第13話

全日本少年サッカー大会


小学生のクラブチームを対象とした、大きな全国的な大会である。


全国大会までの道のり。


①まずは地区大会を開催してその地区の代表を決める。

②各地区の代表同士が県大会で各都道府県代表の1チームを決める。

③全国47都道府県+前年度優勝都道府県のみ2チーム=48チーム。この48チームで争って全国一位を決める。


野球で言うところの 小学生版の甲子園だ。

全国に数千ある小学生サッカーチームが目指す一番大きな大会なのだ。


「では、地区大会のレギュラーを発表する」


9月末の地区大会2週間前

俺達のチームの選手コースの全員が集まる。

コーチから地区大会のレギュラー8人と、控え8人が発表される。小学生の大会では、8人制が基本だ。


全日本少年サッカー大会は、コーチや監督たちも一番気合の入る大会。出来る限りのベストメンバーでいく。


他のチームも、6年生がレギュラー主体のチームになる。それ以外にも上手い、4.5年生が入ったりもする。


何しろ小学生の時期の年齢の差は、大きい。身長と体重はもちろんのこと、筋肉量やテクニックの差もある。


だけど俺は幼稚園の頃から努力してきたからテクニックの差はないと信じたい。


コーチからどんどんレギュラーが発表されていく。

選ばれた選手は、声を出して喜ぶが落選した者は歯を食いしばって悔しがっていた。


「・・・そして最後に神宮寺蒼太、周防朔、澤村渚。この16人で地区大会に挑む。大会をイメージして、練習を始めるぞ!」


俺達は3年生にも関わらず選ばれてしまった。選ばれたらいいな〜とは思っていたが本当に選ばれるのは予想外だった。

俺はコーチになんで選ばれたのかについて聞いた。


「コーチ、なんで俺達を選んだんですか?」


「体格差はあってもテクニックがあるからやれると思ったからだ」


コーチから期待されてると感じたらちょっと安心した。コーチの期待に答えるために頑張ろう。


「蒼太、地区大会でどっちが点を取れるか勝負しようよ」

「いいよ〜渚ちゃん、勝負しよう。」

「朔も良いパス頼むな」

「どうしようかな〜渚ちゃんにパスしたいな〜」

「頼むよ〜俺にもパスしてくれよ」

「しょうがないな〜わかったよ。」


俺達のチームは、地区ではそこそこに強いチームだ。

昨年は地区大会で準優勝でぎりぎり県大会にいけなかった。


今年は、先輩達も強いし渚ちゃんもいるから大丈夫だろう。

渚ちゃんはここ数ヶ月にチームが参加した大会でもハットトリックを連発していた。地区大会でも活躍してくれるだろう。


それにしても全日本少年サッカー大会か。大きい大会は、初めてだから緊張してきた。


噂ではJリーグのスカウトマンも、全国大会に視察に来ているらしい。そこで目立った活躍をしたら、自分たちのジュニアユースにスカウトされる。


過去にも全国大会で活躍して、スカウトされてJリーガーになった選手もいた。まさにサッカー少年たちの、夢えのエリート街道なのだ。


自分の夢のためにも大会で活躍しなければ。

まずは地区大会で優勝するところからだ。


その日から選手コースは、いつも以上に気合を入れて練習していった。

もちろん俺達も更に努力を積み重ねていく。


そしていよいよ地区大会が迫ってくるのであった。


10月上旬。数日間に渡って激戦が繰り広げられた地区大会。

その幕が下りようとしていた。


「今年度の地区大会の優勝は横浜シュバリエ!」


俺達のチームが優勝、圧倒的な実力で優勝した。


今は表彰式の最中。

チームのキャプテンの6年生が優勝メダルを授与された。


「地区大会得点王は神宮寺蒼太くん!」


俺は見事地区大会で得点王を取れた。

他のチームの5・6年生を抑えての、史上最年少の得点王だ。

俺にもメダルが授与された。


朔のアシストもあって得点王が取れた。


「続いて大会MVPは同チームの周防朔くん!」

朔はたくさん渚ちゃんや俺にアシストをしていたから当然だろう。

「朔くんはすごい視野の広さとテクニックでアシストを連発の大活躍でした!みなさん、もう一度、大きな拍手を!」


朔もMVPのメダルを授与された。中盤のMFとしてアシストしていたのが評価されたらしい。


それにしても次は県大会か

県大会も優勝出来るように頑張るぞ〜

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