第4話クリスの提案
「ただいま。クー。さあ、母さんの占いの店に行こう。」
クリスは少し前まで隣町に住んでいたけれど蒸発してた父さんが帰ってきてからこの町に引っ越して、占いの店にも近くなった。
ー占いの店にも近いし、研磨と同じ学校になれたし父さんが帰って来てくれて本当に良かった。みんなクーのおかげだね。ー
「母さん、占いの手伝いに来たよ。」
「このお客様がお待ちになってるの。先日亡くなったおじいさんの遺書が見つからないんですって。クーちゃんにおねがいしてくれる?。」
クーはクリスが差し出したカードを1枚選んだ。
愚者のカードが逆さになっていた。
「学問?、書斎とか本の間とかにあるのかしら。」
「変だな、本棚も本の間ももう探したのにな。念の為もう一度探してみます。」
と言ってお客さんは帰っていった。
家で夕飯を食べていると母さんの携帯が鳴った。
「今日来た遺書を探してるお客様、本のを探し直したけど、まだ見つからないんですって。クーちゃんの占いが間違うわけないし、逆さの愚者のカードに他にどんな意味があるかしら。」
クリスは謎クラブでその事について相談した。
「急いで遺書を探さないといけないんですって。みんなで協力して遺書探しができないかしら。」
謎クラブのみんなは次の日お客さんのおじいさんの家に遺書探しに出かけた。
最初にお客さんに話をを聞いた。
「清水祐也です。おじいさんには僕しか身内がいないし、親しい友人も亡くなっている。この家の何処かに遺書がしまってあるはずなんだ。みんなで探し出してくれると助かるよ。」
覚が聡に
「他にも身内がいるはず。」
と、メッセージを送ってきた。
「他にも誰かおじいさんの身内がいますよね。」
聡の言葉に、
「いや僕だけだよ。一人いとこがいたけど彼は世界1周の旅の途中で行方不明になってる。もう1年以上も音信不通だ。」
「逆さの愚者のカードに海外旅行とか分配って意味もあるわ。」
クリスの言葉に
「つまり、いとこが日本に帰ってきて遺言書を持ってるってこと?。」
清水さんの言葉に
「まだ、確証はないけど一つの案として頭に置いておきます。じゃあこの家の捜索を始めてもいいですか?。」
聡が清水さんにねんを押した。
皆はまず本箱から探しはじめて、本の間、寝室、台所、風呂場、トイレまで探したが遺言書は見つからなかった。
冷蔵庫の外側にマグネットでメモがつけてあるのを学がみつけた。
「これ2丁目6−12アルペン荘5号って書いてある。これ誰かの住所だよね。」
「いとこさんの住所かな?。いとこさんの名前はなんていうの?。」
「佐野公生っていうんだ。公生のやついつ帰国したんだろう。爺ちゃんは公生に遺言状を渡すしたのかな?。」
「わからないけど、とりあえず行ってみようよ。」
学にうながされてアルペン荘の5号室を訪ねた。
「はい、どなた。あれ、祐也じゃあないか。久しぶり。爺ちゃんに聞いて合いにきてくれたのか?。」
いきなり清水は大きな声で言った。
「公生、お前、爺ちゃんの葬式にも顔を出さないで、何やってるんだ。いつ日本に帰ってきた?。遺言状はどうした!。」
「ちょっと待て、爺ちゃんの葬式ってどういう事?。」
頭に血が上ってまともに話が出来ない清水さんに代わって学が先週おじいさんが亡くなって、遺言状を探しているが見つからないことを佐野さんに説明した。
「先週爺ちゃんが亡くなったって?。嘘だろう?。俺先週爺ちゃんに合ったんだ。」
「先週のいつ?。」
「火曜日。」
「爺ちゃんは水曜日にで自宅でなくなってるのを隣の家のおばさんが見つけた。警察が検査した所、心臓麻痺だったらしい。先週の金曜日に葬式を出した。新聞や回覧板で見なかったのか?。」
「俺、先週の月曜日に日本に帰ってきたばっかりで、この友達の家にとりあえず泊めてもらってて、爺ちゃんには合ってここの住所を教えたんだけど。まさか爺ちゃんが亡くなったなんて。ここ、新聞も取ってないし、回覧板は見ないで隣に回していいって言われてるし。」
佐野さんのしょんぼりとした様子に清水さんも
「そうだったのか。生きてる爺ちゃんに最後に会えたんだから、良いとしろよ。明日一緒に爺ちゃんの墓参りに行こう。」
「それで、僕ら遺言状を探してるんですけど、佐野さん、何か知りませんか?。」
「え?。遺言状なんか知らないよ。家にしまってあるんじゃないのか?。」
「何度探してもないんだ。」
「本当に?。でも爺ちゃんの遺産なんてあの古い家くらいのものだろう?。適当に処分すればいいんじゃないの?。」
「そんないい加減じゃあダメだ。爺ちゃんの希望にそった処分をしないと。」
「でも、俺、爺ちゃんの遺言状なんて知らないよ。」
佐野さんの言葉に嘘はないと覚が聡に伝えた。
「佐野さんも知らないなら遺言状は何処にあるんだろう。」
聡が首をひねっていると、
「佐野さん、おじいさんから何か預かっていませんか?。」
と、学が言った。
「何も預かってないよ。ただ暇だから、読書でもしようと古い本を何冊か借りたけどね。」
「それだ。佐野さん、その本見せてください。」
「あ、あったぞ。この本に挟んであった。」
謎クラブのみんなの活躍で遺言状は見つかった。
それは丁寧に書かれていて、おじいさんの友人へ贈りたい絵の事や、自宅を売ったお金から葬式の費用を払って、残ったお金を清水さんと佐野さんの二人で分けることが書いてあったそうだ。
「君達のお陰で爺ちゃんの思うように遺産を処理することができた。ありがとう。」
と、清水さんはみんなにお礼を言ってケーキを買ってくれた。
「やったね。謎クラブ大活躍。」
ケーキはあっという間になくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます