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無限に広がる畑。

いつからここにいたのか分からないが、気づいたときには畑の真ん中にいた。 360°見渡す限り茶色の土が広がっている。どこを向いても地平線だ。正体不明の作物が一直線に植えられているから方向を見誤ることはないが、それ以外に目印になるようなものは全く見当たらない。西陽を遮るものがなく、大変きびしい。妙なループ空間に迷い込んだのでなければよいが……


作物の正体について、研究所からパクった図鑑に記載があった。これはジャガイモという野菜で、発達した根が可食部らしい。てっきり葉を食べるものだと思っていた。保存がきくが、生食では毒性があるとのこと。いくらか収穫してみた。泥だらけだから、食べるには洗う必要がある。


太陽が沈む気配がない。時空間異常なのは間違いないだろう。日差しのせいで無駄に汗をかくからどんどん水分が失われていく。少し危ないかもしれない。


用水路と思しき物を発見した。一見したところ透明で綺麗な水が流れている。浄水器に突っ込んだら普通に飲めた。さっきのジャガイモも洗った。

この水路を辿ることにする。


なんと、水源にたどり着いた。そこには空中浮遊する巨大な蛇口があった。蛇口は根元でスッパリと途切れていて、つまりどこにも繋がっていなかった。それにもかかわらず蛇口からは大量の真水がごうごうと音を立てて用水路に流れ込んでいた。

虚無から流れ出す水。飲んでも大丈夫だったのだろうか。


時空間異常を脱出した。どうやったのかは分からない。気付いたら知らない廃ビルで倒れていた。真っ先に夢の可能性を疑った。けれどこのエントリーは残っていたし、ザックには泥を落としたジャガイモが詰まっていた。

現在地を確認する必要があるが、ひとまず身体を休めよう。おやすみなさい。

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