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風力発電所。
数えきれないほどたくさんの風車が並んでいる。ずっと、ずっと遠くまで。霧のせいでハッキリとは見えないが、無限に続いているであろうことはなんとなく感じ取れた。時折、悲鳴が聞こえてくる。日記をつけている今も、何かに怯えているような声が風車の隙間を通り抜けていく。文字を書く手を止めると、その声はより一層強く響く。
舗装された道に沿ってずっと歩いてきたが、景色は全く変わり映えしない。等間隔に立つ風車は健気に電気を生み続ける。仮にここがループ空間で、ただ歩くことが無意味だったとしても、わたしは、そうするより他にない。発達しすぎた科学によって歪なバケモノに変えられた世界の終末を、わずかに先延ばしするくらいしか道は残されていない。
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