腸
今日はやけに騒がしい。
黄色を連れたオレンジがそこにはいた。
その前にはいつもより濃い紫がいる。
黄色は顔は腫らしながら色を垂らし続けている。
怒号と歔欷が混ざり合い、いつも以上に鮮明だ。
こんなにも高鳴ったのは始めただった。
私は気づくと勝手にいた。
なんでもよかった。
手に取り、描くことにした。
黄色は初めての味がした。
嘘、虚言、欺瞞、傲慢
紫はそれに比べて綺麗な味がする。
悲壮、怒り、愛情
残すのはいけない。オレンジも啜ろう。
自尊心、自己愛、虚勢
嫌味な味だった。
私はやっと色とりどりになれただろう。
鏡に走りのぞきこむ。
いくら見てもそこには変われず何もない。
水道をひねると相変わらず私に似た君がいる。
扉をたたく音、穴には紺が詰まっている。
はみ出した色を見つけたようだ。
仕方がないので開けることにした。
紺がたじろぐ。
その背に私は吸い込まれていた。
開きパレットを取り出そう。
芯から実を引きはがし、色をなめとる。
今日は勝手が開いているので何でもできる気がする。
樹皮を刻み実を練り芯を舐める。
全てを飲みほした。
扉を開けると、そこには綺麗な世界があった。
風が吹き、草木がなびく。
明日は何を食べようか、いつになったらその色は私を染めてくれるだろうか。
扉を閉め、ぞうきんを手に取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます