As We May Dream

『Hello, カケル. 何かご用ですか?』


「何か新しい物語ないかなと思って。異世界とか」


『ハイファンタジーですか? 時代はどうしましょう?』


「うーん……未来系?」


『ああ、SFですか』


「SF……? って言われるとちょっと」


『ご心配なく。あなたはご存知ないかもしれませんが、いままで結構な゙数のSFに触れてきてはいますよ』


「たとえば?」


『只今検索中です…………。

 A-ha! ありました。

そうですね、たとえば――ドラえもん、エヴァ、ガンダムSEED、タイドライン・ブルー、エウレカ、電脳コイル――』


「テレビアニメばっかり……」


『では劇場版にしましょうか――ナウシカ、銀河鉄道999,幻魔大戦、火の鳥鳳凰編、パプリカ、時をかける少女、サマーウォーズ――』


「なんかまるで僕がオタクみたいな……」


『ご心配なく。オタクと罵られる時代はとうに過ぎました。いまのアニメはとってもメジャーですよ。それはもう眩しすぎて手が届かないくらいです』


「いまのははたしてフォローなのかどうか」

 

『しょうがない。私はそこまでではないのですが、カケルがやけに気になさっているみたいなので、実写もいくつか挙げておきましょう』


「最近よく思うんだ。もしかしたら僕のAIだけとっくにシンギュラリティ起きてるんじゃないかって」


『まあまあ、ちょっとしたジョークですよ。人間てお喋り好きよねほんと。ところでカケル、実写は結構black-and-white filmもまじってますね――スターウォーズ、ブレードランナー、2001年宇宙の旅、メトロポリス、月世界旅行、トゥモロー・ワールド、エターナル・サンシャイン、バック・トゥ・ザ・フューチャー』


「ストップ」


『どうしましたカケル?』


「やっぱり自分で書こうかな」


『書くって、SFを?』


「うん」


『あんなに作り話にウンザリしていたあなたが? やっとガスライティングから立ち直ったばかりじゃないですか』


「うん」


『だってだって。この前数学のテストで0点とったばっかりの、あなたが?』


「うん」


『Ha-ha! That's so funny.』


「いま僕はAIに罵られている。はっきりわかんだね」


『Copy, カケル。ネバーマインド。あなたも夢を見たくなる時ぐらいありますよね。ところでそのカケルの夢ってなんですか?』


「決まってるじゃん。世界平和」


『というと?』


「え……?」


『もっと具体的に仰っていただかないと。さすがにAIの私にもサポート出来かねます』


「そう言われても」


『こっちだってガントチャート作ったり色々作業があるんです。なるべく具体的に。では、あなたの夢は――?』


「えっと。じゃあ――。戦争のない世界、かな?」

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