第12話
4月になり俺達は小学三年生になった。
三年生になったからと言って、特に変わったことはない。
相変わらずサッカー漬けの毎日である。
「ママ~朝練に行ってきます!」
「奈緒も行ってきます。」
「車には気をつけていくのよ〜」
「「はーい」」
「蒼太、遅いぞ」
「朔、おはよう!渚ちゃんもおはよう!それに先輩達もおはようございます」
グラウンドには朔と渚ちゃん、選手コースのチームメイト達がいた。
最初は4年生だけだったが、選手コースのチームメイト達がほとんど参加するようになっていたのだ。
「蒼太、今日もよろしくな」
俺は4年生達には足技をある程度教えたが、先輩達の出来ない技を中心に教えている。
「それじゃ今日はこの技をやってみましょう。まずは僕がお手本を見せます。」
「なんだ?この技は」
「蒼太ーこれどうやればいいんだー?」
先輩たちは新技に手こずっていた。
何しろこれは俺が独自に開発した技だからな
「この技は・・・足をこうして・・・・アレ? こうやればできるはず・・・あれ?」
自分では出来るのだが、うまく言葉で説明できない。
理論上はわかるのだが、先輩たちに分かりやすく説明できないのだ。
「先輩たち、この技は膝の角度がポイントですよ」
「ここをこうしたら・・・俺にもできたぞ・・」
「なるほど・・これをこうして、できたぞっ!」
俺のわかりにくい説明を、朔がうまく補足してくれた。先輩たちは新しい技ができるようになって喜んでいた。
サッカー選手だっただけあるな。アドバイスのポイントが、本当に的確でわかりやすい。
先輩たちは教えるのが上手な朔に教えてもらっている。教えるのが下手な俺よりも適任だろう。仕方ないので俺は渚ちゃんと奈緒と1対2でもやっておくか。
「渚ちゃーん、俺と一緒に練習しようよ」
「いいよー今日こそは負けないからね」
渚ちゃんと奈緒と練習しているうちに学校に行く時間になった。
「よーし。そろそろ時間だ。学校が問奴らから上がれ」
「「「はいっ、キャプテン!」」」
朝練の時間もそろそろ終わ りである。
このサッカーチームは色んな小学校から、みんな通っている。だから通学時間もバラバラなのだ。
「じゃあ、みんな、また夕方の練習でね!朔と渚ちゃんも一緒に行こう」
「「みんな、また夕方でね」」
「まって、お兄ちゃん。奈緒も一緒に行くー」
楽しい朝練の時間はあっという間に過ぎていく。
俺達はランドセルを背負って、学校に行く。学校が終わればサッカーチームの練習がある。それまでの辛抱だ。
朝練からの学校生活が始まる。
俺は小学校では、昨年と同じく、真面目に授業を受けている。一応今まで無遅刻、無欠席を継続中だ。健康というスキルのお陰で風邪などで休んだこともない。
授業中も今までと同じように積極的に手を上げて発表するようにしている。
俺は前世で義務教育まではちゃんと授業を受けていたので、小学校の授業くらいは
余裕である。
休み時間になったら俺は渚ちゃんに話しかけに行っている。俺はクラスの友達が渚ちゃんのことを話題に出していたからだ。渚ちゃんはモテるから早いうちから仲良くしておかないと、他の誰かに取られてしまう。
俺は今年の2月14日のバレンタインデーでクラスの女の子から、昨年以上のチョコを貰った。
昨年が3個だったのに対して、今年は5つ貰った。正直返すのがめんどくさいので、渚ちゃんが好きだということをアピールしなければいけない。
「バイバーイみんな、また明日。」
学校の授業が終わったら、サッカーチームの練習があるので俺は早く帰る。
「よし、練習を始めるぞ!」
「「「はいっ!よろしくお願いします!」」」
俺達3人は小学三年生になったことで5.6年生のところで練習している。
最近では、朝練の成果もあって先輩達が上達したことで、ミニゲームで全力を出しても問題ないようになった。
こうして3年生になったおれの練習は、本当に充実した毎日を過ごしていた。
朔との練習以外でも5.6年生達との練習も本当に勉強になる。
先輩達はフォーメーションや連携、戦術を重視していた。
今までは朔と一緒にしかやっていなかったが、
本当にサッカーをしているという実感が湧いてきた。自分の知らない戦術を学べてとてもためになった。
こうして、あっという間に月日が過ぎていく。
毎日のように自主練とチームでの練習。
週末は他のチームと練習試合や小さな地方大会にも参加。
夏休みには合宿なんかもあって、楽しいサッカー漬けの毎日だった。
3年生での季節は春が過ぎて、夏は一瞬で過ぎていく。
そして季節は秋になる。
秋に小学校サッカー業界で一大イベントが行われる時期。
全国に数千チームある小学時代のサッカーチーム。その最強を決める全日本少年サッカー大会の地区予選がいよいよ始まるのだ。
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