第1話

 朝食を家族全員で食べている時、父上が私に話しかけてきた。

「リオン、スカラ嬢の事で話があるのじゃが。」

そう言って、父上が私を見た。

「なんでしょう。今度、遊びに行ってこい、と言いたいのですか?」

父上が言いそうなことを言うと、父上は困ったと言うような表情をした。

「ああ、そうじゃ。婚約者同士、仲良くしているようにしなきゃ、いかんじゃろう。」

婚約者であるスカラ・メナリオ公爵令嬢。美しい外見の令嬢で、普段は喋らない。そのため「沈黙の令嬢」と呼ばれている。

「わかりました。」

返事をすると、いつ行けば良いか考える。

「姉上、明日行ったら良いのでは?じゃなきゃ、忘れちゃいますよ。」

「そうですわよ、リオン。今日中にやる事を終わらせて、明日はスカラ嬢と遊んだり、アランと遊べば?」

アランや母上、そしてなぜか、周りにいる侍女達にも「行ってきてください。」と言われた。何故そんなに言われなければいけないのか、頭を捻っていると

「姉上は、頑張り過ぎているのですよ。もっと休憩してほしいんです。」

アランに言われた。嗚呼ああ、何故こんなにアランは優しいのだろう。なんて、天使なのだろう。アランに心配されたのだ。行ってやろうじゃないか。

「姉上、今絶対、変な事考えて…「わかったよ。明日、行ってくる。」

アランの言葉に、被せて私は言った。嗚呼ああ、アランは睨んでいても可愛らしい。


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私は男ではなく、女ですよ。婚約者殿。 水書ことり @okinanoa

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