第6話学の提案
学は小さい時から原因不明の虚弱体質と言われて、病気ばかりしてた。
そんな学の夢は探偵になること。
日本には謎解きをする探偵はいないから、刑事になれたらいいなと思っていた。
ただ、虚弱体質を何とかしないと、警官の試験に、体力の試験で落ちてしまうだろうと、学は心配していた。
そんな時、玄武と出会い、学は健康になれた。
もう大丈夫。
後は推理の練習をするだけさ。
ー何処かに謎がないだろうか?。この前、聡が解決した封筒の金紛失事件はなかなか良かった。でも、もう少し僕と玄武も活躍したかったな。ー
そんな事を考えながら学校に歩いていると、
清水百合がうつむき加減にノロノロ歩いていた。
「おはよう。どうしたの?、元気ないね。」
「ああ、学くんおはよう。最近、気味が悪い事があって、寝不足なの。」
「どうしたんだい?。」
「それがね、毎朝、ドアの外に骨が置いてあるの。」
「毎朝?。何日間?。」
「もう10日も続いてる。」
「誰かの嫌がらせ?。それとも犬の仕業?。君ん家、犬を飼ってる?。」
「ええ三匹いるわ。」
「じゃあ、犬の仕業だろう。犬は骨を埋めるだろ。他の犬がそれを掘り返して置いてるんじゃあないかな?。」
「でも、毎日続けて、違う骨を同じ場所に置くなんて。気持ち悪いよ。」
「置いてあった骨はどうしたの?。」
「捨てられなくて、外にある物置に袋に入れて置いてあるの。」
「解った。僕と友達でなにか解るか調べて見るよ。」
学は謎クラブのみんなに相談した。
とりあえず、研磨がケルに、夜中中、百合の家を見張っているようにお願いした。
翌朝も骨がドアの外に置かれていたそうだ。
「1番年寄の犬が、1キロくらい離れた最近崖崩れがあった場所から持ってきたそうだよ。」
研磨がケルの報告をみんなに話した。
「その年寄り犬の以前の飼い主は解る?。」
学が百合に聞いた。
「1年くらい前に行方不明になった50歳くらいで近所にすんでたおじさんの犬だったみたい。」
「そのおじさんは、どうして行方不明になったんだ?。」
「山歩きが好きな人で、家族がいなくて犬と住んでいたの。ある日、1週間も無断欠勤してるって会社の人が様子を観に来て、おじさんがいないのに気づいたみたい。」
「それなら今まで置いてあった骨を全部、警察にもっていこうか。」
代表で聡と学が百合と一緒に、骨を届けに警察に行った。
数日後、その骨のほとんどが人間の骨で、百合の老犬の元飼い主のDNAと一致したと警官が教えてくれた。
「多分、おじさんは散歩中に崖から落ちて死亡した。その骨が崖崩れのせいで露出し、それを、飼い主を毎晩探し続けていた老犬が見つけ、百合の家のドアの外に置いたんだろう。」
学の言葉に
「自分の元飼い主の骨だって解ってたのかな?。」
クリスが呟いていた。
「多分、解ってたんだと思うな。」
百合が頷きながら答えた。
「まだ、気味が悪い?。」
学が百合に聞いた。
「ううん、気味が悪いどころか、感動しちゃった。1年以上も元の飼い主を探し続けていたなんて。健気すぎる。」
謎クラブのみんなもその意見に賛成だった。
学校の帰り道、
「あれ、明治病院の看護婦さんですよね。こんにちは。」
「え?。学くん?。元気そうで、見違えちゃった。」
学は玄武に出会う前、原因不明の虚弱体質のせいで、何度も明治病院に通っていて、この看護婦さんとも顔見知りだった。
「ナース服のまま、こんな遠くまで来たんですか?。」
「それが、学くんも知ってる、山口貴樹くんが、黙って病室から抜け出しちゃって。学くん、貴樹くんを見かけなかった?。」
「見なかったけど、どうして病室から抜け出しちゃったの?。」
「明日、貴樹くん手術も終わってリハビリ中んんだけど、リハビリが辛かったかな?。」
「そうなんだ。僕、貴樹くんを探してみるよ。もしかしたら、学校に行ったのかも。」
「そうね、悪いけど学校を探してくれる?。私は学校に入れないものね。」
貴樹は学の一学年下だったから、その教室に行ってみた。
「山口貴樹くんを探してるんだけど、見かけなかった。」
「山口くんは入院中だと思います。」
「入院中だけど、外出したみたいなんだ。山口くんと仲が良いのは誰かな。」
「伊集院と仲が良いかな?。」
「伊集院くんはどこにいる?。」
「サッカー部の部活に出てるよ。」
「じゃあ、サッカー部に行ってみるよ。僕は謎クラブの篠原学。山口くんを見かけたら、謎クラブの誰かに連絡してよ。」
サッカー部員は短距離走をしていた。
「伊集院くんて何処にいる?。」
「今日は休みだよ。幼馴染みの通夜に出るんだって。」
「山口くんと伊集院くんの写真もってる?。」
北斗はハルに頼んで通夜の場所を探してもらった。
クリスはクーにカードを選んでもらった。
「法王が若さの向きだわ、誤った情報?。ゆがめられた真実かな?。」
謎クラブのみんなはハルが見つけた家の外についた。
学が代表して庭に入り、通夜から出てきた少年に、
「山口くんか伊集院くんに会わなかった?。」
「あいつら、フットサルの奴らと揉めて、だいぶ前に帰ったよ。」
「どうして揉めたの?。」
「二人がフットサルを辞めたせいで、信二が海で自殺したんだってなじられたんだ。」
「それ、本当の事?。信二くん、自殺したんの?。」
二人の会話を聞いていた中年男性が、
「違うよ、信二くん、海で溺れてた子どもを助けて亡くなったんだ。」
「本当に?。おじさん、どうしてそれを知ってるんですか?。」
「おじさんは警官だ。今、信二くんのご両親に挨拶してきたんだ。」
学は門の外で待っていたみんなに説明した。
「山口くんが無事でいることが分かったら、これで任務終了?。」
学が学校でサッカー部員から教えってもらった番号に電話をかけたが、電源が入っていなかった。
「イヤな予感がする。みんな海まで付き合ってくれ。」
海につくと、遠くの堤防の端に二人の少年が見えた。
「あれが、山口くんx?。」
クリスが学に尋ねたとたん、二人が堤防から服のまま海に飛び込んだ。
「玄武、二人を助けて。」
玄武は本来の姿(大きな亀とヘビの姿)に戻って、溺れていた二人を助けてから、シュルシュルと縮んでかわいい亀に戻った。
「バカな事をするな!。」
「だって、僕らのせいで信二が自殺したなんて。僕らも信二の所に行くんだ。」
「違うよ。信二くんは溺れた子供を助けようとしたんだ。」
「嘘だ。」
「本当だよ。さっき通夜にきた警官に教えてもらったんだ。」
「良かった。僕らのせいで自殺したんじゃなかったんだ。」
「フットサルの連中がなぜあんなことを言ったのか調べてやろうか?。」
聡が二人に提案したが、二人は断った。
「調べなくていいよ。奴らと俺等、前から合わないんだ。助けてくれてありがとう。」
「山口くんはすぐに病院に連絡して、病室に戻れよ。みんな心配していたよ。」
「うん、本当はリハビリがきつくて嫌になってたんだけど、死んだ気になれば、平気さ。」
「僕もサッカー部の先輩が厳しくて。部を辞めさせてももらえないし。毎日が嫌だったけど、信二のことを考えたら、そんな事を言ってられないって思った。」
謎クラブのみんなは彼らの言葉を聞いて嬉しかった。
ー僕らも誰かの役に立てる。ー
山口はすぐに病室に戻り、それからはリハビリを頑張って1週間で退院し、学校に戻ったそうだ。
伊集院はサッカー部の練習を頑張ってレギュラーになったらしい。
ただ二人は時々、大きな亀と蛇の怪物に助けられた夢を見るらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます