第3話 一人ぼっちの夜


美雨は夜が嫌いだった。


夜はおばけが出るし、みんな寝てしまうから取り残されたような気持ちになるから。


それに、寝る前に母親が聴かせてくれる「ドナドナ」の子守唄は何回聞いても悲しかったし、眠れる気がしなかった。


どうして朝は眠いのに、夜はこんなに目が冴えるんだろう。


みんなのように早く眠りにつけたらいいのに。


そんな風に思う時はいつだって美雨の心の中は決まっていた。


おばあちゃんの所へ行こう。


おばあちゃんの布団に入れてもらおう。


二段ベッドの下のコウはもう寝てしまったようだ。


凄いな、二段ベッドの下なんてオバケに真っ先に見つかるし、悪い人が来たら一番先にやられてしまうのに、なんの警戒心もなく眠れるコウが羨ましいなと美雨は思った。


美雨の家には階段が2つある。


2階も2つに分かれている。


おばあちゃんのいる中2階と呼ばれている方の2階へ急いで向かう。


暗い階段を登るのも嫌だった。誰か後ろにいないか何度も振り返りながら向かう。


小さいいびきをかきながら寝ているおばあちゃんを起こすと


「美雨か。」と言って布団を開けてくれる。


その中へ滑り込む。


「こんなに冷たい足をして」と言って、おばあちゃんの温かい足にはさんでくれる。


どちらにしても、おばあちゃんはまたすぐに小さいいびきをかいて寝てしまう。


美雨は何度も頭の上にオバケがいないか確認する。


本当に眠れるのかな。


まだまだ眠れる気がしない。


美雨はまた一人ぼっちになった気がした。

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