雪にソーダ水
@daifuku1224
第1話 かわいそうな自分
美雨は母親のいつも怒ったような、不機嫌なような、なんとも言えない顔が嫌いだった。
だから、わざと嫌われるような態度を取ったりする事もあった。
叱られ嫌われる事で、可哀想な自分になるのも好きだった。
美雨が住んでいる所は自然が多い所だったので、よく弟や友達と外で遊んでいた。
ふと、遊んでいる時に
「家出した時はこの草むらの中で住めないか?」
「この古い小屋は誰も住んでいないのだろうか、もしそうなら、ここで寝泊まりする事は出来ないだろうか」
と、考えながら遊ぶ事がよくあった。
そんな事を考えている時はワクワクするし、かわいそうな自分になる事を楽しみにもしていた。
母親や家族を心配させたい。
いろんな意味で後悔して欲しい。
そんな思いからだったのかもしれない。
母親とはこんなものなのか。
母親とはみんなどんなものなのか。
小さい頃、仲の良かった友達の家に泊まりに行ったことがあったが、友達が夜「お腹が空いて眠れない」と母親に言うと、「リンゴをむいてあげようね」と言ってくれた。
衝撃的だった。
「リンゴをむいてあげようね。」
そんな優しい微笑みで
そんな優しい話し方で
そんな事を母親に言われた事はなかったから。
ある日、弟に「なんでかーさんは、ねーちゃんばっかに怒るんだろう。」と言ってきた事がある。
やはりか…。やはりそうだったのか…と。
美雨はまたそんな可哀想な自分にドキリとし、不思議な気持ちになるのだった。
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