私は男ではなく、女ですよ。婚約者殿。

水書ことり

プロローグ

 私は義弟おとうとの部屋に入ると、いつものように朝に弱い義弟を起こす。

「アラン、朝だよ。起きて!」

「う、うーん。もう朝…?」

「そうだよ、ほら着替えて。」

服を適当に見繕って義弟に渡す。こんなの侍女がやることだ、と義弟は言っているが私はこの瞬間が好きだ。そうして、いつも義弟とじゃれあっていると朝食の時間になる。

「リオン様、アラン様、朝食のお時間です。」

そう言い、侍女が一礼する。私は義弟-アラン・アドルナ・エマリスと顔を見合わせると、一緒に立った。

「すぐに行くよ。」

と言い、アランに声をかけた。

「アラン、行こう。」

「うん。」

そうして、二人で廊下を駆ける。私はこんな朝が好きだ。

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