第9話:リンクス。

すぐに上空に飛んでカオスのところまで来たメーヴェ。


「ほう〜まだ生きてるとは・・・メーヴェ、貴様のようなやつは初めてだ・・・

褒めてやろう」


「ってことで・・・宇宙生命体には宇宙生命体だね」

「出てきて、タマちゃん」


そう言うとなにもない空間からビリケンみたいなブルーの生き物「生命体」が

ポンって現れた。

タマちゃんと呼ばれた生命体は大阪の通天閣 5階(展望台)にある幸運の神

ビリケン像に似ていた。

タマちゃんは厳密には生命体の魂の集合体。


「タマちゃん・・・ちょっとリンクス貸してくれる?」

「あとでソフトクリーム買ってあげるから」


メーヴェがそう言うとタマちゃんが自分のポケットに入ってた黄色い生命体を

取りだして空中に放り投た。


するとリンクスって呼ばれた生命体はポンと一気に人間と同じ大きさになった。


「リンクス・・・頼むわね」


メーヴェがそう言うとリンクスの目が三角になってカオスをにらんだ。


「なんだ?妙なヤツが出てきたな・・・自分のパワーでは私に太刀打ちできない

と知ってそんなヤツの力を借りようってことか?」


「リンクスが戦ってる間に私は体力回復させてもらうね・・」

「さすがにこのままじゃ、手こずりそうだから・・・」


「リンクス、お願いね」


そう言われたリンクスはカオスに向かって飛んで行った。

メーヴェとカオスが戦った時と同じようにふたりの戦いはスピードが速すぎて

人間には見えなかった。


唯一メーヴェだけが二人に動きについて行けていた。

その間、ストリベリーは高みの見物と玉座にふんぞり返ってカオスの勝利を

確信してモニターをなんぞを眺めていた。


リンクスとカオスの力は互角・・・。

だからバトルがあまり長引くようならリンクスには不利。

この地球上ではリンクスは今の体型では5分しか持たないと言うタイムリミット

を持っていたからだ。

早めに勝負をつけないと元にもどってしまうのだ。

でもメーヴェの体力が回復するまで持ってくれたらそれでよかった。


メーヴェが見たところ、リンクスのほうがカオスを押していたように見えた。


このままではヤバいと思ったカオスは、なにやらクチからビームのような

光線を発射した。

まるで風の谷のナウシカの巨神兵みたいに・・・。


そいつをまともに食らったリンクスは腹に穴を開けられた。

もともとリンクスは軟体生命体だからそのくらいではめげないし屁でもない。


ポイポイって自分の腹をハラうと、ブッって穴はすぐにふさがった。


「なんだ、こいつは・・・不死身か?」


ニタッと笑ったリンクスはまたカオスに向かっていた。

カオスはリンクスの攻撃を受け流しながら今度はリンクスの頭めがけて

ビームを放った。


リンクスの頭は破裂して飛び散ったがやはり見る間に再生した。


「バケモンか・・・こいつ」


バケモンって、まあどっちもどっち。


リンクスはヘンテコな声でケタケタ笑った。


するとカオスの背中から何本もの触手が現れるとその触手の先からさっきと

同じビームは放射された。


何本ものビームを食らったリンクスはさすがに、頭やからだじゅう蜂の巣に

されてバラバラに吹き飛んだ。


さっきリックスがいた場所には綺麗さっぱりなにもなくなった。

で、吹き飛んだリンクスは消えてなくなったのかと思ったらちゃっかり

タマちゃんのポケットにもどっていた。


5分経ったみたいだ。


「あの人強いね」


タマちゃんがそう言った。


「リンクスでもダメなのね」


「諦めることだ・・・私を倒そうなどと百年も一千年も一億年も早いわ」


「言ってなさい・・・私に不可能なんてないってこと見せてあげる・・・」

「リンクスありがとうね、おかげで体力回復したから・・・」


「さあ、反撃だよ」


つづく。


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