01 少女ニュートン、登校初日の朝に柔道で汗を流す
「ちょわーっ!」
ズドーン!
「い、
東京都でいちばん東の
朝っぱらだというのに、この中から大きな音が
われらが
「ふぇふぇーっ! タカさんに勝っちゃったよー!」
「や、やったぞ!
「小学生だろ!? お嬢っ!」
「おい、藤木! おまえ何年
美咲穂の『
小学生の
「いやー、お嬢、強いっすからねー。さすがは
「こらっ! 負けといてなんだ、その言いぐさは! プライドはないのか!」
「お嬢の持つ
「なにが『うーん』だ、バカか
藤木の『
心をも
美咲穂の父・
その門下生たちは
いちばん下の白帯とはいえ、父の
この日も小学校の
「ふぇふぇーっ!
「うわーっ! お嬢っ、やめてーっ!」
「マジに小学生かよーっ!?」
「人間だと思うなっ!
腕に
父を
たちまちのうちに道場の
「ふぇふぇっ! これがほんとの『お
「あはは、お嬢。それは意味が違うっすよー」
「ふえっ!? タカさん!
「あひゃー、もうちょっと死んだふりしてよー。ぎゃふーん」
「この
「あー、薫さーん! おはよぐそとーっす!」
「なーにが『とーっす!』じゃ、お嬢っ! 今日は小学校の登校初日じゃろう!?
「ふぇふぇっ! なにって薫さん、
「なーにが
「ふえっ!? 薫さんったら、女の子
「そのとおりじゃろうがあ!
「ふえっ!? チョウシンセイバクハツ!? それってブツリよね、薫さん? ブツリのことなんでしょー!?」
「わあーっ! くるな、お嬢っ! わしには
「ふぇふぇーっ! ジンコウエイセイの
師範代の真柴といえども、美咲穂の前では、ほかの門下生と同じ運命をたどることになるのであった。
「ふえー、これじゃあ
ぶつくさ言いながら、彼女は
「あらあら、ミサちゃん。朝から元気ねえ」
「ふえっ!? ママーっ!」
美咲穂の母・
彼女はいま、美咲穂につぐ二番目の子どもを、おなかの中に
美咲子は
「あんまり
「
「なーに、ママはぜんぜん平気だってー。それより、ミサちゃん。いまの
「ふえっ、そうなのー!? よっしゃ! だったらじゃんじゃん、
「うふふ、もっともっと、『いい音』を聞かせてちょうだい。さすればわたしは、最強の子を宿すでしょうよ」
「ふぇふぇーっ! わたし、
「いいわねー、ミサちゃん。じゃあもっと、もっとよ。肉が
美咲子は
ときどき自分の書いている小説と、現実世界との
「そうだ!
「まあ、ミサちゃんたら。ほんとうにニュートンさんが好きなのねー。しからば、やるのよ。やって
「ふぇふぇーっ! わたしはニュートンになるんだわーっ!」
「おほほ。じゃあ、そうねえ。いちばん
「ふえっ! さすがはママだわー! そのとおりよー。『
「まあまあ、そうなのー。そうとわかれば、ミサちゃん。薫ちゃんを使ってさっそく、『実験』してごらんなさいなー」
「ふぇーっ! 薫さーん! これも
「わーっ! お嬢っ! やめるんじゃあっ!」
「ちょわーっ!」
美咲穂はすっかり心の折れている真柴を、
「ぐ、ぬう……」
「ふえっ!? ママっ! どうしたのーっ!?」
すぐ横でニコニコしていた美咲子が、
「……そんな、まさか……まだ、早すぎる……うっ!」
「
真柴はあわてて、いまにも倒れそうな彼女を
「これはあのいまいましい、
「わーっ、奥様! 無理しちゃあかん! しゃべらなくてもいいですから!」
「ママったら! また『宇宙戦隊キャリバン』の
こんなときに自分の小説のキャラクターが
真柴はいよいよ
「
「いや、そんなもの呼ばなくても、
「ダメっす! ここには電話がないっすよ!」
ケータイを使えばよいことを、
美咲穂は
「
「奥様っ! ちょっとお
「は、はいっ!」
しびれを切らした真柴が、藤木に
「薫さん、いーけないんだっ! パパの『アンゴルモア』を
「それどころじゃないじゃろが! それに『アンゴルモア』じゃのうて『ランボルギーニ』じゃろうがあ!」
「ちまちまうるさいよーっ! パパが
「わあーん! どうすればいいんじゃあーっ!」
「おおっ、
「いいから、奥様! 早く乗ってくれっす!」
「エッケンコウイだわー!
「お前らっ! お嬢を
「きいやあーっ! こんちくしょう! サイコウサイにコクソしてやるーっ!」
「いや、
しっちゃかめっちゃかになりながら、美咲子は藤木の
「デビル・サンダー、
「わかったっすから、奥様!
敗北者・藤木よ。
「わははー、疲れたなー」
ボロクズのようになった一同は、いまにも
「あーっ!」
いきなり
「それじゃ、学校言ってくるねー」
ズドーン!
「早く行かないと、遅刻しちゃうわー。もう、みんな、気がきかないんだからー」
「あははー、いってらっしゃーい……」
人生なんて、こんなもの。
負けてはいけない、進むしかないのだ。
とにもかくにも少女ニュートンは、やっとのことで学校へと向かったのである。
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