プレイ4:【仮面使い】

「ん?どうしたのか?」

「あ、いや、何でもないです!!」


ゴンさんの言葉に対し、そう答える俺。


そして、確認のためにステータスを見てみると


ハチ

レベル:1

職業:【仮面使い】

出身:ホムンクルス

所持金:9000G

HP:10

MP:50

攻撃力:15

器用さ:10

耐久力:50

瞬発力:10

知力:10


装備

頭【空欄】

体【空欄】

右手【装備不可】

左手【装備不可】

足【空欄】

靴【空欄】

装飾品【空欄】【空欄】【空欄】


スキル

無し


職業の欄に、【仮面使い】という文字が書かれていた。


「やった!!転職成功だ!!」


転職が成功したことに対し、思わず、声を上げて喜ぶ俺。


なるほど、これが転職かぁ。


無職スタートをした甲斐があったな。


「でも、【仮面使い】ってどんな職業なんだろう?」


攻略サイトでも、そんな職業は書いてなかったから、逆に気になるな。


というか、何で右手と左手の欄に装備不可って書いてあるんだ?


そう思いながら、職業についての説明欄を見る俺。


職業【仮面使い】

その名の通り、仮面の力を操ることが出来る職業。

この職業に就いていないと、仮面を装備することが出来ない。

また、自身の意思で仮面を付け替えることも可能。

ただし、他の武器に装備するのは出来ない。

なお、転職不可である。


「......へ?」


転職不可。


それは、もう二度と別の職業に転職できないことを意味していた。


「えぇぇぇぇぇぇ!?」


何だこれ!?呪いが何かなのか!?


てか、そんなのアリかよ!?


「せっかく無職から卒業できたかと思ったのに.......転職不可て....」


あぁ.......ちゃんと調べてからクエストを受けるべきだったな。


そう絶望していた時


「どうした?何かあったのか?」


そんな俺を心配したのか、ゴンさんがそう尋ねてきた。


「あ、えっと....その。俺、【仮面使い】になりまして.......」


俺がそう言うと、ゴンさんの表情が変わり


「なんと!!お前さん、【仮面使い】だったのか!!」


と叫んだ。


.......もしかして、【仮面使い】について知ってるのか?


と、そんなことを思っていたら


「.......ハチなら、あの仮面を使いこなせるかもしれんな」


突然、ゴンさんはそう呟いた後、物置きへと向かった。


それから数分後、ゴンさんが持ってきたのは......木で出来た長方形の箱だった。


「.....何ですか、コレ」

「ワシの一族が代々受け継いでいる仮面が入った箱じゃよ」

「ファッ!?」


ゴンさんの一族が先祖代々受け継いでいる仮面!?


「それ、めちゃくちゃ貴重なやつですよね!?」


店のカウンターに箱を開いたゴンさんに対し、そう叫ぶ俺。


そんな俺に対し、ゴンさんはというと


「お前さんはワシの言うことを素直に聞き、店の掃除を手伝ってくれた。そのことだけでも、この仮面を託す理由になる」


ニッと笑いながら、そう言った。


「.....コレ、そんなに凄い物なんですか?」

「当たり前だ。何せ、この仮面を持っていたが故に、ワシの一族は東の地から追われるハメになったのじゃからな」


先祖に思いを馳せているのか、箱を触りながら、そう言うゴンさん。


......これ、何かの前触れなのか?


カウンターに置かれた箱を見ながら、そう思っていたら


〈クエスト【お面屋のお手伝い】を完了したことにより、ストーリークエスト【強欲の仮面】が解放されました〉


という声が聞こえた後、再びクエストの画面が現れた。


「ユニーククエスト!?」


何でまた、ユニーククエストが解放されてんだ!?


ユニーククエストって、特定の条件を満たさないと解放されないはず..........


ん?


「ひょっとして......ゴンさんの店の掃除を手伝うことが、ユニーククエストを開放する条件だったのか!?」


だとしたら、あのクエストはユニーククエストの前振りってことだったのか?


「.....本当によく出来てるな」


クエストの画面を見ながら、そう呟く俺。


どうやら、俺はとんでもないクエストを受けてしまったらしい。

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