第10話
オレは小学2年生になった。
「蒼太と朔は、来週から4年生の選手コースへ行け」
2年生になって、変わったことがある。
それはサッカーチームの練習で飛び級して、4年生の練習に参加するようにコーチに言われたことだ。
「僕達はまだ2年生ですが、4年生の選手コースに行っていいんですか?コーチ」
「ああ、お前らの両親の承諾もある。それに3年生のコースでは、お前らの相手になる奴が居なくなってしまったからな。上でも期待してるぞ」
「あっ、はい」
そんな訳で俺らはよく分からないが4年生の選手コースに昇格することになった。
俺らは2年生になったばかり。本当に選手コースに行って大丈夫なんだろうか。不安になってきた。
「朔、俺ら大丈夫かな?やっていける自信がないんだけど。」
「俺らなら絶対大丈夫だ。
最近は妹の奈緒も俺と朔と一緒に練習するようになった。妹は幼稚園の時から一緒に練習していたから、まだ小学生にもなっていないのに上手になっている。俺も何回か抜かれそうになるほどだ。もしかしたら俺以上に上手くなるかもしれない。
変わったことはもう1つある。
めっちゃ可愛い子が転校してきたのだ。
その子の名前は渚ちゃんっていう。このまま成長していけば絶対美人になるであろう逸材だ。
前世では恋愛経験がない俺だが、この子とは絶対に仲良くしなくてはいけない。そんな気がしていた。
今までは常にサッカーのことを考えて生活していたが渚ちゃんのことを考えるようになっていた。
「おーい!最近のお前ちょっと変だぞ、しっかりしろよな!!」
「ごめん…集中してやるよ」
「どうせ渚ちゃんのこと考えていたんだろー」
「うっせーよ!仕方ねぇじゃねえか前世ではあんな可愛い子見た事が無かったんだよ」
ずっと渚ちゃんのことを考えていたら、朔に文句を言われてしまった。
渚ちゃんが転校してきてから1週間が経った。
渚ちゃんもサッカーチームに入ることになったのだ。渚ちゃんは前居たところでもサッカーチームに入っていたらしい。3年生までの練習では、相手が居なくなってしまったということで早々に選手コースに上がって来ていた。
渚ちゃんは同じクラスということもあって俺らと一緒に自主練習している。
今日は渚ちゃんが選手コースに上がってから初めてのミニゲームだ。渚ちゃんは選手コースにまだ慣れていないだろうと、考えたコーチの配慮で俺らと一緒のチームだ。
ちなみに渚ちゃんのポジションはフォワードで、同じフォワードの俺とポジションが被ってしまっている。今日は渚ちゃんのデビュー戦ということもあって俺と朔はサポートに徹するつもりだ。
「渚ちゃん、一緒に頑張ろうねー」
「うん!!一緒に頑張ろうー」
ついにミニゲームが始まった。
先輩達が速いパス回しでゴールに迫ろうとしていた。だが、俺は鷹の目を使って淀みを見つけてボールをカットした。ボールを取った後は朔にパスして試合を組み立てていく。先輩達もボールを奪おうとしているが、奪えずにいる。俺達はそのままボールを運んでいき、スペースに抜け出していた渚ちゃんにパスを出して、渚ちゃんがシュートを打ってゴールを決めた。
「ナイスパス!!おかげで点を決めることができたよ。ありがとう」
「どういたしまして。今日の主役は渚ちゃんだからどんどんいくよ。」
「全部決めてみせるよ。」
渚ちゃんはそう言って笑った。
やっぱり笑顔が似合うな
「朔、俺にもパス出さしてくれよ」
「ダメだよ、今日は俺が渚ちゃんにパスを出すって決めたから。」
俺だって渚ちゃんにパス出したいのに。
こうなったら仕方ない
「わかったよ、俺も俺のやり方で渚ちゃんにパス出してみせるよ」
俺は淀みを見つけてボールをカットしたら今までは朔にパスを出していたが、ドリブルで敵陣奥深くまで運んでいき抜け出している渚ちゃんにパスを出した。
渚ちゃんはフェイントを入れて後ろから追ってきているディフェンダーをかわしシュートを打ってゴールを決めた。
試合は渚ちゃんがダブルハットトリックを達成して、6対0で勝つことができた。さらに俺と朔もそれぞれ3アシストを記録した。
今日はノーゴールだったが監督にもいいアピールができたと思う。
「渚ちゃんってスゴい上手だねー」
「パスする人が上手だったからだよ。」
この頃の子供達は自慢げに答えるはずなのに…
ああ…なんて性格のいい子なんだ。
やっぱりこの子は逃しては、いけない気がする。
結局俺は家に帰った後も渚ちゃんのことを考えていた。
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