プレイ2:路地裏にて
「ん.......?」
キャラメイクを終え、目を開けると.....そこに広がっていたのはファンタジーでよくある中世風の街並み.......ではなく、薄暗い路地裏で
「は?」
初期スポーンした場所がまさかの路地裏だったため、俺が思わず言葉を漏らしたのは,言うまでもない。
「何で路地裏スタートぉ!?」
路地裏にて、そう叫ぶ俺。
せめて、街中に転移したかったよ.....
「......一応、ステータスを見てみるか」
ハチ
レベル:1
職業:無職
出身:ホムンクルス
所持金:9000G
HP:10
MP:50
攻撃力:15
器用さ:10
耐久力:50
瞬発力:10
知力:10
装備
頭【空欄】
体【空欄】
右手【空欄】
左手【空欄】
足【空欄】
靴【空欄】
装飾品【空欄】【空欄】【空欄】
スキル
無し
おぉっ!!これが俺のステータスかぁ。
出身をホムンクルスにしたから、MPと耐久力が高いな。
その分、HPは少ないけど......そこは防具とかで何とかなるだろ。
「しっかし....何でまた路地裏なんだ?」
こればっかりは運要素があるから仕方ないな。
そう思いながら、路地裏を歩く俺。
肌に触れる風、鼻をくすぐる臭い、そして.....本物の人間と同じように動くNPC。
それら全てが、まるで現実世界のようにリアルになっていて、道を歩く度に、VRMMOゲームの最高傑作という肩書きは伊達ではないなと実感していた。
「路地裏だけでも、ここまでリアルっぽいのか.......」
恐るべし、【ユートピア・オンライン】のグラフィック。
「にしても.....路地裏なだけに、怪しげな店があるもんだな」
路地裏の中でも、一際目立っている店を見ながら、そう呟く俺。
その店は、誰がどう見ても怪しいと思うぐらいの雰囲気を出していて、店の外には、怪しげな仮面がいくつか置いてあったのに加えて......その仮面の隣には、椅子に座りながら寝ている老人がいた。
「.......何か嫌な予感がするから、スルーしよっと」
そんなことを呟きながら、店の前を通り過ぎようとすると
「それは商品だって何回言えば分かるんじゃああああああああ!!」
突然、寝ていたはずの老人が目を見開き、そう叫んだ。
「うわぁぁぁぁぁ!?」
老人の叫びに対し、思わず腰を抜かし、地面に尻餅をつく俺。
「あ、何だ夢か」
そう呟いた後、再び椅子に座り、寝ようとするが..........
「寝れん!!」
と再び叫んだ後、椅子から立ち上がると
「ん?」
ようやく、俺の存在を認識するのだった。
「何だお前は!?強盗か!?」
「違うわ!!」
老人の言葉に対し、そう叫ぶ俺。
一方、そんな俺を見た老人はただ一言
「お前......何でまたこんなところにいるんじゃ?」
と言った。
「いや.......その、何か気が付いたらここにいて.......」
苦笑いをしながら、俺がそう言うと
「そうか。まぁ、若いうちはそんなこともあるわな」
「は、はぁ.......?」
何故か、老人は勝手に納得していた。
「それより......お前さん、今暇か?」
「あ、はい。すごく暇です」
俺がそう言うと、老人はしばらく考えた後.......こう言った。
「だったら、ワシの店の手伝いでもしてくれぬか?」
老人がそう言った瞬間、俺の脳内に
〈お手伝いクエスト【お面屋の手伝い】が発生しました〉
という声が響いた後、目の前にクエストが表示された画面が映ったのだった。
「........は?」
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