第3話北斗の提案
北斗はハルにフルーツをあげながら、自分が、独り言を言っているのに気づかなかった。
「この前は全然ハルのカッコいいとこをみんな見せられなかったな。前にチンピラをやっつけたみたいに、ハルのカッコいいとこをみんなに見せてあげないと。誰か困ってる人いないかな。」
「北斗、父さんが帰る前に庭の草取りをしておいて。」
「は~い。ねえ母さん、何か困ったことない?。」
「先月から暑い日が続いていて、電気代が高くて困ってるわよ。」
「そういうのじゃなくて。じゃあ、誰か困ってる人を知らない?。」
「前の家で飼っている猫が病院の帰りに逃げ出して3日も帰ってこないんですって。」
「え?、あの、白い猫?。たしかミユっていったよね。おじいさんが可愛がってたのに。ミユがいなくなっておじいさんひとりぼっちじゃないか。」
次の日、謎クラブで北斗はミユをみんなで探したいって言ってみた。
「おじいさん、ひとりぼっちなんて可哀想。ミユを私達で探してあげましょう。」
クリスが真っ先に賛成した。
「逃げ出して数日たっているから、かなり広い範囲で捜索しないとならないな。」
学が腕組みしながらスマホを取り出して地図をながめだした。
「おじいさんに詳しい話を聞いてみよう。ミユの好きな食べ物とかよく行く場所とか聞いてみれば、何かヒントになるかも。みんな賛成ということで、北斗はおじいさんと会えるようにセッティングしてくれ。」
聡がまとめた。
次の日、北斗の家にみんなで集まっておじいさんに話を聞いた。
「じゃあ、まずミユの写真をもらえますか。あと、ミユの好きな食べ物とか、好きなおもちゃとか、よく行く場所とかミユを探すヒントがあれば教えて下さい。」
「これがミユの写真。好物はツナ缶、よく行くのは中央公園。これがお気に入りのぬいぐるみだ、持っていってくれ。みんなでミユを探してくれるのかい?。悪いけどよろしく頼むよ。ミユが心配で仕方がないんだ。ミユは私の家族なんだ。」
おじいさんに借りたミユのお気に入りのおもちゃとツナ缶を持って、みんなで病院から中央公園に向かった。
猫は沢山見かけたけど、写真みたいな猫はみつからなかった。
中央公園でツナ缶を開けたら10匹以上の猫が集まったけどそこにもミユはいなかった。
クリスはクーの前にカードを置きクーは一枚のカードを選んだ。
太陽のカードだった。
「南国への旅ね、南に行ってみよう。」
クリスの言葉に皆は歩き始めた。
「ハル、上から探してみて。」
北斗の言葉にハルは空からミユを探し始めた。
ハルが空から合図をした。
「ハルがミユを見つけた。急ごう。」
人の気配を感じて、ミユは荒れ地の中の廃屋の床下に隠れてしまった。
「みんな、隠れてそっと見ていよう。」
廃屋の床下の側にツナ缶とお気に入りのぬいぐるみをおいて、皆が隠れてそっと覗いているとミユがヨロヨロと出てきてツナ缶をガツガツ食べ始めた。
ツナ缶を食べきってしまうとやっとぬいぐるみに気がついて、匂いを嗅ぎ始めた。
皆はそっと出ていってクリスがミユを抱っこした。
「怪我をしてるし、やせ細ってるわ。かわいそうに。」
学が玄武を呼んだ。
(玄武は小さな亀の姿をしてるけど本当は健康を司る亀とヘビの怪獣なんだ。学は原因不明の虚弱体質だったけど、玄武のお陰で健康になれたんだ。)
「玄武、ミユを元気にしてくれ。」
と言うと、玄武はミユに尻尾で触れた。
するとミユの怪我は治り、やせ細って毛がぬけた身体が丸々として、毛なみもフワフワになった。
ミユをおじいさんに渡すと、おじいさんは大喜び。
「ここの遊園地の株主なんで、ただでもらったものだから。」
と、みんなに遊園地の無料券をくれた。
みんなは謎クラブのミッションが今回も成功して大満足だった。
次の土曜日、朝早くから謎クラブの子供たちとケルは遊園地に集合した。
ここは犬同伴OKな遊園地なんだ。
「いいな研磨はケルを連れてこれて。犬だけOKなんてズルいよ。」
研磨以外のメンバーが文句を言ったが、これはどうしようもない。
「気を取り直して、遊ぶぞ。」
北斗が大きな声で言った。
まずジェットコースターからスカイパラソル、マッスルマウンテン。
お昼はみんなでピザを食べてから迷路、お化け屋敷。
そろそろ帰ろうとした所、
「大変だ、ジェットコースターの車輪が外れてるぞ。」
誰かが叫んだ。
謎クラブのみんなは猛ダッシュでジェットコースターの近くまで行ってみた。
「本当だ。危ない。ジェットコースターが脱線する!。ケル、透明になって助けて。」
ケルは透明になってジェットコースターのレールを凄い速さで駆け上がり、ジェットコースターを咥えてレールの上に置き直してグッと脚に力を入れてジェットコースターをストップさせた。
「おお、脱線してたジェットコースターが勝手にレールに戻って停まったぞ。」
一般の人にはケルの姿は見えなかったが、謎クラブのみんなにはケルの活躍が見えていた。
「ケル、カッコ良かったぞ。」
みんなに褒められたケルはご機嫌で尻尾を大きく振った。
「ハルだってジェットコースターくらい助けられたのにな。」
北斗はすねて、みんなに聞かれないように小さな声で呟いた。
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