第18話 友達と遊ぶ②(猫耳勇者side)
あれからボーリングをしたり、ゲームセンターでゲームをしたりして遊んだ僕達は、身体を動かして減ったエネルギーを補給する為に、デオン内のファミリーレストランで昼食を取っていた。
「〜♪︎」
僕の目の前のメルトちゃんは、頼んだハンバーグをもぐもぐと美味しそうに食べていて、少し膨らんだ頬っぺたがリスみたいだなぁ…なんて思っていると
「…
僕の方に視線を向けたメルトちゃんに、ジト目で叱られてしまった。
「ちゃんと食べるよ。でも、その前に〜…」
メルトちゃんの顔に手を伸ばして、見ている間に頬っぺたに付いたソースを指で拭ってあげる。
「頬っぺたにソース付いてたよ?メルトちゃん」
「えっ…あ…ありがとうございます…」
指に付いたソースを見せて伝えてあげると、恥ずかしかったのか俯いて顔を隠してしまった。もぐもぐ食べてるメルトちゃん可愛かったのに…残念。
…このソースどうしようかな……まぁ…食べちゃえばいっか
「…んっ、これ美味しいね!」
指に付いたソースを口の中に加えると、デミグラスソースの濃厚な味わいが口の中で広がる…!
「…あの…」
「ん?」
呼びかけられて、指から視線を移して目の前を見ると、メルトちゃんが先程まで食べていたハンバーグが刺さったフォークを僕の方に向けていた。
「その、1口食べますか?」
「えっ…いいの?」
「…はい、1口だけなら」
「そ…それじゃお言葉に甘えて…」
フォークに口を近づけて、ハンバーグを口の中に含む。
「美味しいですよね、このハンバーグ」
「うん…美味しいよ」
緊張で味なんてほとんど感じなかったけど、なんとなく、メルトちゃんに食べさせてもらったハンバーグは今まで食べたどんな料理よりも美味しい気がした…
──────────
「すいません、ちょっとお手洗いに行ってきます」
「うん、わかった。ここで座って待ってるね」
昼食を食べ終わって、デオン内の雑貨屋を覗いている最中に、メルトちゃんがお手洗いに行って少しの間1人きりになった。
ちょうど近くにベンチがあったので、そこで座って待っていると…
「なぁなぁ、今1人?ちょっと俺と遊ばない?」
髪を金色に染めた、見るからにチャラそうな男が近付いてきた。
「いや、友達と来てるんで他を当たってください」
「おっ、友達もいるの?それじゃその子も一緒で良いから一緒に遊ぼうよ〜。なんなら俺も友達呼ぶし」
さっさと何処かに行ってもらおうと思ったけど、男は中々しつこくて僕から離れてくれない。
そうこうしていると、お手洗いに行っていたメルトちゃんが帰ってくる。
「お待たせしました…って…えっと、希咲さんのお知り合いですか?」
戻ってきたメルトちゃんが僕の前にいる金髪の男に気付いて聞いてきた。
「おっ、友達ちゃんも可愛いじゃん!全部奢るからさ〜一緒に遊ぼうぜ!」
「ううん、知らない人だから気にしないで」
ベンチから立ち上がって、メルトちゃんの腕を引いて歩こうとすると…
「おい…無視すんじゃねぇよ」
金髪の男が私の腕を掴んで引き止めてきた。
「ちょっと…離してよ…!」
「人が下手に出てれば調子に乗りやがってよ…」
すぐに抵抗したけど、男は私の腕を掴む力をどんどん強くしていって僕の力じゃ全然離せない…!
「い…痛いって…!」
掴まれた腕が遂に痛みを訴えてきて、もう大声を出すしかないかな…なんて思ったその時…
バリッ!!
…突然なにかが弾けるような音が鳴って、僕の腕を掴んでいた男が力無く崩れ落ちる。
「…希咲さんが嫌がってたので、少し痺れてもらいました」
いつの間にか男の背後に立っていたメルトちゃんの指には、バチバチと電気のような物が青白く光っていて、どうやらそれを当てて気絶させたらしい。
突然の事に呆然としてると、気絶した男をベンチに座らせたメルトちゃんが、僕の手を繋いで引っ張る。
「さぁ、行きましょう希咲さん。…私の事、楽しませてくれるんですよね?」
「う…うん!」
何事もなかったかのように、私に微笑みかける彼女に咄嗟に返事をして一緒に歩き出す。
…さっきのメルトちゃん、カッコよかったな。
何故かあの瞬間から鳴り止まない心臓を抑えながら、僕とメルトちゃんは一緒に手を繋いで歩いた。
────────────
「今日はありがとうございました。誘ってもらえて嬉しかったです」
あれから雑貨屋でお買い物をしたり、売店でソフトクリームを食べたりしてデオンを存分に楽しんだ僕達は、外も暗くなったしそろそろ解散をする事にした。
「ううん。僕もメルトちゃんと遊ぶの凄い楽しかったし、また誘ってもいい?」
「はい、是非誘ってください」
目の前のメルトちゃんはニコニコ顔で、それを見てるとちゃんと楽しませてあげられたんだなって少し安心する。
少しアクシデントはあったけど、僕も楽しかったな…
「それじゃメルトちゃん、また遊ぼうね」
「あ…あの!」
これ以上暗くなる前に帰った方が良いよね。そう思って、別れの挨拶をして帰ろうとすると、メルトちゃんに呼び止められた。
「これ…受け取ってください」
後ろに振り向くと、少し顔を赤くしたメルトちゃんにラッピングされた小さな袋を手渡される。
中身を覗いてみると…
「これ…チョコレート?」
「…バレンタインは、友達にもチョコを渡すんですよね?…友達になった希咲さんに渡したいなって思って、こっそり買ってたんです」
気恥ずかしそうに顔を赤く染めながら、そう話すメルトちゃんを見ていると、あの時と同じように心臓の鼓動が再び早まる。
「そ…それでは、今日はありがとうございました!ま…また誘ってください!」
返事を返す前に、メルトちゃんは目の前から一瞬で消えてしまう…テレポート、初めて見たな…。
…その場に1人残された僕は、今日だけで2度も高鳴った心臓の鼓動を感じながら…いつの間にか胸の奥に芽生えていた不思議な感情について考えていると、1つの結論に至った。
…どうやら僕は、同期の魔女を好きになったらしい。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
もしも読んでくれた人がいるなら…
初心者の執筆なので、言葉の違和感や誤字などがあるかもしれません。もし見つけたら遠慮なく指摘していただけると助かります。
更新頻度も不定期ですが、続きが気になるって思ってくれた人がいれば嬉しいです。
[作者コメント]
なんかこの展開は違う気がする…って書いてから思ったけど、猫好きの百合好きが書いてるし仕方ない。
超能力、TS、転生、タイムスリップ、貞操逆転、魔法少女が許されてる限りは現代ドラマに居座り続けます。異論は認める。
VTuberメインだから次は配信するよ〜
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