第2話  コウとの夏休み

美雨はとても弟のコウと仲が良かった。


コウもまた美雨を慕っていて、幼稚園で淋しくなると、泣いて先生に頼んで美雨の組に行かせてもらい、隣に座って保育時間を過ごしたりしたこともあった。


運動が得意な美雨は、鬼ごっこでコウがずっと鬼になって可哀想になると、鬼を代わってあげたりもした。


夏休みの学校のプールが開放されると、いつの間にか準備してあるプール鞄を持ち、2人で午前中いっぱい泳いだ。


セミがミンミン鳴き、プールの疲れと、だれるような暑さの中帰って来ると、キッチンに準備してあるお昼ご飯を2人で食べ、クーラーで部屋をガンガンに冷やし、お昼の心霊番組を毛布をかぶりながら2人でガタガタ震えながら見て、その後お昼寝するのだ。


家族でどこかに旅行に行っても、キャンプに行っても、美雨が思い出す夏休みの思い出は、なぜかコウと2人の時間なのだ。


美雨はコウが可愛くてたまらなかった。


美雨の真似をして、坊主頭にワンピースのコウ。


美雨と同じ習い事をしたくて、習字を習い始めたが、行きたくなくて林に習字道具を投げ捨てて遊びに行くコウ。


やんちゃだけど、美雨にはやんちゃじゃないのが、また可愛いのだ。


美雨はこの夏の思い出に、これから先ずっと支えられて生きていくのだろう。


絶対に大人になっても忘れたくない。


忘れないでいようと誓った。

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