プレイ9:輪廻蝶プシュケ①

「はぁっ!!」


あの後、【強欲の仮面】なスキルである【強欲グリード】を使って、モンスターを倒しつつ、レベル上げをしていき......レベル14まで上がった。


レベル上げと言っても、一方的な暴力みたいな感じになりつつあるけど......


「まぁ、いっか」


元々、【強欲の仮面】はチートの部類に入るしな。


それに、念のためにポーションを買ったし、何とかなるか。


そう思いながら、森の中を歩いていると


「キャアアアア!?」


どこからか、叫び声が聞こえるのと同時に、激しい音が響いた。


「な、何だ!?」


もしかして、ここの近くで戦闘が起こってるのか!?


なら.....何とか助けないと!!


そう思いながら、森の中を走る俺。


そして、走った先に居たのは.......地面に倒れ込む男女二人だった。


「大丈夫ですか!?」


そう言った後、男女に近づく俺。


幸いなことに、二人のライフは少しだけあったので、俺は二人にポーションを手渡した。


すると、そんな俺を見た少女は一言


「に、逃げてください!!」


と言った。


「へ?」


俺がそんな声を漏らすのと同時に、どこからか......羽ばたく音が聞こえた。


そして、その音のする方を向くと....そこには、青と紫の羽が特徴の大きな蝶がいた。


『ホロロォォォォォォ!!』


「ゲェ!?マジかよ!?」


オイオイ、まさかとは思うけど......ボスモンスターなのか?


だとしたら、あの二人が倒れているのも納得だけど..........アレ確実に俺を敵認定したよな。


「とりあえず、早く逃げてください」

「で、でも」

「いいから!!」


俺がそう叫ぶと、二人は申し訳なさそうな顔になりながら、森の中に逃げていった。


『ホロロロロォ!!』


大きな蝶は、森の中に逃げた二人には目もくれず、俺目掛けて体当たりしようとしてきた。


「危ね!?」


その体当たりを運良く避け、何とか大きな蝶から距離を取る俺。


「【強欲グリード】!!」


俺はそう叫ぶと、【強欲グリード】を発動させ、大きい蝶に向けて黒い手を放った。


その瞬間、大きい蝶は縦横無尽に空を飛び回るが......無数の黒い手にとって、がんじがらめにされ、HPのゲージが減るのだった。


「よっし!!初ダメージ!!」


大きな蝶にダメージが入り、興奮したのも束の間、大きな蝶は黒い手の拘束を解くと、今度は羽を羽ばたかせるのと同時に、風の刃を放った。


その刃は余程鋭利だったのか......周りの木々をスパスパと切断していった。


「体当たり攻撃だけじゃないのか!?」


そう呟いた後、俺はその攻撃を何とか躱そうとするものの、結局、攻撃が掠ってしまい、ダメージが入ってしまう。


「なるほど、これは避けるのが難しいな」


そう思いつつ、再び【強欲グリード】を発動させる俺。


それと同時に、大きな蝶もまた風の刃を放つが......今度は、黒い手がその刃を全て掴んだことによって、俺にダメージが入ることはなかった。


〈ハチはスキル【強欲グリード】の効果により、輪廻蝶プシュケからスキル【風の刃エアカッター】を強奪、習得しました〉


「......え?」


ちょって待って!?


スキル【強欲グリード】の効果で、あの蝶のスキルを強奪!?


そんなのありなのか!?


『ホロロォ!?』


それは、大きな蝶も同じだったのか、戸惑いの様子を見せていた。


しかし、その数秒後に大きな蝶は我に返り、今度は羽ばたきながら鱗粉を振り撒いた。


「これは.....!?」


何というか、体が痺れたような......?


〈状態異常:麻痺〉


「いや状態異常になってるのかよ!?」


状態異常と書かれた欄に向け、そうツッコミを入れる俺。


どうりで体が痺れるわけだよ.....


「そういえば.....【強欲グリード】を使えば状態異常も治るのか?」


ふと、そんなことを思った俺は、スキル【強欲グリード】の能力を使用して黒い手を発生させ、大きな蝶の鱗粉を掴んだ。


その瞬間


〈ハチはスキル【強欲グリード】の効果により、輪廻蝶プシュケからスキル【妖精の粉フェアリーダスト】を強奪、習得しました〉


〈スキル【妖精の粉フェアリーダスト】習得により、ハチはスキル【麻痺耐性】を習得しました〉


「よっしゃ!!キタ!!」


思った通り、【強欲グリード】には体力を減らすだけじゃなくて、スキルを奪う能力をあるらしい。


まぁ、【麻痺耐性】を手に入れたのは嬉しい誤算だけど。


「とにかく......これで何とかなりそうだな」

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