第4話 下層雲(層積雲、層雲、積雲、積乱雲)
◇
低い空に出る雲には「
「
明るいところと暗いところが繰り返しながら低い空に立ちこめて空を覆い尽くすうっとうしい雲、という印象なんですけど、もっと小さいかたまりがまだらになっているばあいとか、雲のあいだにすき間があって空が明るく見えるばあいとかもあります。
「どん曇り」感の強い雲ですが、雲そのものはそんなに分厚くないので、この雲から雨が降ることはあまりありません。
また、同じ層積雲でも、とくにすき間が大きいときは明るいさわやかな印象になりますし、陰でもないけど陽でもない、ふしぎなほの明るさを感じさせてくれることもあります。
◇層雲 Stratus
地上に立ちこめる「霧」が空中に浮いているのが層雲、という説明がいちばんいいんじゃないかな。
ごく低いところに出る雲で、雲の粒も地上の霧と同じものです。
東京にある六百メートル超の電波塔では、下のほうに雲がかかって、見上げても塔の上が見えない、とかいうことがあるらしいですね。その雲というのが層雲です。
層雲の実体は霧と同じなので、層雲そのものが大雨を降らせることはないです。けれど、層雲が地上近くに立ちこめているというのは空気がものすごく湿っている、ということなので、天気が雨のときとかによく現れます。
上に
◇積雲 Cumulus
でも、大きくなると入道雲に育ったりもします。
層雲が、全体が
「上昇気流」というとなんか上向きでかっこいいように思いますよね。でも、上昇気流があると積雲が成長して天気は悪くなります。お天気がよくなるのは下降気流のほうなんですけど、「下降気流でがんばろう!」とか言っても景気づけにはならないですね。
しかし、科学部はゆるい下降気流でぽかぽかのんびりやりたいと思っています。
ハンググライダーとかで飛ぶときには、上昇気流に乗ったほうがよいので、積雲の下を目指していくとより高く飛べる、ということはありますね。
積雲がどんどん成長すると背が高くなって「
◇
その雄大積雲がさらに巨大化して到達する最終形が積乱雲です。
巨大入道雲や、入道雲のてっぺんが横に広がった「かなとこ雲」がこの積乱雲です。
台風の雲とか、冬の日本海側に大雪を降らせる雲とかは、この積乱雲の集合体です。最近よく聞く「線状降水帯」というのも、この積乱雲が同じルートをたどって次から次へと流れてくるというものです。
同じ雨雲でも、乱層雲は「前線の雲」、とくに温暖前線や停滞前線の雲に多いです。激しくは降らないけれどいつまでも降り続きます。
積乱雲は台風とかの激しい雨を降らせる雲で、前線でも強い寒冷前線のばあいには積乱雲が育ちやすいです。
もともと積雲は地上に近いところでできる雲ですから、霧のような水の粒でできますけれど、これが積乱雲に成長すると、水の粒もあり、氷の粒もあり、氷がこすれて電気が発生して雷になったり、氷の粒が合体して巨大化して
積乱雲は暴れ者なだけに、一つひとつの積乱雲は大暴れするとエネルギーを使い果たし、消えてしまうのも早いです。でも、次々に新手が襲いかかって来て、その新手どもも同じ場所で自滅するまでエネルギーを使いまくると、とてもたいへんなことになります。
何をやるかわからない「暴れ者」の雲が積乱雲なので、ほんと「乱れている」って感じ。
そのモンスター的暴れ雲の積乱雲も、もともとは愛のように愛らしい綿雲。
愛。
どんなに成長しても乱れないでね。
いつまでも夏雲の綿雲のように愛らしくいてほしいな。
夏雲の綿雲のように愛らしく 乱れず育て愛らしい愛 (千枝美)
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