第24話 パルセラ
推しの家にお邪魔する。
それは、ファンとしてライン越えでは無いだろうか?
大丈夫か、俺。
「ここです」
案内されたのは、綺麗な作りのマンション。
セキュリティはしっかりしてそうだが、タワーマンションという訳では無い。
「ふーん、綺麗なところね」
あわわんが感心した様に言う。
「それでは開けますね」
モノアちゃんが、エントランスに近づき、
「パルセ・パルセラ・パルル」
スー
言葉に反応して、ガラスのドアが左右に開く。
「……音声認証……?」
あわわんが驚きの声を漏らす。
ハイテクだね。
「お兄さんがどの部屋にいるか聞いてみますね」
モノアちゃんがスマホを取り出す。
あ、これ、マンション丸々兄妹が使ってるパターンだ。
「たくさん部屋があるんですね」
花音も気付いたっぽい。
「最上階の展望室で待って下さってるそうです」
「……私達が来るのを分かってたって訳ね」
あわわんが、重々しく言う。
「え、あ、はい」
モノアちゃんが頷く。
多分、モノアちゃんが事前に伝えたんだと思う。
家族だし、誰か連れてくるなら事前に確認するよね。
エレベーターに乗り込み、モノアちゃんがコントロールパネルを操作。
音もなく、エレベーターが上昇。
ぷしゅう
扉が開き。
展望室。
1階層ぶち抜きの広い部屋。
窓も大きく、開放感が凄い。
巨大なスクリーンに映る、アイの顔。
そしてその横に座るのが。
アイを作った天才。
モノアちゃんのお兄さん。
「ようこそ。はじめまして、ですね」
お兄さんが柔らかい声で話しかけてくる。
俺は、代表して進み、
「貴方が、モノアちゃんのお兄さんですね。いつも楽しませて頂いています」
「モブさん。いつも妹の配信に来てくれてありがとう」
「お兄さんも、配信に来られているのですか?」
モノアちゃんの配信は、同時接続者数が10人前後。常連の名前はだいたい覚えている。
まあ、最近は30人くらいに増えてるんだけど。
「いや。練習中の歌は聴いているが、配信は恥ずかしいから見るなと言われてね。残念ながら見ていない」
ほう?
「ところでお兄さん、昨日の鼓膜ないなった件ですが」
「ああ、あれ、笑った!一気にコメントが増えたよね!」
見とるやん。
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