第3話 プーチン

 積み木というものは、積むときも楽しいが、一番楽しいのは苦労して積み上げた積み木を一気に崩すときである。そして一番悔しいのは、自分が丹精して積み上げた積み木を他人が崩したときである。



 プーチンは生涯をかけてバラバラになったソ連の残骸から現在のロシアを積み上げてきた。(その過程で二十兆円にも及ぶ私財も手に入れはしたが)

 彼の年齢は六十九。過去の独裁者たちの多くがその歳で死んでいる。

 老人というものは心の中が子供に戻り始めるものだ。彼は自分が積み上げた積み木を派手に崩したくなったのではないだろうか。


 合理的ではないって?

 その通り。だが大概の人間は合理ではなく感情で動く。特に先の無い老人は。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る