プレイ6:強欲の悪魔

間違いない。


あの男は【強欲の仮面】そのものだ。


そう思いながら、男の方を見つめる俺。


一方、男の方はというと


「まぁ、とりあえず座れ」


俺に対し、そう促していた。


「あ、は、はい!!」


そう言うと、緊張した様子で地面らしき場所に座る俺。


そんな俺の様子を見た男は


「お前、何ビビってんだよw」


ケラケラと笑いながら、そう言った後


「別に敬語じゃなくてもいいぞ。むしろ、そっちの方が気軽でいいだろ?」


というお許しが出た。


.......何というか、フランクな感じだな。


「.....一応聞くけど、アンタは【強欲の仮面】そのものか?」


俺がそう尋ねると......男はニッと笑い、こう言った。


「むしろ、それ以外にないだろ?」


.......やっぱり、この男は【強欲の仮面】そのもの。


つまり、この空間は【強欲の仮面】が俺を見定める場ってことか。


「そういうお前の名は?」

「.......ハチ」

「ハチ!!ワンコロみたいな名前だな〜!!」


ゲラゲラと笑いながら、そう言う【強欲の仮面】。


......まぁ、犬っぽい名前は事実だけどさ。


「にしても.....お前、よくあのジジイの手伝いをしたな」

「え、何かマズイことでもしたのか?」


不安げな様子で、そう言葉を漏らす俺。


「いやだって、あのジジイのいる場所は怪しい匂いがプンプンするだろ?そんなところに入るなんて、馬鹿だなぁって思ってただけだ」


ば、馬鹿って......


「俺はな、馬鹿で強欲な奴を主人にしたいと思っているんだが.......俺を手に入れた奴は、ことごとく頭の硬い連中でな、結局のところは俺の力が原因で破滅しちまったけどな」


俺に向けて、ケロッとした様子でそう言う【強欲の仮面】。


......こういうところが悪魔っぽいな。


「.....それって、全員お前の力に溺れてしまったってことか?」

「そんなとこだな」


ニシシと笑いながら、そう言う【強欲の仮面】。


そして、クルリと俺の方を向くと


「で?そういうお前はこの世界で何を望む?」


ニタリと笑いながら、そう言った。


.....もしかしてこれ、試されてるのか?


だとしたら、慎重に答えないといけないけど........ビビって本音を言わないのもアレだし、とりあえずありのままの俺の本音を言ってみるか。


「俺は...この世界を楽しみたい。ただそれだけだ」


俺がそう言うと、強欲の悪魔はピクリと反応し.......


「.....ほぅ?」


ニヤリと笑いながら、俺を見ていた。


「この世界は、自由かつ無限の楽しみがある。それこそ、お前みたいな欲深い世界だ。でも......俺は、そんな欲深い世界で生きてみたいと思うんだ」


【強欲の仮面】に対し、嘘偽りのない言葉を紡ぎながら、そう言う俺。


そんな俺の言葉を聞いた【強欲の仮面】は


「アッハハハハ!!なるほどなぁ!!そう来たか!!」


膝をバンバンと叩きながら、そう叫んだ後、こうも言った。


「その混じりっけのない戯言......気に入った!!お前、ホムンクルスの分際でやるじゃねぇか!!」


そう言う【強欲の仮面】の目は、ギラギラと輝いていて.....俺は、その目に引き込まれそうになるのだった。


ていうか、今ホムンクルスって言ったか!?


「何で俺がホムンクルスであることを知ってるんだ!?」


俺がそう尋ねると、【強欲の仮面】はニッと笑うと


「悪魔の前で隠し事が出来ると思うなよ」


お前のことなんてお見通しだぞ、と言わんばかりにそう言った。


「とまぁ、そんなことを置いておくとして......俺はな、お前みたいに世界を貪欲なまでに楽しもうとする奴が大好きなんだよ。もちろん、お前の馬鹿なところも面白いけどな」


俺の目を見ながら、そう言う【強欲の仮面】


「じゃ、じゃあ!!」

「あぁ、俺はお前の武器となり、お前の力となろう」


ニカッと笑いながら、そう言う【強欲の仮面】


その瞬間、黒い空間は崩壊し始め


「それじゃあ、これからよろしくな!!」


と言う言葉を聞きながら、俺は再び光に包まれるのだった。

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