の人を見てみろ、必死に頑張って生きてんだ。そんなヘラヘラするんじゃない。」

一理あるが勝手じゃないか。

俺はすごく自分勝手だからあなたがどうとか、あの白い服の人がどうとか別にどうでもよくて、俺が今幸せならそれでいいと思うんだがな。

あまり生きるのに向いていない考え。でも俺はそれでいい。


これから夏が来る。雨が降って次の日晴れた時の匂いを求めている。アイスが溶けだしたら夏が始まる。澄み切った青とか長い昼間。でもセミが泣き止んたら夏は終わり。

どれだけ暑くてもそれでもうおしまい。






何を伝えたい訳でもない独り言。

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